いいお

孤独死した人の自宅を清掃・消毒して原状回復する「特殊清掃業者」
が急増している。業界団体によると、全国で5000社以上が参入しており、
団体が民間資格の認定制度を始めた5年前から業者数は15倍超にふくらむ。
高まる需要の背景に、家族・親族関係の希薄化が浮かび上がる。

特殊清掃業者は故人の住宅の管理人や親族らから依頼を受け、
清掃や消毒のほか、遺品整理を請け負うこともある。孤独死の場合、
遺体発見まで時間が経過すれば、室内の臭いや汚れがひどくなる。
業者は特殊薬品や殺虫剤、電動のこぎりなどを使って室内を原状回復し、
感染症予防のため防護服を着て作業することも多い。(毎日新聞)


当ブログでは、ふだんは政治・経済・社会の話題は取り上げない
ことにしてるんですが、この記事はオカルトとも関係があるので、
少し考察してみたいと思います。さて、まず「孤独死」についてですが、
これは法律用語ではないため、明確な定義はありません。
行政機関では、「孤立死」という表現が使われることが多いようです。

キャプチャ

社会的な通念としては、「一人暮らしの人が誰にも看取られることなく、
当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡すること」
こんな感じでしょうか。孤独死は、必ずしも高齢者とはかぎりません。
20代でアパート暮らしをしてる人の孤独死なんかも、けっこうあるんです。

また、孤独死は「一人であることを自覚しながら亡くなる」ものなので、
一般的には、眠っているうちに死亡するなどの「突然死」は含まれません。
でも、そのあたりの死の状況は、なかなかわからないことが多いですね。
あと、「自殺」も孤独死にはあたりません。

とはいえ、孤独死の中で高齢者の占める割合は当然ながら高くなっています。
また、孤独死する男性は、女性の2倍以上です。
現在、年間で3万人程度の人が孤独死していると考えられますが、
この数は、高齢者の増加とともに、ますます増えていくものと思われます。

ですから、引用記事のように、特殊清掃業者が増えているわけです。
需要のあるところに供給ありです。それから、孤独死するのは、
まったく身寄りのない人というわけではなく、
子どもや孫が離れたところにいる場合のほうが多いんです。



老夫婦のうちのどちらかが亡くなり、子どもが引き取ろうと言うのを
断ったりしているケースです。「子どもに迷惑をかけたくない、
まだまだ自分は大丈夫」こんな気持が孤独死を生みやすいんだと思います。
あと、自分はアメリカに住んでましたが、
アメリカでは、いわゆる孤独死はすごく多いんです。

アメリカでは、親と子どもは独立した別家庭という意識が強く、日本のように、
子どもが親の介護をしなくてはならないという社会的慣習はありません。
これは、人は死ぬときまでまで自立しているべき、
という考え方があるためです。孤独死ではなく、自立死なんですね。
その分、食事の宅配や、民間のヘルパー、訪問看護師ステーション、

医師が常駐する高齢者向けマンションのような社会サービスが充実しています。

さて、実際に孤独死が起きればどうなるか。もちろん、最初に警察の
検視があります。場合によっては司法解剖も。もし遺体がどろどろに腐敗
していたりすれば、本人であるかどうかのDNA鑑定も必要です。
この後、事件性がないと判断されれば、遺体は家族のもとに返されますが、
遠い親戚などしかいない場合は、引取拒否もあるようです。

遺体はどんなにどろどろでも、プロである葬儀屋に依頼すれば、
運搬し、火葬までを受け持ってくれます。
その後、腐敗液などで汚れてしまった部屋を掃除するのが、
特殊清掃業者ということになりますが、これにまつわる怪談は、
いろいろネットでも紹介されていますね。

っきう

部屋が汚れてしまった場合、もし賃貸などであれば、
部屋の所有者から高額の賠償請求をされる場合があります。
さて、では、孤独死は事故物件(心理的瑕疵物件)にあたるでしょうか?
ほんらい、孤独死は病死ですから、自然死とみなされて、
次の入居者に対して、告知義務が発生することはないはずです。

ただし、遺体が長期間発見されず、腐敗したりしていた場合は、
近隣にそのことが知れわたってしまうので、
いくらきちんとリフォームしていたとしても、部屋の所有者が

入居者に告知せずに、裁判で負けてしまった判例があります。

あと、人の死の判定は、基本的に医師でないとできません。
ですから、ある人が部屋で倒れているのが発見されたときに、
一目で死んでいることがわかったとしても、
救急搬送された先の病院で死亡確認されることになります。
その場合、部屋で死んだということにはならないんですね。

さてさて、ここまで孤独死についてみてきました。
もし、これに関連した怪談を書くような場合は、
参考にしていただけたらと思います。で、上でアメリカの事例を

書きましたが、自分は、必ずしも孤独死が悪いとは思いません。

家族や親戚一同に囲まれて最期を迎えれば理想的でしょうが、
病院で死ぬのも、それはそれで怖い面があるんですね。というのは、
病院に入院してしまうと、なかなか楽には死なせてもらえないからです。
意識のないまま、いったん人工呼吸器などの生命維持装置に
つながれてしまうと、それを外すのには、いろいろ難しい問題があります。

アメリカでは「No Code」という刺青をしている人や、
タグを首にかけている人もいて、これは、「コードにつなぐような

延命措置はしないでください」という意思表示です。ということで、

元気なうちから、家族や、他人にも迷惑をかけない死に方について
考えておくのは大切だと思います。では、今回はこのへんで。