かねてから言っているが、ミズカワアサミとサトウリュウタは10年ぐらいプッシュされ続けている。それの象徴みたいなのがこの作品だと思う。サトウリュウタの事務所としては、「ROOKIES」があたったので、ROOKIESのかわとうみたいに、まっすぐで大きい男をサトウリュウタにやらせれば当たるかな、と思ったのかもしれないが、そうじゃないよ。プッシュするなら、自タレの特徴をよく観察すべきである。

ROOKIES」が当たったのは、あくまでストーリーと、それぞれのキャラの問題で、かわとうがいっぱいいるキャラの中の一人、かつ他のキャラはとても個性が強いキャラであって、それをまとめるポジション的なキャラであったからであって、「真っ直ぐな男」だと、この主役が一人で出ずっぱりだし、主役で出ずっぱりなのに偽善的だし、真っ直ぐどころか、自分のことをいい人と思って他人に迷惑をかけているはた迷惑な人にしかなっていない。そしてそれが、「ROOKIES」以前の、主人公の友達ポジのサトウリュウタの役と、ほぼかぶって見える上に、まだ主人公の友達ポジの方が控えめでましな印象。まあ「風林火山」の役よりはマシだが、これはどうなのだろう。

まあ、今書いたことは、すべて脚本の問題っちゃ問題だろうけど、ただ単に脚本が滑っているというよりも、要は、「ROOKIES」が当たったから、長年プッシュしてきたサトウリュウタの押し方がわかったと勘違いした事務所なりサトウリュウタのバックが、制作側と一緒にこういう企画をし、その企画に沿ってプロットができ、キャラ構成ができ、ストーリーができているように思う。

なんと、W、尾崎ですよ…。これもサトウリュウタのバックの強さを感じる。男主演モノのWで尾崎といったら、結構当たってるからね。

ただ尾崎って才能あると思うのだが、「ロト6」につづいて、「真っ直ぐな男:を書くとは…。自分を安売りすべきじゃないと思う。こんな安売りしてたら、ぱっと見、ワタナベムツキと同レベルのWと思われてもおかしくないよ…。変な企画の脚本は書かない方がいいと思う。「オトコの子育て」は尾崎らしい雰囲気ではあったものの、脚本がやや滑っていた印象を受けたけど、「ロト6」「真っ直ぐな男」は脚本が滑っているというよりも、企画がそもそもおかしいと思う。自分を安売りしないでもらいたいものです。

長くなってきたが、普通に脚本の感想を。

要約すると、自分のことをいい人と思っている偽善者が、自分で考える「いいこと」をするせいで他人に迷惑をかけているだろうに、そういった「迷惑」な部分は一切描かれず、偽善者がいい人であるというエピソードが続く話です。そして友達(田中圭)が惚れているかわいこちゃん(貫地谷しほり)ですら「いい人」を好きになってしまい、主人公の人徳wゆえに友達もその恋を応援してくれるものの、「いい人」ゆえ「悪い女」が気になってしまい…、みたいな、どうでもいい話に、一見見える。

でも、見ていて思ったのは、これダブルミーニング的に考えると、すごく現実的な話だな、と思った。

主人公のような人も、ふかきょんの「悪い女」みたいな人も、あれって、普通には他人にかかわれなくて、他人に捨てられるんじゃないか、嫌われるんじゃないかっていう思いがどこかにあって、だからこそ主人公は、他人の世話をやき、「いい人」ぶることで自分の存在価値をアピールして、他人から捨てられないようにしようとして、そして「悪い女」は他人に迷惑をかけることで他人をふりまわしている自分という形でしか自分の存在を確認できず、ああいう対人関係しか築けないんじゃないかな、と見ていて思った。

なので、二人とも人間性というか、根底にあるものは非常に似ているように思う。ぱっと身は、「偽善者」と「悪い女」に見えても、根底はボーダーということで共通な気がする。

そして、「嫌われ松子」ドラマ版を見ていても思ったけど、ヒモとかDV男にはまる女とか、あとこの「真っ直ぐな男」の主人公みたいに悪い女にはまる男というのは、見捨てられ不安が強いんじゃないかな、と思った。DV受けたり、世話焼いたり、「この人には自分がいないといきていけないんだ」と思うことで、外面的には相手より下に見えるのに、精神的には優位に立っていて、「絶対に捨てられない」「捨てるのは私の側」という安心感を持ちたいから、そういう人にくっつくのではないかな、とちょっと思った。それを共依存というのかもしれないけれども。

だから、この主役はそういう意味でのボーダーであり、そしてふかきょんの役は、「自傷することでしか自分の存在を確認出来ない人」じゃないけど、他人を振り回して迷惑がられるという意味でしか他人とかかわれず自分を確認できない、非常に自己認識がうつろというか、ああいう人にとっての他人に迷惑をかけるということは、自己確認の方法であり、また唯一の他人との関わり方の一つなんじゃないかな、と見ていて思った。

お互いボーター同士で、お似合いのカップルに見える。

って、半分冗談だけど、でもそういう風にも思う。

あとこのドラマで思ったのは、キャラとして意外にはまっているのが、田中圭。なんかいつもはまじめでやや気むずかしい役みたいなのが多いようにも思うけど、こういう普通に優しくて普通の青年みたいな役が、意外とはまる。それこそ、サトウリュウタがよくやってきた、主人公の人のいい友達ポジみたいな役は、田中啓、意外とはまるように思った。なんか今まではちょっと気が強めの役とか、きつめの役が多かったような印象があるが、こういう方がいいと思う。あと若手キャストが下手なので、田中啓がうまく見えて、このドラマで一番おいしいのは田中啓じゃないかな、と思った。

宇梶もはまってるけど。あと三浦理恵子もいつもながらのかわいい奥さん役だけど、かわいらしくてはまっている。

ミツやん(貫地谷しほり)は、悪くはないけど、やはり時代劇や「新・三銃士」のようなクラシカルな役の方がお似合いである。現代劇だったらどういう役がいいのか考え中。

滝沢沙織は、いつも通り。

佐々木希ちゃんは、あいかわらずお人形さんみたいな顔だけど、「神の雫」のときの方が美しいと思う。ただ「神の雫」よりは今回の方が相対的にw演技がまともに見える。このドラマのポップ系なお洋服とあの髪型より、「神の雫」みたいなきれい系のお洋服の方が似合うと思う。

あと、田中啓とかサトウリュウタの会社のOL役のきれいな女の人、あの人、すごくきれいなのに、日本のOK制服があまり似合わないようで残念。「リアルクローズ」とかに出た方がいいのに、きっときれいだろうに。

ふかきょんは、若手キャストの中だったら相対的に演技がうまいし、ところどころの表情とか台詞回しとかは、長年やっているだけあってうまいところもあるが、どうも5年ぐらい前からだろうか、「きょとんとした私」がややデフォルトになってきたようで、あれがちょっと…。結婚前の広末の「ちょっとつんつんすねてるけど、かわいらしい私」みたいなのと、ある意味同臭いを感じてしまうので、あの「きょとん」をやめてくれればいいのだが…。相変わらずお顔はかわいらしいが。

そして渡部篤郎。ダストに移って良かったですね。広末と渡部と南野陽子を見ていると、事務所って大事だなとつくづく思う。