「いやあ、じつに寿司だったな。まったく寿司な晩メシだった。良かったよかった」
「あなたは本当に回転寿司がすきよね。今日も15皿かしら、よく飽きないわね」
「俺は寿司とともに人生をすごしたいんだよ。なにしろ小さいころは貧乏だったからなあ」
当時は100円寿しのような気軽に入れる店がなく、持ち帰り用のものしか食べられなかった。
それでも鉄火巻きなどを店先で注文したときは、子供心ながらにドキドキしたものだ。
「いまから思うと、あのときの味ほど美味しいものはなかったかもしれないなあ」
「思い出補正ってやつね。私も両親が誕生日に焼いてくれたクッキーの味が忘れられないわ」
「そういや年に一回くらい、母親がブリの半身を買ってきてさ。みんなで握ったもんだよ」
「いいなあ。貧乏というには豪華じゃない。さぞかし美味しかったんだろうね」
握った酢飯に切られたブリをのせて、そのまますぐに食べる。至福のときだった。
手から魚の臭いがとれなくなるのには閉口したが、それをふくめて良き思い出である。
餃子も一緒につくったこともあった。かなりのオリジナルな味で、一度に20個ほど食べたものだ。
「なんか無性に食べたくなってきたぞ。というより作りたくなってきた」
「そのわりにはまるで料理をしないわね。どう、私が教えてあげようか」
「いや、それは君にまかせるよ。器用じゃないのは承知なはずだろ」
「ようは、簡単ですぐに食べられるものがいいのね。よし、明日焼売を一緒に作ろうよ」
さすがは以心伝心である。ビールのつまみに最高だ。調子がよければ30個はいける。
「私はお母さまとちがって、厳しいわよ。手ぬきはゆるさないから覚悟しておいてね」
どうせなら友人を呼んで焼売パーティーにしたいが、甘えられないから母親役に専念させるか。
「あなたは本当に回転寿司がすきよね。今日も15皿かしら、よく飽きないわね」
「俺は寿司とともに人生をすごしたいんだよ。なにしろ小さいころは貧乏だったからなあ」
当時は100円寿しのような気軽に入れる店がなく、持ち帰り用のものしか食べられなかった。
それでも鉄火巻きなどを店先で注文したときは、子供心ながらにドキドキしたものだ。
「いまから思うと、あのときの味ほど美味しいものはなかったかもしれないなあ」
「思い出補正ってやつね。私も両親が誕生日に焼いてくれたクッキーの味が忘れられないわ」
「そういや年に一回くらい、母親がブリの半身を買ってきてさ。みんなで握ったもんだよ」
「いいなあ。貧乏というには豪華じゃない。さぞかし美味しかったんだろうね」
握った酢飯に切られたブリをのせて、そのまますぐに食べる。至福のときだった。
手から魚の臭いがとれなくなるのには閉口したが、それをふくめて良き思い出である。
餃子も一緒につくったこともあった。かなりのオリジナルな味で、一度に20個ほど食べたものだ。
「なんか無性に食べたくなってきたぞ。というより作りたくなってきた」
「そのわりにはまるで料理をしないわね。どう、私が教えてあげようか」
「いや、それは君にまかせるよ。器用じゃないのは承知なはずだろ」
「ようは、簡単ですぐに食べられるものがいいのね。よし、明日焼売を一緒に作ろうよ」
さすがは以心伝心である。ビールのつまみに最高だ。調子がよければ30個はいける。
「私はお母さまとちがって、厳しいわよ。手ぬきはゆるさないから覚悟しておいてね」
どうせなら友人を呼んで焼売パーティーにしたいが、甘えられないから母親役に専念させるか。