人間の魂の色について、説明してくれた後、藤崎さんが、違う話題を

振りそうになったんだよね。守護天使のこととか、あんまり話したら

いけないのかな？でも、ここまで聞いたんだから、最後まで聞かないと

納得しないよ、私は！

「協議会があるとかって、なんか意外です。協議会のメンバーが

誰なのかも気になるところではあるんですけど、それより、もっと気になる

のは、藤崎さんは今の説明の限りではないんじゃないかなってことです。

藤崎さんは、違うんですよね？」

「あっ、僕の話ですか。そんなに大した話ではありませんけど、ミウさんが

知りたいのなら、お話しますね。

僕は、元々人間ではなく、守護天使という役割を担っている存在なので、

魂に色がつかないんです。人として生まれてくる時には、便宜上、生年月日、

時間、場所を設定しますけど、その限りではないということです。

僕が創られた時に決められた魂の質を永遠に生きることになります。

だから、便宜上の生年月日、時間、場所に縛られることはないんです。

それでも、今は人として生きているじゃないですか。そうすると、魂自体には

色がつくことはないんですけど、魂の周りを覆うような感じで、色を発することは

ありますね。こんな感じですが、分かって頂けましたか？」

「はい！じゃ、藤崎さんだけでなく、レオンくんもそうなんですよね？」

「そうですね。でも、レオンの場合、創られた時に決められた魂の質に近い

生年月日、時間、場所を選んだので、守護天使の時とあまり変化はないと

思いますよ（苦笑）だから、アトラン国に居た頃の接し方と今の接し方に

あまり違いがないんだと思います。

だから、レオンは、初めからミウさんの恋人候補になるつもりはなかったんだと

僕は思っています。ただ、保護者的観点から、ミウさんの恋人になって欲しく

ない元守護天使もいるんだと思います。レオンが言ったわけではなくて、

僕がそう思っているだけなので、違うかもしれませんけどね（笑）」

「そっか・・・そうなんだ。なんとなく、藤崎さんが言ってること、分かる気が

します。レオンくんと居ると安心するんです。守られてる感がハンパないって

いうか。でも、たまに思わせぶりなことも言ったりするんですよ（笑）あれも、

私のこと、試してたのかもしれませんね。

あと、たぶんですけど、レオンくん的に私の恋人になるのは、ハヤトくんとか、

テルさんではなくて、藤崎さんが良かったんだと思います」

「えっ、そうなんですか？」

「はい、なんで、そう思うのかは分かりませんけど、なんとなく、

レオンくんの言動を思い出すと、そんな気がする」

「へぇ〜、そうなんだ。じゃ、今度、聞いてみますね」

「えっ！？私が言ったって言わないでくださいね。

＜また余計なことを言って！＞って怒られちゃいそうなので（苦笑）」

「あはは、レオンって怒るんですか？なんか意外です」

「えっ、そうですか？ま、怒るって言っても怒鳴ったりはしませんけど、

静かに優しく言われた方が響くっていうか・・・（苦笑）」

「なるほど、確かにそうかもしれませんね。それに・・・レオンって、

しつこいし（笑）」

「やっぱり！？そうですよね、レオンくん、ねちっこいっていうか、

そういうところありますよね（笑）」

「ひどい言われようだなぁ（笑）でもね、僕は、レオンのこと、

羨ましいと思っていたんですよ」

「えっ、なんでですか？」

「アトランティーナが、レオンをミウさんの近くに置いたからです。

でも、さっきミウさんが言った、レオンは最初からミウさんの恋人候補に

なるつもりはなかったんじゃないかっていうのを聞いて納得しました。

おそらく、レオンを今世でもミウさんの守護者として、アトランティーナは

置いておきたかったのかもしれません。

アトランティーナも面倒見が良いのは確かなんですけど、レオンの方が

細やかと言いますか・・・（笑）あと、いざという時、アトランティーナは、

遠慮して言えなくなってしまうことがあるんですが、そういう場面でも

レオンは、しっかり言えるので、アトランティーナはレオンに任せたんだと

