今日は、家族皆が大変、お世話になったF先生の追悼のごミサがありました。


昨年の春にがんがわかり、すぐに日本でもトップレベルの医療施設において、手術を受けられました。手術自体は大成功だったそうです。


しかし、その数カ月後に再発・転移がわかり、その後は辛い化学療法(抗がん剤)を頑張って受け続けたのですが、苦しい闘病の末、5月11日に帰天されました。


ご主人様が式の最後のご挨拶の中で、何度か「死に至る病」と仰っていたのが、がん治療に関わる医師としての私にとっては大変悔しく残念であり、聞きながら嗚咽せずにはいられませんでした。


「手術後になぜ、化学療法以外の治療の選択肢があることを見つけられなかったのだろうか?」そのことが重く私に圧し掛かります。がんの制圧を狙う三大療法は、上手くいくことももちろんありますが、抗がん剤の副作用などによって、苦しんだ上、死期を早めてしまうことも多々あります。


防御型がん治療である免疫療法や、副作用のほとんどない高濃度ビタミンC点滴療法などを上手く組み合わせれば、“がんとの共存”が可能になってきているのに…それをF先生にお伝えすることが出来ず、とても残念です。


現行の日本の保険医療下でのがん治療にはどうしても限界があり、また、歪みがあります。その限界に気付かない、あるいは大きな歪みにのみ込まれてしまうがん患者さんはとても多くいらっしゃるのです。最近、問題になっている『がん難民』と言われる患者さんもそれにあたります。


医療体制そのものや政治のせいだけにはできません。自分自身の努力不足を悔やみ、天国にいらっしゃる先生に「一人でも多くのがん患者さんに新しい福音があることを知っていただけるよう、精進します」と誓いました。


F先生、天国の主のもとで、私たちを見守っていて下さい。


F先生がお好きだったという、ウィリアム・ブレイクの詩『無心の前ぶれ』を最後に…


-Auguries of Innocence-


To see a World in a Grain of Sand


And a Heaven in a Wild Flower


Hold Infinity in the Palm of Your Hand


And Eternity in an Hour


一粒の砂の中に世界をみる


一本の野の花の中に天国をみる


つかみなさい 君の手のひらに無限を


ひとときの中に永遠を…