『この本を盗む者は』を劇場で鑑賞。
原作は深緑野分の同名ファンタジー小説。
原作未読。――帰りに購入したので、これから読みます。
あらすじ:
書物の街・読長町(よむながまち)には、巨大な私設書庫「御倉館」がある。
主人公の高校生・御倉深冬(みくらみふゆ)は、御倉館を管理する御倉家の人間でありながら、大の本嫌いだった。
管理人である父が入院した数日後、御倉館から本が盗まれたことにより、本にかけられた防犯用の呪い「ブック・カース」が発動。読長町は、盗まれた本に記された物語の中に閉じ込められ、町民たちは物語のキャラクターを演じるようになってしまう。
ブック・カースを止めるには、本泥棒から本を取り戻さなければならない。
深冬は謎の少女・真白(ましろ)に導かれ、本泥棒を追いかけながら物語の世界を体験することになる。
面白かったです。
原作が本屋大賞にノミネートされた時点で、一定水準の面白さは保証されているようなものですが。
もっとも、予備知識のなかった私は、映画館で流れた予告編を目にしたとき、ピンときて観ると決めていたのでした。
12月中に鑑賞しなかったのは、年末、ちょっと鬱っぽくて極度の出不精になっていたのが理由です。年が明けたら勝手に精神が復調しました。私事の報告で恐縮です。
本作は、呪いを解く物語である――。
呪いとは、ストーリーを進めるという観点では、ファンタジー展開の原資となっている「ブック・カース」のことです。
てっきり作者の創作かと思いきや、中世では書物の盗難よけのために、本当に呪いをかけていたのだそうな。ウィキペディアで知りました。
本作のブック・カースは、街全体を物語の世界に変えてしまう奇想天外なものです。
目の当たりにしても、すぐには現実として受け容れることが難しい事象です。
そのため、前半の深冬は、驚いているばかりで、能動的に行動するシーンはほとんどありません。
主人公が受身の態度では、物語の魅力は減衰しがちです。
ですが、本作はドラマがしっかりと仕込まれているので、面白さは減衰しません。
ドラマとは、キャラクターの変化のことです。
本嫌いの深冬は、しかし、物語の世界に触れたことで、「続きが気になる」という興味を心に芽生えさせることになります。
終盤では、ブック・カースを仕掛けた黒幕と対決することになるのですが、ここで深冬の価値観は180度ひっくり返っていて、本を愛する者そのものの発言を放つのです。
ここがいいシーンなのですよ。
観賞しながら、黒幕に対して、「真の本好きならそんなことしねーだろ」と思っていたところ、深冬ちゃんが私の思いを代弁してくれたので感動しました。嫁決定!
「お前の代弁をしたわけじゃねーよ!」
ブック・カースの説明をするとき、「ストーリーを進めるという観点では」と、持って回ったような断り書きをつけました。
実は、ブック・カースの他にも、呪いは登場します。
それは、深冬が本嫌いになった理由です。
子供のころ、物語に対して感じていたワクワクする気持ち、彼女はいつの間にか、その気持ちに蓋をするようになっていたのでした。
そのことに気づいた深冬は、子供のころの純粋な気持ちを取り戻します。
呪いを解く物語である、と本作を要約したのは、主人公のこのような心情変化を指してのことでもあります。
そして、深冬と一緒に物語世界をくぐり抜けた私の内心でも、呪いの錠前がひとつ、外れたような感覚があるではありませんか。これが物語の力というものさ。
くり返します。
本作は呪いを解く物語である――。
本と物語が好きな人には、ぜひ観ていただきたい作品です。
【予告】
【主題歌】




