◇第123話◇ 甘露寺蜜璃の走馬灯  | 物語の面白さを考えるブログ

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(週刊少年ジャンプ第39号 掲載)

 

サブタイトルを見た瞬間、ドキッとしました。

走馬灯……蜜璃ちゃん死んでしまうん?

時透 VS. 玉壺戦でも、無一郎くん優勢のときのサブタイトルが

「異常事態」。

突発的に何かが起きて、逆転される展開になるのじゃないかと

ハラハラしましたよ。

ワニ先生はこういう仕掛けをしてくるから、油断なりません。

 

矢継ぎ早&広範囲攻撃に対応し、憎鬼に肉迫する蜜璃ちゃん。

鞭のようにしなる薄刃の刀を敵の頸に巻き、引き斬るのと同時に、

憎鬼が口から衝撃波的なものを発射!

これ、互いに、致死性の攻撃を相手にヒットさせてるんですよね。

結果は――

 

憎鬼 「分身でなかったら死んでた」

蜜璃 「特異体質でなかったら死んでた」

 

柱と上弦の戦いはかくも凄まじい。

 

半天狗の本体は別にいるので、こちらが無事なのはいいとして、

肉体が崩れるほどの衝撃波を蜜璃ちゃんが耐えられた秘密は?

 

さすがに意識が飛んだ蜜璃ちゃんの脳裏で、走馬灯がめぐり出す。

そこで明らかになった驚くべき事実。

 

甘露寺蜜璃は、生まれながらに筋肉の密度が常人の八倍ある

特異体質だった!

幼少のころから怪力・大食。

大好きな桜餅の食べ過ぎで、髪の色が変化――根元側は桜色、

毛先側は緑色というヘンテコなカラーリングに。(第6巻おまけページ参照)

そのせいでお見合いが破談になったのは、二年前の十七歳のころ。

かよわいフリをして新たな縁談にこぎつけたものの、

大いなる疑問が点灯する。

このまま一生、自分を偽って生きていくの?

自分が自分のままで人の役に立てることはないの?

自分のままの自分で居られる場所はないの?

 

そして彼女が見つけた居場所が鬼殺隊だった。

 

お花畑恋愛脳だとばかり思っていた恋柱に、

こんなアイデンティティに関する懊悩があったとは!

 

――走馬灯がグルグルしている間に、脳味噌を砕こうと

憎鬼の拳が走る。

手ぬかりなくトドメを刺しに行く半天狗有能。

時透くんのトドメを放棄して鋼鐵塚さんと戯れる玉壺無能。

 

失神状態の蜜璃ちゃんを地面に押し倒して救ったのは、

「木の竜」の戒めから自力で脱出した禰豆子と玄弥、

そして額に痣を浮かび上がらせた炭治郎の三人だった。

意識を取り戻した蜜璃の耳に、炭治郎の叫びが聞こえる。

 

「甘露寺さんを守るんだ!!」「一番可能性のあるこの人が」「希望の光だ!!」

 

(走馬灯の中の声:私のこと好きになってくれる人はいないの?)

 

何やら心に響くものがあった蜜璃ちゃん、復活!

追撃をゆるめない憎鬼の雷撃をすべて斬ってのけたところで

次回へ続く!

 

「鬼滅」では「対比」の手法が多用されています。

ここで対比されているのは、甘露寺蜜璃と半天狗でしょう。

「本当の自分」を隠さずに強くなろうと努力して柱にのぼりつめた蜜璃。

「本当の自分」を隠し守るために強い分身を作りあげた半天狗。

どちらの強さに軍配があがるか?

 

また、蜜璃と無一郎の対比もあると思います。

半分記憶喪失のような状態だった無一郎は、

過去の記憶――〝本当の自分〟を取り戻したとき、強くなりました。

特異体質ゆえに世間一般に受け容れられなかった蜜璃は、

〝ありのままの自分〟を必要としてくれる仲間を得て、

強く在れることを発見しました。

自己承認と他者承認――

強く在るための二つの要件を、二人の柱を通して、

吾峠先生は語っているのかもしれません。

 

今週のアオリ文:

(冒頭)  その刀に勝機アリ――?

(末尾)  涙の数だけ強くなる――!!

 

目次コメント:

走りながらおにぎりを食べる

と喉に詰まって死にかけるよ。

やらないように。 〈呼世晴〉

 

 

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