出来事と文化が同時にわかる 平安時代(朝日新聞出版) | 物語の面白さを考えるブログ

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『出来事と文化が同時にわかる 平安時代』を読みました。

歴史上の人物を知ろうとするとき、その人物の生きた時代だけを調べればいいというものではありません。

その前後の歴史の流れも見なければ、理解は浅いものとなるでしょう。当然のことです。

平将門を調べている身としては、10世紀前半だけでなく、その前後の歴史的推移を知る必要がありました。

平安時代全体を概観できる手ごろな書物はないかと探していたとき、書店で本書を見かけました。

ちょうど大河ドラマで平安時代を舞台とした『光る君へ』を放映しているので、関連書籍がたくさん並んでいたのですね。グッドタイミング!

 

見開き2ページでひとつのトピックが完結する構成で、わかりやすかったです。

政治・外交・社会・宗教・周縁・文化・武士・戦乱の八つのテーマが設定されており、そのトピックがどのテーマに関係しているのか、アイコン表示によってひと目でわかるよう工夫されている点もよかったです。

入門書として良書であると感じました。

おかげさまで、平安京遷都(794)から鎌倉幕府成立(1192)まで、およそ400年におよぶ平安時代をひと言で説明できるようになりました。

では、以下にその成果を披露いたしましょう。

 

〝律令政治の改革を図った桓武天皇の平安京遷都で幕を開けた平安時代は、藤原北家が台頭して権力を握り、天皇の外戚となって摂関政治を始めたが、それを快く思わない天皇側は、天皇を退位した上皇が政治を司る院政というシステムをつくって対抗し、藤原氏の影響力を削ぐことに成功したものの、院の近臣として力をつけた武士に政権を奪われて幕を閉じたのである〟

 

龍 「どうだ、まいったか」

猫 「言うほどひと言か?」

 

 

鎌倉幕府の樹立は「いい国つくろう鎌倉幕府」の語呂合わせで1192年と、私は学校で習いましたが、今は1185年と教えていると聞きおよびます。

そのあたり、正確なところはどうなっているのかな、という疑問がありましたが、本書で言及がありました。

征夷大将軍への就任が幕府成立とイコールと見做されるようになったのは、江戸時代に成立した考え方で、鎌倉幕府には適用できない。政権は段階的に整えられていったと考えられており、成立時期に関しては諸説が存在している、とのこと。

 

・1180年 源頼朝が鎌倉に拠点を定め、東国を実質的に支配した

・1183年 朝廷より東国支配を認められた

・1184年 公文所(のち政所)と門注所が置かれ、政治機構が整備された

・1185年 全国に守護・地頭を置くことが認められた

・1190年 頼朝が全国の軍事警察権を任された

・1192年 頼朝が征夷大将軍に任命された

 

このようにして推移を眺めてみると、ここが幕府成立の瞬間と言えるポイントはないように思われますね。

でも、歴史の教科書に載せるには、どこかで線引きするしかないのでしょうけれど。

 

 

以下、本当にどうでもいい話。

『光る君へ』と聞くと、どうしても「光るパジャマ」のCMを思い出してしまいます。

これ

下矢印

 

 

光源氏って、きっとこんな感じだったんだろうなあ(すっとぼけ)。

 

この記事を最後まで読んでしまったあなた、日曜夜8時に「たもれ、たもれ、光たもれ~」が頭の中で鳴り響くようになってしまいましたね。

ご愁傷様です(笑)。