春の嵐 | 男の滑走路

男の滑走路

日々の出来事を徒然に・・。

昨日、お客様の本社移転の式典から帰ってくる時の話。


素晴らしい式典の土産話を抱え、オフィスに戻ろうと目黒川に架かる橋を歩いていると突然、強い風が吹いた。


あまりの風の強さに歩を止めていると、前方にいたおばあちゃんが風にあおられ、ヨロヨロと尻餅をつくような姿勢で倒れてしまった。


自分の目の前で倒れたので、近くに寄って「大丈夫ですか?」と聞いてみるも返事がない。


“まずいな、もしかして頭を打ったかな?”と思い、何度か「大丈夫ですか?」と聞くと少しして反応があり、足に強い痛みがあり、思うように足を動かすことができない様子だった。


それでもガードレールを掴んで無理に立とうとするので、「無理しないで、そのままの姿勢で休んでたほうがいいんじゃないですか~」と伝え、おばあちゃんの家はどこなのか?何処に向かっているのかを聞いてみたところ、おばあちゃんは戸越銀座に一人で暮らしていて、これから老人ホームに向かうところだったようだ。


しばらくすると「うちに帰りますよぉ」とおばあちゃん。でも一人暮しだし、足を動かすことができない状態なので、こりゃ病院に行った方がいいなと思い、おばあちゃんを担ぐのを手伝ってもらうためにオフィスから若手社員に来てもらって、タクシーをひろうことにした。


さぁ、病院はどこだろう。


パッと思い浮かぶ一番近くの大きな病院は、僕らがお世話になっているみかか系病院。


しかし、過去のいくつかの経験からこういう場合、受け入れてもらえるかなぁというのと、診察までにかなりの時間を要する気がしたので、総務に電話して最寄りの外科を調べてもらった。


若手と通行人と私の三人でおばあちゃんをタクシーに乗せて(これが結構大変だった)、最寄りの病院に念のため電話をした。


プルルル・・・


出ない。


こりゃ休診かなと思い、総務に別の病院を調べてもらいつつ、タクシーで最寄りの病院に向かう。


病院に着き診療時間を見ると、やはり夕方まで休診。ドアをトントンとノックするも反応はない。


じきに総務から電話があり、消防署にいくつかの病院を聞いたというので教えてもらった。


次の病院は、北品川の外科病院。すぐに電話をすると今度は繋がった。


こちらも休診時間だというが、症状を伝えると診て頂けるとのこと。ありがたい。


北品川に向かう。


座席で姿勢を変えるたびに痛そうなおばあちゃん。膝や足首ではなく腰から大腿にかけて痛みがあるようだ。


やがて病院に到着。


広末涼子が卒業した高校の隣にあるこの病院、どうやら外科が専門。よかった。出てきた看護師曰く、他にも突風で倒れて運ばれた方がいるとのこと。


タクシーからストレッチャーに乗せて、レントゲン室へ向かうおばあちゃん。


看護師の問いかけに生年月日と名前をはっきり伝えていた。


大正10年生まれ、だそうだ。86歳、高齢だが話す言葉はしっかりしている。


患者との関係を聞かれ、親類ではなく通りすがりのものですと伝えると、付き添いはここまででもう大丈夫ですよ~と。


痛み方からすると骨折してるかもしれないと看護師が言っていたのでオフィスに戻るのはかなり気が引けたが、ここは専門家に任せて、戻ることにした。


あの時、救急車を呼ばなくてよかったのか?レントゲンの結果を聞かなくてよかったのか?自問自答しながらオフィスに戻る。


そんなことをがあった年度始め。


新たな船出、新たな組織、新たなメンバー、新たなミーティング・・・


混沌料理なところもたくさんあるが、歩みを止めてはならないので、走りながら考えることにしよう。


考えて走る・・・オシムジャパンと似たような感じか。


さぁ、平成20年度、初心に帰って、仕事に努めようと思う。


おばあちゃん、大丈夫だったかなぁ?