1998年に放映された野島伸司脚本の世紀末の詩。



オムニバス形式で「真実の愛とは」をテーマに様々な視点からの人間模様が織りなす「愛」を竹野内 豊演じる野亜 亘(のあ わたる)と山崎 努演じる教授が関わり、各々の意見を交わしていく哲学的なドラマ。



その中で私が一番印象に残った第2話「パンドラの箱」。



とても悲しく、考えさせられた第2話。



簡単に紹介したいと思います。


みなさんはどんな印象を持つでしょうか…。






ふと道を歩くとても美しく綺麗な女性…(遠山景織子)。



その手には杖、彼女は幼い頃から全盲でした。



彼女は花火大会の夜、一人の男性と出会います。



その男性(斉藤洋介)は特に財力もなく誰が見ても冴えてるとは言えない普通の中年の男性。



その男性はなぜ目が見えないのに花火大会なのか不思議に思います。



男性が問うと女性は大きな音と共に広がる花火を目一杯想像するのだと言います。



その純粋さに男性は心奪われてしまいます。



親しくなり何度も会い続けるうちに男性は、「自分の見ているこの素敵な景色や美しい物を見せてあげたい、共に喜びを分かち合いたい」という気持ちにかられます。



その優しい男性の気持ちに女性は答え、プロポーズには涙さえ流しました。



そして男性は財産をはたいて彼女の目の手術をする決心をします。



謙遜する男性に亘(竹野内豊)は「なんて純粋な愛なんだろぅ」と感激し、後押しします。



けれど教授(山崎努)はいい顔をしませんでした。



何も信じて疑わない亘。




目の手術が終わり、彼女は目を開けました。




一番最初に鏡で見た自分の顔。



あまりの美しさに見とれてしまいます。




そして主治医(袴田吉彦)の顔、そして男性の顔を見ます。




満面の笑顔で見つめる男性に対して彼女は、





え…?




という表情。




そのわだかまりはどんどん大きくなり…




それから退院した彼女に男性は嬉しそうに将来の事を話します。




けれど彼女に以前の笑顔はありませんでした。



彼女の目に写るのはショーウインドウに写る自分の綺麗な顔。


ふとした瞬間に写る綺麗な綺麗な自分の顔。




彼女は自分の綺麗な顔にみとれるようになりました。




そして男性は近い花火大会に彼女を呼びます。




そこでプロポーズを完全な形にするために。




…けれど、彼女が来る事はありませんでした。




彼女は目の手術をした主治医とレストランにいます。




主治医は「失礼ですがあなたと彼の関係は…?」



彼女はためらわず「よくしてくださる、ボランティアの方です」と。



そして主治医からのプロポーズ。



彼女は快く頷きます。



そして持ったシャンパングラスに写る綺麗な綺麗な自分の顔…。




すべてが終わった時、男性は優しく、



「いいんです。彼女が幸せなら…」




亘は驚嘆します。




教授と亘に場面が移り、




教授が「手術なんてよしゃあよかったんだ」




「欲と名のつくものは全て見えるものだ、彼女はそれが見えなかった。だから恐ろしく透明だった」




亘は泣き震えながら「愛はあると言え…」




それを覆すように教授は「パンドラの箱には「希望」が残されていたという。なぜ「愛」ではなく「希望」なんだ!!」




亘は泣き叫びながら「愛はあると言えー!!」



そこで教授は「人は一番眩しい時に一番大事な物を見失う!」



真面目なバカボンの亘と論理的な教授の「愛」の視点…




最後に広場でピエロの仕事に戻った男性のシーン。



「僕は…古い時計になるよ…」



時計のマネをする男性に降り出す突然の雨…




小走りになる人々をよそに。




そしてジョン・レノンの「LOVE」にのせて映し出されるメッセージ…




ハローベイビー

僕はいつも不思議だね

人は見える物を欲しがるんだ

自分はいずれ消えて行くのに…



この回を見て一気に最終回までのめり込みました。



なんてドラマなんだろう!



全話おとぎ話みたいなタイトルなのにストーリーが残酷で悲しい。



愛に形や答えなんてないと思ってますが、なんて考えさせられて共感できるんだろう(ノ_・。)



毎回ラストのハローベイビーのメッセージが胸に焼き付く事。


好きな相手にとても伝えたくなるような不思議な気持ち。



ジョン・レノンの「stand by me」に始まり「LOVE」で終わるこの素敵な世紀末の詩。



必ずや心に来るものがあります。



心に残るセリフがあります。



機会があれば全ての人に絶対に見て欲しいドラマです☆




ハローベイビー

僕はきっと愛を知らない

君もそうならついておいで

この果てしない物語の彼方へ…