政府は27日の閣議で、未確認飛行物体(UFO)について、
「地球外から我が国に飛来した場合の対応について特段の検討を行っていない」
とする答弁書を決定した。立憲民主党の逢坂誠二衆院議員が、
2016年に施行された安全保障関連法で定める「武力攻撃事態」や
「存立危機事態」に該当するかを問う質問主意書を出していた。

逢坂氏は、米国防総省が過去にUFOや地球外生命について極秘に調査していた
とする米国の報道に基づき、UFOへの対応をただした。
これに対して答弁書は「政府として(UFOの)存在を確認したことはない」
「個々の報道について答弁は差し控えたい」とした。

政府は07年に「(UFOの)存在を確認していない」とする公式見解を
初めて示した。当時の町村信孝官房長官は、
「個人的には絶対いると思う」と私見を述べていた。(毎日新聞)




今回はこの話題でいきます。前にもアントニオ猪木議員が、
UFOへの対応について国会で質問したことがありましたが、
そのときは、防衛大臣が困惑して、あいまいな返答になっていました。
今回は、はっきり「UFOへの政府としての対応策はない」
という回答が示されたわけですね。

うーん、でもこれ、難しい話ですよね。この場合のUFOというのは、
単に「未確認飛行物体」ということではなく、
宇宙人などの知的生命が操縦している物ということだと思いますが、
さすがに、それについての対処法を、
前もって決めておくのは無理なんじゃないかという気がします。

だって、もし宇宙人がUFOに乗って地球にやってきたとしても、
友好的なのか敵対的なのかもわからないわけですし、
宇宙人と地球との文明の発達度の差がどのくらいあるのかも

わかりません。もしそういうことがあったら、その場その場で、
臨機応変に対応していくしかないんじゃないでしょうか。

 



さて、過去に宇宙からの訪問者が地球にやってきて、人類の進化や
文明の発達に影響を与えたとするSF作品は多数あります。小説だと、

有名なところでは、カート・ヴォネガットの『タイタンの妖女』とか。
映画では、『2001年宇宙の旅』なんかがそうですよね。あと、

『エイリアン』の派生シリーズでは、宇宙人の「エンジニア」が、
地球にDNAの素をふりまいて、生命を誕生させたことになっていました。

では、これと逆の場合はどうなんでしょう。逆というのは、
地球人が宇宙に生物学的な影響を与えてしまう事態のことです。
人類が宇宙開発時代に入って久しく、日本もたくさんの人工衛星や

探査機を宇宙にうち上げていますが、それが宇宙に対して、
生物学的な汚染を引き起こしてしまう危険性が、
最近、強く言われるようになってきているんです。

例えば、アポロ12号の有人月探査は1969年のことでしたが、
その2年前に、無人探査機サーベイヤー3号が月に到達しています。
それをアポロの宇宙飛行士が回収して地球に持ち帰り、調べてみると、
なんと、連鎖球菌という乳酸菌の一種が繁殖しているのが発見されました。
(宇宙汚染はなかったとする異論もあります。)

サーベイヤー3号の回収


連鎖球菌は、地球上ではどこにでもいる存在なのですが、
サーベイヤー3号に付着した菌が月に到達し、その後2年の間、
放射線と真空にさらされた月面で生き残っていたことになります。
これはすごい生命力ですね。こんな形で、地球人が宇宙を汚染してしまう、
宇宙に生命のタネをふりまいてしまう懸念が大きくなってきているんです。

細菌だけではなく、もっと高等なクマムシやネムリユスリカなどの昆虫も、
休眠の状態で宇宙空間を生きのびることができるという研究もあります。
ですので、地球に宇宙人がやってくるという事態を予測するより先に、
地球人が宇宙を汚さないことを考える必要があるようです。

クマムシ


人間の体には数十兆の細菌が住みついていると言われます。
また、宇宙に打ち上げるロケットの表面にもたくさんの細菌やウイルス、
バクテリア、植物の胞子や花粉などが付着しています。
これらをできるだけ宇宙に出さないため、NASAでは、
探査機などの宇宙に出るもののすべてを高温で減菌処理しいています。

また、最近、火星に水が存在することが確実視されるようになって

きましたが、火星の水がある部分など、生命の繁殖が可能な地域については、
絶対に地球から持ち込まれた生命で汚染されることがないよう、
厳密に対処していかなければならない、
という議論が国際的に進められているんです。

さてさて、とはいっても、完全に地球の生命を宇宙に持ち出さないようにする
のは不可能です。人類は1950年代から、宇宙へ探査機を飛ばし

はじめましたが、その中には太陽系外へ出ていったものもあります。
それらに地球の細菌が付着していて、どっかの星で繁殖している

なんてことが絶対にないとは言い切れないと思います。

ということで、遠い遠い将来になるでしょうが、
宇宙人が地球にUFOでやってきて、その第一声が、
「地球のお父さん、あなたがたのおかげで私たちは誕生しました。
私たちははるばる、生命の故郷である地球へとやってきたのです」
なんて言われることがあるかもしれませんね(笑)。では、このへんで。