(週刊少年ジャンプ第39号 掲載)
サブタイトルを見た瞬間、ドキッとしました。
走馬灯……蜜璃ちゃん死んでしまうん?
時透 VS. 玉壺戦でも、無一郎くん優勢のときのサブタイトルが
「異常事態」。
突発的に何かが起きて、逆転される展開になるのじゃないかと
ハラハラしましたよ。
ワニ先生はこういう仕掛けをしてくるから、油断なりません。
矢継ぎ早&広範囲攻撃に対応し、憎鬼に肉迫する蜜璃ちゃん。
鞭のようにしなる薄刃の刀を敵の頸に巻き、引き斬るのと同時に、
憎鬼が口から衝撃波的なものを発射!
これ、互いに、致死性の攻撃を相手にヒットさせてるんですよね。
結果は――
憎鬼 「分身でなかったら死んでた」
蜜璃 「特異体質でなかったら死んでた」
柱と上弦の戦いはかくも凄まじい。
半天狗の本体は別にいるので、こちらが無事なのはいいとして、
肉体が崩れるほどの衝撃波を蜜璃ちゃんが耐えられた秘密は?
さすがに意識が飛んだ蜜璃ちゃんの脳裏で、走馬灯がめぐり出す。
そこで明らかになった驚くべき事実。
甘露寺蜜璃は、生まれながらに筋肉の密度が常人の八倍ある
特異体質だった!
幼少のころから怪力・大食。
大好きな桜餅の食べ過ぎで、髪の色が変化――根元側は桜色、
毛先側は緑色というヘンテコなカラーリングに。(第6巻おまけページ参照)
そのせいでお見合いが破談になったのは、二年前の十七歳のころ。
かよわいフリをして新たな縁談にこぎつけたものの、
大いなる疑問が点灯する。
このまま一生、自分を偽って生きていくの?
自分が自分のままで人の役に立てることはないの?
自分のままの自分で居られる場所はないの?
そして彼女が見つけた居場所が鬼殺隊だった。
お花畑恋愛脳だとばかり思っていた恋柱に、
こんなアイデンティティに関する懊悩があったとは!
――走馬灯がグルグルしている間に、脳味噌を砕こうと
憎鬼の拳が走る。
手ぬかりなくトドメを刺しに行く半天狗有能。
時透くんのトドメを放棄して鋼鐵塚さんと戯れる玉壺無能。
失神状態の蜜璃ちゃんを地面に押し倒して救ったのは、
「木の竜」の戒めから自力で脱出した禰豆子と玄弥、
そして額に痣を浮かび上がらせた炭治郎の三人だった。
意識を取り戻した蜜璃の耳に、炭治郎の叫びが聞こえる。
「甘露寺さんを守るんだ!!」「一番可能性のあるこの人が」「希望の光だ!!」
(走馬灯の中の声:私のこと好きになってくれる人はいないの?)
何やら心に響くものがあった蜜璃ちゃん、復活!
追撃をゆるめない憎鬼の雷撃をすべて斬ってのけたところで
次回へ続く!
「鬼滅」では「対比」の手法が多用されています。
ここで対比されているのは、甘露寺蜜璃と半天狗でしょう。
「本当の自分」を隠さずに強くなろうと努力して柱にのぼりつめた蜜璃。
「本当の自分」を隠し守るために強い分身を作りあげた半天狗。
どちらの強さに軍配があがるか?
また、蜜璃と無一郎の対比もあると思います。
半分記憶喪失のような状態だった無一郎は、
過去の記憶――〝本当の自分〟を取り戻したとき、強くなりました。
特異体質ゆえに世間一般に受け容れられなかった蜜璃は、
〝ありのままの自分〟を必要としてくれる仲間を得て、
強く在れることを発見しました。
自己承認と他者承認――
強く在るための二つの要件を、二人の柱を通して、
吾峠先生は語っているのかもしれません。
今週のアオリ文:
(冒頭) その刀に勝機アリ――?
(末尾) 涙の数だけ強くなる――!!
目次コメント:
走りながらおにぎりを食べる
と喉に詰まって死にかけるよ。
やらないように。 〈呼世晴〉

