(週刊少年ジャンプ第23号 掲載・巻頭カラー)
エピローグ回。なれど、最終回にあらず。最後のコマを見て、びっくり!
無惨戦から三ヵ月後――桜が満開となる季節。
蝶屋敷には、療養する炭治郎たちの姿があった。
「三ヵ月後」「桜の季節」
時系列を整理する上で、重要な手がかりが提示されました。
浅草で無惨さまと遭遇したとき、珠世さんの隠れ家の桜は満開でした(アニメ準拠)。
最終決戦は、それから九ヵ月後の出来事なのか。季節はもう一巡していて、一年九ヵ月後のことなのか。
エピソード間のインターバルを概算してみると――
・藤の花の家紋の家で骨折を癒す(二ヵ月くらい?)
・那田蜘蛛山のあと、蝶屋敷で治療&機能回復訓練(三十四日以上)
・「無限列車」編と「遊郭」編の間(四ヵ月)
・「遊郭」編と「刀鍛冶の里」編の間(二ヵ月)
・柱稽古(五十日くらい?)
幕間だけで九ヵ月オーバーしてるんですよね。骨折の治癒と柱稽古を短く見積もっても、やや苦しいか。
あまり頭カチコチで考えても面白くないので、この話題はフワッとさせたまま保留にします。
表紙――。
この世を去った者たちの表情は、みな、穏やかです。
生き残った炭治郎と禰豆子が手にしている彼岸花は、死者への廻向か。
死者の列で、珠世さんだけが反対向きなのは、行き先が他の者たちと別であることを示唆している……?
禰豆子・愈史郎との会話を通じて、炭治郎が人間に戻れた理由を読者に説明。
禰豆子の血には、無惨細胞に対する抗体が含まれていたのね。無惨細胞、ほとんど病原菌扱いじゃねーか(笑)。
炭治郎の左腕と右目は、機能していない様子。鬼化によって再生した部分は、鬼をやめると機能しなくなるのか。病人 → 鬼化 → 人間化 による治療は、不完全ということですね。この方法が成功すると、完全な再生医療というオーバーテクノロジーが確立してしまい、後世にあたえる影響が大きすぎるので、適度な落としどころかもしれません。
産屋敷邸では、最後の柱合会議が開かれていた。
鬼殺隊の解散を宣言する輝利哉くん。
幼い身で、隊士たちの〝父〟として重責を担ってきた彼は、ようやく重荷を下ろすことができました。よかったね。無惨さまが滅びたことで、代々短命の呪いからも解放されたことでしょう。これからは、〝ふつうの子〟として、人生を歩んで行ってほしいと思います。
実弥と義勇さんが、何のわだかまりもなく、笑みを浮かべて視線を交わすひとコマもよい。ちょっとしたカットで、いろいろなことが伝わる絵の力よ。
炭治郎の病室には、たくさんの人たちがお見舞いに訪れます。
宇髄家、煉獄家、ひょっとこ集団(笑)、隠軍団(笑)。病室ギチギチ。
炭治郎の人徳だね。
明日、炭治郎たちは生家に帰るべく出立するそうな。
ギチギチの病室を脱け出した伊之助は、盗み食いをすべく、厨房へ。
食事の支度をしているアオイさんに見つかって叱られるものの……アオイさんの神対応で、何かいい感じに。フラグ? フラグが建ったのか? このカップリングは想定していなかったゾ。
庭の桜の樹の下では、カナヲと炭治郎がお話し中。
炭治郎は、カナヲの優しさを、好ましく思っているようだ。これは炭治郎からカナヲに向けて矢印(血鬼術ではない)が出たか。このカップリングは想定内。というか、これ以外だったら、多分、荒れる。
あと、鏑丸くんは、カナヲの服の内側に移住したもよう。けしからん蛇だ。
そのころ廊下では、禰豆子と実弥がバッタリ邂逅していた!
刀でグサグサ刺した罪悪感から、非常に気まずい実弥に対して、屈託のない笑顔で接する禰豆子。
寝るの好きな禰豆子は、すやこさん味がありますね。
人を喰わずに眠って体力を回復させるのって、すやこさんの遺伝子があったから出来たわざでは? 煉獄家の髪型からもわかるとおり、「鬼滅」世界では、先祖の遺伝子が強力ですからねえ。
禰豆子の笑顔に玄弥の面影を重ねた実弥は、それはそれは優しい眼差しで、禰豆子の頭を、頬を撫でる。
お兄ちゃんとはちがう、イケメンの年上男性から愛情のこもった手で触れられ、ドキドキの禰豆子。普段、悪ぶっている男が、ふいに見せる優しさ――このギャップが、女子はたまらんのであろう? ドS医師が見せるデレの瞬間とか。そうであろう? んん?
「元気でなァ」とだけ告げて、クールに去る実弥。カッコよろしい。
これはいい和解シーン。
それを物陰から憤怒の表情で盗み見する善逸の心の声が、下野さんの声で脳内再生されて、腹筋がよじれる。
義勇さん、鱗滝さんとの別れの挨拶をすませ、犠牲となった隊士たちの墓参りを終え、炭治郎と禰豆子は、生まれた家へ帰る途に就く。善逸と伊之助も一緒だ。身寄りのない二人は、竈門家で暮らすことにしたらしい。
爺ちゃんの遺骨を背負っている善逸。着物も、爺ちゃんのものだね。
そして、かまぼこ隊の誰も、刀を差していない。「鬼のいない世界」では、日輪刀は不要。戦いは終わったのだ。
そして懐かしいあのキャラが再登場。三郎爺さん! 一話以来だな。
これだけで目的地に就いたことを示してしまう。ちんたら道中を描写しないテンポの速さが吾峠流。半天狗の見開き二ページ回想を生み出せたのも頷けます。
実家に戻ると、家族の亡骸を埋めた場所には、たくさんの花が咲いていた。
〝命〟は、形を変えて、生き続ける――。
二年以上放置していた家の手入れをし、日常の生活に回帰した炭治郎と禰豆子。
新たな家族となった善逸と伊之助。
四人の笑い声であふれる家は、ふくらんでふるえている―― 表現古いな!
そして時は流れ――最後のコマ、ビルディングが建っているのですけど……!?
時代は一気に現代へ! 昭和? 平成? 令和? どの時代だ?
いや、これ、どう解釈すればいいの?
次号は最終回なの? それとも、第二部のプロローグなの?
メインキャラの子孫が登場するのかな?
荒れる若者たちの前に現れた謎の男(愈史郎)。
どうして今の平和な世界ができたか、教えてやろう、とか言って、昔語りを始める。
「幸せが壊れるときには、いつも、血の匂いがする――」
「鬼滅の刃」 完!
みたいになるのか? もう、これ、わかんないや。
次号へ続く!
今週のアオリ文:
(カラー冒頭) 戦いの日々が終わり――――
(扉) ありがとう そしてさようなら――…
(冒頭) 残された炭治郎たちは―――…
(末尾) そして時は流れ―――… 時代は現代!!! 次号最高潮Cカラー大増24P!!
目次コメント:
ラストページ炭治郎左手使っ
ておりますが作者渾身の作画
ミスにつきご容赦!〈呼世晴〉