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物語の面白さを考えるブログ

マンガ・映画・フィギュア・思索など

 

『ZOMBIO / 死霊のしたたり』を鑑賞。

Blu-ray〈4Kレストア・パーフェクトコレクション〉を購入したのであります。

何故かというと――

原作がH・P・ラヴクラフトの『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』だからです!

 

猫 「大好きかよ!」

龍 「実は」テヘ

 

 

監督・脚本:スチュアート・ゴードン

製作:ブライアン・ユズナ

出演:ジェフリー・コムズ、バーバラ・クランプトン

公開年:1985(アメリカ)、1987(日本)

 

 

原作の要素を踏襲しつつも、舞台を現代に変え、エログロを追加して大胆にアレンジ!

ラヴクラフトは自作からエロ要素を慎重に排除する作風であり、その真逆のアレンジながらも、これがなかなかどうして面白い。

医学生ハーバート・ウェストと、彼が発明した死体蘇生薬によって生き返った者たちが巻き起こす騒動がおぞましくも楽しい。

ハーバート・ウェストの研究を盗もうとする医学界の権威・ヒル博士は返り討ちにあい、生首と首なし胴体とに分かれたゾンビに変えられてしまう。

しかしヒル博士は終わらない。ロボトミー手術でゾンビを意のままに操り、ヒロインをさらって横恋慕の思いを果たそうとする。人間の尊厳などどこ吹く風のやりたい放題。ホラーはこうでなくっちゃ。

え? ウィキペディアがジャンルを「ホラー・コメディ」としているだって? コメディじゃないよ。ホラーだよ。ひとつの方向に一生懸命なふるまいが、はたから見たらおかしく見えることってあるかもしれないけど、最初からコメディとして計算されているわけではないよ、多分。

 

やっていることはハチャメチャなのに、本作がどうして面白いかを少しまじめに分析すると、各キャラクターの一貫性が損なわれていないためではないかと思います。

ハーバート・ウェストは、天才ゆえの高慢さと狂気を終始つらぬいていますし、他人の研究を盗んで斯界の権威にのしあがったヒル博士は、徹頭徹尾、利己のために他人を利用するクズとして描かれます。

「狂気の高慢ちき」と「プライドの高いクズ」が、死体をバンバン生き返らせながら主導権を奪い合うのです。面白くないわけがないでしょう。

そこに巻き込まれた一般人の助手とその恋人の運命やいかに。――このふたりがドラマ担当であり、当初はハーバート・ウェストの研究を嫌悪していた助手も、死体蘇生という奇跡に魅せられていきます。そしてラストシーンで、ふたりのドラマが最高潮に達し、スパッと終わる。グダグダにならないまとめ方は小気味よく見事でした。