「月曜の夜って、やっぱり疲れるよな。あと四日働かなきゃいけないから」
「お仕事ごくろうさま。その様子だと、相当たいへんなことがあったみたいね」
「うん。ちょっと顧客のクレーム処理に追われてね。明日にはなんとかなると思うけど」
「あまり無理しなくていいのよ。いい加減な風にみえて、背負いこむタイプだから」

いったん取りかかった仕事については、最後まで目を通さねばいられない性格だ。
気配りが細かいといえば聞こえはいいが、責任の所在をはっきりとさせたいだけである。

「そんな気張らなくても、できないものはしかたいないんだから。仕事を任せるのも仕事よ」
「それはわかってるんだけどなあ。なんかガスの元栓をしめわすれるようでな」
「そこは信用してあげなさいよ。料理を私へ完全にあずけているようにね」

手先が異常に不器用だからこそ、なにひとつ料理はしないと決めている。インスタント以外は。

「俺に料理をまかせた瞬間、血だらけの味噌汁や卵焼きができる。鉄分のとりすぎはよくない」
「たしかにリンゴの皮もむけない人に、包丁をあつかう仕事はさせたくないわね」
「だろ。これは責任を押しつけてるわけでもなく、たんに向き不向きの問題なんだ」
「でも前に私が寝こんだときは、お粥をつくってくれたじゃない。おいしかったわよ」

あんなのは料理でもなんでもない。米くらいはさすがに炊けるし、あとは調味料での味付けだけだ。

「あなたはどう考えているか知らないけど、私は完全にまかせているから。私の何もかもを


それはこちらも同意見だ。信用する相手だからこそ、完全にプライベートを共有できる。
こっちにおいで、
彼女がよぶ。腕が背中に巻きついた。こんな月曜の夜が続くなら、大歓迎だよ。