今から8年前の1996年、イギリスで狂牛病が問題になっている頃に日本では「0-157」という聞き慣れない名前の菌の感染で多くの人が下痢や嘔吐・発熱に見舞われて死亡する人も出て大きな問題になった。
時の厚生大臣の菅氏はカイワレダイコンが犯人として安全をアピールするためにテレビの前でカイワレダイコンを食べてみせた。しかし、その感染経路やこの菌を持ち込んだのが何であるか結局分からずじまいだった。
「O-157」の正式名称は「ベロ毒素産生大腸菌O-157」という。「O」は菌の特性を示すドイツ語「Ohme」の頭文字。大腸菌は菌の成分は細かく173種に分類され、O-157は「157番目に発見された大腸菌」という意味だ。
O-157の主要な汚染源として牛が存在する。O-157は豚や羊などにもいるが、牛以外の哺乳動物の菌はなぜか人間には感染しない。牛1000頭あたり1頭から4頭の確率で保菌しているといわれ、たとえ保菌していても牛が発病することはない。
O-157は牛にとってはただの大腸菌で無害だからだ。そのために保菌状態のまま食用に加工されてしまう。牛肉が菌を持っていて、この肉にさわった手で他の豚や鶏の肉を触れば感染するし、調理器具をさわれば感染する。また野菜にも感染する。
だから、カイワレダイコンが汚染源かは加工ルートをたどらないと完全には分からない。ただ、上述したように牛が保菌しているのを知らないで何かにさわれば感染することは確かなのだ。
アメリカでは感染が多いのはハンバーガのひき肉だ。通常の肉は表面だけに付着するが、ひき肉はミンチにする段階で菌が内部に混入してしまう。
O-157は加熱すれば死滅するが、肉の内部まで十分に熱を通す必要がある。しかし、肉はレアの半生の状態がジューシで美味しいので加熱が十分ではなくなる。やがて菌は肉のタンパク質を栄養にして繁殖してしまう。
ひき肉を使った料理で感染することが多いのでアメリカではO-157を「ハンバーガ病」といわれている。
by Yasuo
参考図書:「肉食が地球を滅ぼす」中村三郎著