「うぬぼれ刑事」光浦靖子の回の感想です。

なんか、見ていて、かなり共感してしまった…。
私、今までに出てきた犯罪者の中だったら、断然この人タイプだろうなと思った。無理に遠い人を好きになり、無理に近づこうとして、誰も気づけないような無駄な努力を繰り広げ、「どうせ私なんか」とかって思う、あほみたいなタイプ…。
痛すぎる。

こういうタイプに限って、意外といい男になびかないように思う。見ている男しか見ず、光浦に長瀬が来たら、通常だったら絶対OKすると思いきや、あっさり振るというのも、そうだろうなーと思った。

「うぬぼれ」を見ていると、話の展開の切れや、ウィットもすごいけど、何より、くどかんの女性洞察力というか人間洞察力のすごさをまざまざと感じる。

特に、光浦の回と、三田佳子の回は、からっとしていたからよかったけど、それとあと加藤あいの回以外って、かなりウエットというか、犯罪者特有のゆがみというか陰湿さというか陰というか、そういうものに代表される人間の暗い部分みたいなものを、直接的には描いていなくとも、雰囲気として非常にそういうものを出してきていて、くどかんの、そういう才能を感じすぎて、ちょっと怖かった。舞台作品でやってほしいとすら思うほどの、怖さがちょっとあったが、光浦と三田佳子の回はからっとしていて安心して見られた・・・


三田佳子の回の感想もついでに。
これは、本当にからっとした回で、ただ単に、推理作家が自分のトリックをバカにされたことにかちんときて、自分のトリックの実現可能性を実証するための殺人という、そういう、どろどろしていない、すっきりした動機であることが明確であったし、トリックが斬新じゃないとかマンネリとか云々言われてうんざりして、そうじゃないところを読んでほしいと思っていらいらしていた作家に対して、実は被害者はデビュー作以来のファンだったというところも、非常に一本道の作品だなと思った。テーマが一つでわかりやすい話だった。

「T&G」の作品についての回を見ていても思ったけど、とやかくいうファンとか劇評家っていうのは、あくまで一部であって、多くの層はそれほど関心がない浮動層であろうとは思うけど、とやかくいうファンよりもやや多いぐらいで、絶対に裏切らない根強いファンもいるんだよ。そして浮動層の中でも、しっかりと、逆に信者じゃないからこそ、見るべきところを見ているファンもいるんだよ。
そういう人たちって声が大きくないから作家には届かなくて、そしてとやかく文句ばかりいったりする自称ファンや劇評家の声ばかり大きいからそういう声しか届かなくていやになるかもしれないけれども、作品を愛しているファンはいっぱいいるし、作家を信じているファンはいっぱいいるし、巷の劇評に流されず、そしてミーハー的ファンなわけでもなく、しっかりと作品の芯を見ているファンもいっぱいいるんだよ。それを忘れないでほしいなと思った。

でもそれは表現者だけにいえることではなくて、一般人だって、とやかく文句ばっかりいってくる人とかひどいことしてくる人とかばっかり目に付いちゃうときがあるけど、そして自分を見てくれている人たちはそれらの人たちに比べて声が小さいし目立たないから、ついそんな人はいないんじゃないかって思ってしまうこともあるけど、実際はそんなことなくて、ちゃんと自分を見て、自分を信じてくれている人もいる。それを忘れないで生きていかないといけないなあーと思った。それを忘れてしまったのが、今話の光浦のような気もする。

教授を好きになったのはいいとして、そして無駄なアプローチをするのもいいとして、でもそれで、放火という手段を選ぶというのは、ありえない。そこには教授への愛だけではなく、日ごろの鬱憤晴らしもあったように思う。そして鬱憤を晴らすのに他人を傷つけてはいけないということすら、自分なんてどうでもいい存在だとやけっぱちになってしまうと思うこともあるようにも思うけど、でもそうじゃなくてちゃんと、自分への愛に気づくこと、そうすれば自分も他人を愛せるように思った。


ちょっと話を変えて、竹下景子について。三田佳子にプロポーズしていた西田敏行なので、てっきり奥さんは死んでいるかと思ったら生きているし、予告で見たら竹下景子じゃん!美人すぎじゃん!西田敏行の奥さんが竹下景子ってどんんだけ美人だよ、みたいな。

福島弁でしゃべっていても美人すぎる。「吾輩」つながりでございますかね。

で、見ていて思ったのだが、分不相応にビジュアルのいい相手をゲットした人に限って、浮気したりするんだよなーとちょっと思った。通常の分相応の人って、自分の分もわきまえているし、そんなに異性のビジュアルに心を動かされないのに、こういうタイプの人ってビジュアルに左右されすぎる上に、かつて自分が分不相応なビジュアルの異性をゲットしたという自信をもっているからこそ、また浮気するんだろうなーと思った。そして、実際にかつてはゲットしたわけですからね。分不相応にゲットするということは、それぐらいの魅力があるわけですからね、そこでまた勝負して浮気する、と。

しかし今話を見たら、西田敏行はデブ専ランパブに貢いだのではなくて、信号に寄付したと。ほっこりした話でした。

で、デブだから食べるから余計にお金がかかって貢ぐというのは、女性視線の話だな、と思った。男が貢ぐのって、食費じゃないからね。そのピントのずれた嫉妬も、女性らしさで、それを男性脚本家のくどかんが描くっていうのが、またうまいなーと思った。

しかしサイズは入らないとは思うが、さだめっち(生田とーま)の服を着た西田敏行が最高にイケてなくて、笑った。とーまくんは、光GENJIみたいな格好がお似合いすぎてウケまくる。おぎやはぎも、おばあさん顔でウケまくる。くどかんさん、せっかくなので、キャナメにもなんかウケるポイントを見つけてあげてください。中尾彬キャラではなく。

あと思ったのは、長瀬はほんとものすごくコメディーがうまくなったね。これは圧巻。あの西田敏行と並んでかっこつけたりふられて泣いたりしていてさ、それが西田敏行に見劣らないどころか、少しうまいぐらいだったよ。それっておそろしいことだよ。西田敏行より少しうまいって、どんだけうまいんだよ!!!

あとかっこつけた変な踊りとか、「GM」のオマージュ?とか思ってさらにウケたが、あれ、やっぱりジャニだからね、踊らないTOKIOといえども、ジャニなんで、ダンスがうまいんだね。うまい人が崩すから、あの間抜けさが出るんだね。下手な人がかっこつけても、ずれてるだけだからね。あの西田敏行だってダンスはしないだろうから、長瀬くんの間抜けナルシストダンスに比べるとずれてたもん。いやあ、ほんとすごかったです。

とーまくんも、せっかくくどかん作品に出たんだし、なんか微妙に気に入られているっぽいんでね、長瀬のように、なんらかのスキルを是非ゲットしてかえってほしいなーと思いました。