夢の中で、これが夢だと気付いた炭治郎。
戦うために家を飛び出そうとする彼を、
家族が引きとめる。
足をとめたものの、ふり返らず、
走り去る――。
その目には、涙があふれていた……。
このシーンは涙腺がゆるみますね。
不条理な暴力によって、破壊された家族の幸福。
本来なら、ずっと続いていたはずの平凡な日常。
夢の中にいれば、それを取り戻せる。
しかし、炭治郎は、それに背を向け、進みます。
過酷な戦いが待つ現実世界へ。
失ったものは還らないと知っているから。
これ以上、誰かに失ってほしくないから。
「鬼滅」のテーマのひとつは、
〝心の強さ〟でしょう。
蝶屋敷を去る際、カナヲに向けた台詞にも、
それは表れています。
「表が出たら」「カナヲは心のままに生きる」
「頑張れ!!」「人は心が原動力だから」
「心はどこまでも強くなれる!!」
そして、心の強さの源は、〝やさしさ〟である――。
それは、炭治郎の無意識領域が語っています。
精神の核を破壊するために、無意識領域へ侵入した青年は、
やさしさの化身である光る小人に案内されて、
やすやすと目的のものを見つけます。
しかし、何もできませんでした。
攻撃する必要も、防御する必要もない、やさしい世界。
そのやさしさに触れたとき、青年の心の弱さも癒されたのです。
他者への攻撃は、心の弱さの表れ。
弱さをごまかすために、他者を打ち負かし、
見せかけの強さを誇示するのです。
光る小人に、弱さごと受け容れられた青年は、
攻撃する意志も意味も失います。
真の強さの前には、争いそのものが無意味となるのでした。
(炭治郎に比べて、善逸・伊之助の無意識領域ときたら……)
夢だと自覚しただけでは
覚醒に到らない魘夢の血鬼術。
夢の中の死が、現実の目覚めにつながると
直観した炭治郎は、おのれの首に刃を当て……
ブシャッと血が噴き出たところで
次回へ続く!