思いますよ」

「確かに・・・。アトランティーナから教わったことがほとんどなんですけど、

レオンくんとチェリーからも教わることがあるんですよ。アトランティーナから

怒られたことはないけど、レオンくんとチェリーからは、怒られたことが

あるしなぁ（苦笑）そういうことですよね？」

「ま、簡単にいうと、そんな感じです（笑）」

「なんか・・・更にアトランティーナの深い愛情を感じます」

「そうですね。アトランティーナほど愛情深い人はいませんよ、きっと。

あっ、本質的には人ではなかった（笑）」

「そうですよ！アトランティーナは、最高位の天使様ですから」

「そんなことも知ってるんですか！？ミウさん、スゴイですね」

「だって、アトランティーナがそう言ってましたもん」

「だから、アトランティーナにそこまで白状させたことがスゴイんですよ。

アトランティーナ、そのことは、あまり言いたがらないですからね」

「えっ、なんでですか？だって、スゴイことじゃないですか！」

「なんだろう。アトランティーナとしては、落ちこぼれちゃったような

気分になっているんじゃないかなぁ。天使でいる時は、エゴがないから、

そうは思わないかもしれませんけど、人間でいると、どうしてもエゴが

顔を出してしまいますからね（苦笑）

それでも、ミウさんに話したということは、それだけミウさんのことを

信頼しているし、大切に思っているということだと思います。自分にとって

大切な人には、本当のことを知って欲しいと思うじゃないですか。

それは、天使も人も変わりないですから」

「じゃ、藤崎さんは？まだ、知り合って間もないし、つきあうって話も

さっきしたばかりだから、まだ、そこまでの信頼とか、大切感はないか（笑）

でも、いつか、お互いに、そう思える存在になれたら良いなって、今、

思いました」

「そうですね。でも僕は、今でも結構、ミウさんのこと、信頼していると

思いますよ。ミウさんは、まだみたいですけどね。僕のこと、まだ＜藤崎さん＞

って言うし（笑）」

「あっ、それは・・・。っていうか、藤崎さんじゃなかったら、なんて呼べば

良いんですか？それを先に教えてくださいよ！」

「弦夜で良いですよ」

「えっ、いきなり呼び捨てですか！？それはちょっと・・・。

じゃあ、弦夜くん。う〜ん、でも、それだとレオンくんと同じだし・・・。

そうだ！弦ちゃんっていうのは？」

「弦ちゃん・・・。藤崎さんよりは、良いかもです（笑）」

「じゃ、これからは、弦ちゃんで（笑）でも、仕事の時は今まで通り、

藤崎さんって言いますからね」

「じゃ、僕も仕事の時は、久遠さんって言うようにします。間違って

ミウさんって呼んでしまった時は許してくださいね」

「いや、許しません（笑）っていうか、五十嵐智美のこともありますから、

間違わないで頂けたら嬉しい・・・かな（苦笑）」

「そうですね（苦笑）でも、彼女のことは、早々になんとかしないとですね。

時間が経てば経つほど、ややこしくなってしまいますから。とはいえ、

食事に誘われただけで、告白されたわけではないので、対処しようが

ないんですけどね（苦笑）」

「イベントが終わった後、告白してくるかもしれないですよ」

「確かに！じゃ、その時にハッキリお断りすれば問題ないですね」

「と思いますけど、一応、レオンくんと対策を練っておきましょう」

「そうですね。困った時のレオン！彼は頼りになりますからね（笑）」

「確かに（笑）」

こうして、カフェでは少し盛り上がって、楽しい時間を過ごした。

やっぱり、高級感溢れるお店よりもオシャレでも気軽な感じのお店の方が

話しやすいってことだね（笑）ああいうステキなお店は、たまに行くから

良いのであって、いつもあんなお店だと、ちょっと疲れちゃうかもしれない。

でも、高級感溢れるお店も慣れたら、そうでもなくなるのかな？

いや、慣れたとしても、お店の雰囲気に合わせてしまうような気がするから、

慣れとかは関係ないんだと思う。

＜次回へ続く＞

守護天使と人間