"Let's go, Let's go, Let's go!!!"

 

 

アメリカはカリフォルニアにある某道場。私は一回りも大きい相手にブラジリアン柔術をしている。そして私は叫んでいる。

 

カリフォルニアといっても熱いイメージがあるが、山が少なく、雨もほとんど降らず、放射冷却現象により朝夜はすごく冷え込む。朝8時頃の柔術場は、天気は快晴だが、とても寒く、故にとても空気が美味しい。そして私の叫び声が柔術場全体にこだまする。

 

"Let's go, Let's go, Let's goooooo!!!"

何がLet's goなんだ、、と思う人が殆どだろう。

側(はた)から見たら、キチガイ以外何者でもないことはいうまでもなかった。

 

 

単刀直入に言おう、私はLet's go以外何も持ち合わせることなく、アメリカにインターンに来ていたのである。裸一貫になってたアメリカに降り立った私が持っていた唯一の武器であった。もちろん、その企業で、爪痕を残そうと、必要な知識、スキルを準備して意気込んで行ったのも事実である。しかし、その努力は無意味にも打ち砕かれた。打ち砕かれたというよりも、剣を抜くタイミングがなく、切り付けられたといった感覚だろうか。

 

人は誰しも望む職場、望む相手、望む給料、その他望む環境に身を置けると限らない。しかも最近日本では、リスキリングと呼ばれる、積極的に転職に励むような教育システムが企業を中心に導入されてきている。しかし一方で、転職先のスキルは学ぶものの、経験のかけらもない人が新たに飛び込む環境というのは、裸一貫に飛び込む行為と他ならない。これは、字面な話ではなく、感覚としての話である。

 

 

何がLet's goだよお前(笑)

でもお前いいな!!!そうだLet's goだっ!!!

 

柔術相手の方から言われたこの言葉。私は忘れない。私の裸一貫(文字通り”捨身”の行為)を受け入れてくれたのである。良いかどうかはわか分からない。しかし、彼は確かに私のボールを受け取ってくれたのである。

 

○○(私の名前)、Let's go!!!

 

私の声が聞こえなければ、こう畳み掛けられる

○○(私の名前)、Let's goが聞こえないぞ、、Let's go!!!!!!

 

そう、私の仕事はみんなにLet's go!!を言いまくることだったのである。

 

Let's goが側(そば)にあるガラス窓を揺らす。

 

 

 

つづく