◇第57話◇ 刃を持て | 物語の面白さを考えるブログ

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夢の中で、これが夢だと気付いた炭治郎。

戦うために家を飛び出そうとする彼を、

家族が引きとめる。

足をとめたものの、ふり返らず、

走り去る――。

その目には、涙があふれていた……。

 

このシーンは涙腺がゆるみますね。

不条理な暴力によって、破壊された家族の幸福。

本来なら、ずっと続いていたはずの平凡な日常。

夢の中にいれば、それを取り戻せる。

しかし、炭治郎は、それに背を向け、進みます。

過酷な戦いが待つ現実世界へ。

失ったものは還らないと知っているから。

これ以上、誰かに失ってほしくないから。

 

「鬼滅」のテーマのひとつは、

〝心の強さ〟でしょう。

蝶屋敷を去る際、カナヲに向けた台詞にも、

それは表れています。

 

「表が出たら」「カナヲは心のままに生きる」

「頑張れ!!」「人は心が原動力だから」

「心はどこまでも強くなれる!!」

 

そして、心の強さの源は、〝やさしさ〟である――。

それは、炭治郎の無意識領域が語っています。

精神の核を破壊するために、無意識領域へ侵入した青年は、

やさしさの化身である光る小人に案内されて、

やすやすと目的のものを見つけます。

しかし、何もできませんでした。

攻撃する必要も、防御する必要もない、やさしい世界。

そのやさしさに触れたとき、青年の心の弱さも癒されたのです。

他者への攻撃は、心の弱さの表れ。

弱さをごまかすために、他者を打ち負かし、

見せかけの強さを誇示するのです。

光る小人に、弱さごと受け容れられた青年は、

攻撃する意志も意味も失います。

真の強さの前には、争いそのものが無意味となるのでした。

 

(炭治郎に比べて、善逸・伊之助の無意識領域ときたら……)

 

夢だと自覚しただけでは

覚醒に到らない魘夢の血鬼術。

夢の中の死が、現実の目覚めにつながると

直観した炭治郎は、おのれの首に刃を当て……

 

ブシャッと血が噴き出たところで

次回へ続く!

 

 

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