今回はこういうお題でいきます。オカルト論になります。
さて、探検はきわめて幅広い意味内容を持つ概念です。
ネット辞書を見てみると、「危険を冒して未知の
地域に入り、実地に調べること」と出てきます。
ここで、「危険」 「未知」というのは、どちらも重要な
キーワードになります。例えば、誰かがすでにそのルートを
踏破していて、詳細な情報があるという場合、
命の危険は少ないですが、なかなか探検とは言いにくいと
思います。一般的には、先に何があるかわからない状態で
進んでいくのが探検です。それから、冒険という言葉も
ありますよね。では、探検と冒険はいったい何が違うのか。
これは、探検には付随した目的があります。例えば、
ある宗教の布教、領土拡張、資源獲得、貿易拡大などの
宗教的、政治的、経済的なもの。
コロンブスのアメリカ到達
現代でも探検はありますが、その目的は、科学的な観測、
調査が主となっています。ですから、探査という言葉が使われる
ことのほうが多いですね。これに対し冒険は、危険なことに
チャレンジし克服する、それ自体を目的としています。
英語では、探検は exploration、冒険は adventure。
さて、探検の歴史は人類史上かなり古いです。例えば日本では、
縄文人が丸木舟を使って長距離を航海していたことが
わかっています。目的は交易が主だったでしょうが、
危険性は高く、探検の要素を多分に含んでいたと思います。
登山家、冒険家の植村直己さん
世界的には、探検の歴史を3つの区分で分けることが多いですね。
15世紀から始まる大航海時代を中心として、それ以前とそれ以後
という形です。大航海時代以前の探検と呼べる行為はたくさん
あります。中国の僧、玄奘が7世紀に行った天竺への旅も
当時の中国人にとっては探検でした。
また、探検と軍事行動が結びついている場合も多かったんです。
紀元前のカルタゴの名将、ハンニバルのピレネー越えや
アルプス越えも探検に近いもので、未知のルートを通って
敵国に攻め込んでいくのは、危険極まりない行為だったでしょう。
黄金の都ジパング とても日本には見えません
さて、大航海時代と言えば、クリストファー・コロンブスの
アメリカ大陸到達。フェルディナンド・マゼランの世界一周などが
世界史の教科書に出ていて、みなさんもご承知のことと思います。
あるいは、エルナン・コルテスのアステカを征服。
フランシスコ・ピサロのインカ帝国征服など。
この時代、さまざまなオカルト的な伝説が生まれました。その多くが
黄金に関するものです。コロンブスが「黄金の国ジパング」を
目指したのは有名ですが、マルコ・ポーロの『東方見聞録』に
出てくるジパングは、実際にその地に行かずに伝聞を記した
実体とはかけ離れたものでした。
黄金の都エルドラド
「プレスター・ジョンの王国 アフリカまたはアジアにある幻のキリスト教国」も
これに類するものです。それと「エルドラド」 「シボラ」などの黄金郷。
若返りの泉というのもあります。では、当時の探検家はこれらのことを
信じていたんでしょうか。ここはなかなか難しいところで、もしあれば
一攫千金につながりますので、信じたかったとは思いますが、
探検家特有のほら話や、スポンサーに資金を出させるための口実
ということもあったでしょう。さて、最後に近代の探検についても
書いておきましょう。タクラマカン砂漠の「さまよえる湖 ロプノール」
の話は、スウェーデンの地理学者、探検家スヴェン・ヘディンの著書で
有名になりました。話をもう少しオカルト方面に振りましょう。
さまよえる湖 ロプノール?
下の画像はごらんになったことがあると思います。「ロイスの猿、モノス」
と呼ばれ、ベネズエラで発見された未確認動物、類人猿とされます。
1920年、スイス人地質学者、探検家 フランソワ・ド・ロワ が
この写真を撮りましたが、現在ではクモザル説が有力とされます。
ド・ロワはこの大猿の身長を150cm前後と主張していますが、
近年になって写真を再検討した結果、写っている個体はせいぜい
70cm程度と解析されました。また、モノスには尻尾がなかったという
証言に対して、クモザルのしっぽを切断したのではないかという
疑惑も持たれています。何よりこの顔、クモザルそのものですよね。
モノス
「ヘッジス・スカル」の話も有名です。イギリス人の探検家、
F・A・ミッチェル・ヘッジスが1927年に中央アメリカ、ベリーズ
南部の古典期の遺跡ルバアントゥンで発見したとされます。
呪いがかかっているなどとも言われました。
水晶を加工した見事なものですが、どうにも見事すぎます。
じつは、ヘッジス自身は発見の詳細は記してないんです。2008年、
ヘッジス遺族の依頼により、スミソニアン研究所で精密な調査が行われ、
スカルの表面にはダイヤモンド研磨剤、金属ドリルによる加工痕が
あることがわかりました。どうやら近代のドイツでつくられたようです。
ヘッジス・スカル
さてさて、ということで、探検について見てきましたが、
探検という言葉を聞くとロマンがかき立てられますよね。現代の
探検は、その舞台を深海や宇宙に移していますが、
やはりオカルト話が語られています。では、今回はこのへんで。