修羅の刻 | 物語の面白さを考えるブログ

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『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』第20・21・22巻を読みました。

第20~22巻は、平安時代を舞台とした「酒呑童子編」。

 

日本史の隙間に「陸奥圓明流」を挿し込んでくる外伝シリーズ『修羅の刻』。

どこにどう挿し込んでくるのか、その絶妙さが毎度楽しい。

今回の「酒呑童子編」は、源頼光が大江山の鬼・酒呑童子を倒した伝説が基になっています。

頼光四天王のひとり、坂田金時が「陸奥」の一族という設定。

坂田金時は、金太郎のモデルとなったといわれる人物で、実在性があやしいので、「陸奥」という架空の人物を当てはめるには、うってつけである。

は~ん、なるほどね、と、ちょっと多寡をくくったような態度でとりあえずの感心を示したら、同じく四天王である渡辺綱までも「陸奥」だった、となって、驚いた。

そこを「陸奥」にするのは無理があるのでは、とも思うが、作者の力技にねじ伏せられてしまう。性別改変までやって史実に反しないのはすごい。

 

主人公・陸奥庚(かのえ)が戦うのは、酒呑童子と呼ばれる鬼だ。

『修羅の刻』においては、超能力やオカルトは排除されているので、鬼といっても妖怪ではなく、人である。

特異体質――常人離れした剛力を持って生まれたために、異形として社会から排斥された男が、鬼となって京の都に仇をなしているのである。

伝説にうたわれるエピソード――頼光が酒呑童子に酒を呑ませて騙し討ちにしたとか、渡辺綱が茨木童子の腕を斬り落としたとか――を、オカルト抜きの現実的なストーリーに仕立て直す作者の手腕に感心してしまう。よくこんなにうまいことを考えられるものだな!

源頼光のキャラクターが、『龍師の翼』の劉邦みたいだな、と思いました。

酒呑童子編、面白かったです。