青木晃のアンチエイジング日記

昨日は、NPO法人 「AMATAK カンボジアと共に生きる会 」の理事会に出席しました。場所はカトリック吉祥寺教会。こちらの教会の名物神父の後藤文雄 神父様(別名:神父ゴッちゃん)がAMATAKの代表なのです。


青木晃のアンチエイジング日記

理事会の様子(真ん中が後藤神父様)


このAMATAK というNPO法人は、カンボジアの子供たちのための教育支援を行っています。


同じアジアの国でありながら、カンボジアと日本ではそのQOL(Quality of Life)があまりにも違います。。。


私のミッションのひとつは、究極の予防医学としてのアンチエイジング医学・医療をいかにしてこの日本に広めていくか、また真のアンチエイジングを普及させることによって日本の生活習慣病を少しでも減らすことが、自身の夢でもあります。


しかし、アンチエイジングは豊かな文明国であるというベースがあってこそ、存在しうるものとも言えます。そして、アンチエイジングの考え方の本質である“健康長寿を目指す”ことは、今の日本や欧米社会においては間違いなく重要なことなのです。


一方、この地球上にはまだまだ、貧困や戦争の中、その日その日を生きることさえ困難な人々もたくさんいるのも事実であります。特に、身勝手な大人たちが引き起こした戦争の犠牲となっている子どもたちが、今日、今この瞬間にも、世界のどこかに間違いなく存在することから目をそらせていていいのでしょうか?


AMATAKは2005年5月にNPO法人としての認可を受けていますが、その理念は“学校づくりは希望づくり”にあります。1995年からこれまでにカンボジアの辺境地を中心に15校の学校を建ててきました。


青木晃のアンチエイジング日記
赤い矢印はAMATAKと後藤神父様が建てた学校のある場所を指しています


「学校は知識や文化を伝えて人々の生活を豊かにするだけでなく、子どもたちや村人たちの心に活力を与えます。少女売春などの不当な状況を阻止する一歩にもなります。AMATAKの活動は、内戦などで学ぶ機会を失った人々が、自分たちの力で未来が作れるようにサポートすることなのです。」(AMATAKの紹介パンフレットより引用抜粋)

私たちはこの日本において、子どもたちを比較的恵まれた環境の学校に通わせることが出来ています(もちろんいじめや学級崩壊の問題などはそれはそれでありますが…)。


そんな私たちが今、内戦の爪あと深いカンボジアの奥地で毎日を精一杯に生きる子どもたちにしてあげられることは一体、何なのでしょうか?


青木晃のアンチエイジング日記


私も、2008年の1月に実際、カンボジアに行って来ました。その時の簡単なレポートが、AMATAKの機関誌である『ソックサバーイ Vol.10 』に紹介されています(より詳しいレポートはこちら をどうぞ)。


道中、タイ国境近くの奥地まで行き、旧ポルポト派の村にも行きました。


そこの大人たちが全く表情の無い顔をしていたのに比べ、 子供たちの「クメールの微笑み」に心を洗われる思いがしました。
青木晃のアンチエイジング日記


青木晃のアンチエイジング日記

カンボジアに行く2年ほど前、AMATAK関連のある報告会において、カンボジアの現状を聞いて衝撃を受けたことを今も思い出します。


頭では何となくわかっていたつもりでしたが、写真やDVDでの現地映像を見て心動かされるものが確かにありました。

この国に実際に行ってみると、少なくとも今現在のカンボジアにおいてはお金や物資だけをただ援助するというスタイルのボランティアは間違いであることがよくわかります。


戦争や内戦が今なお起こっていて、それによって生まれる多くの難民がその日を生きることさえままならないというのなら、まずは水と食糧、住む場所や衣類、医療の提供を金銭的な援助という形も含めて検討するのは間違いではないでしょう。しかし、今カンボジアはまさに自立した国家として生まれ変わろうとしている最中にいます。

この時の援助はそれを妨げるようなものであってはいけません。その国の歴史的背景や現状、政府や外郭団体のスタンス、隣国との関係などをよく理解した上で取り組む姿勢が求められます。これは現地に行って現場を見て初めてわかりました。
 
我が国でも様々な団体や有志がカンボジアでの学校づくりをボランティア活動として進めています。


あるTV番組内の企画で芸能人が描いた絵を売ってそのお金でカンボジアに学校を建てようというものもありました。有名な女優さんもカンボジアに学校を作ったことが話題になったりもしました。

しかし、私たちがAMATAKとの関わりの中で行っていくカンボジアボランティア活動は、ただ単にお金だけ出すという形のものではなく、カンボジアの国の歩みと共に進めていくボランティア、カンボジアの国の人々の真の自立を妨げないボランティアでなくてはならないと強く感じます。


青木晃のアンチエイジング日記

実は、このAMTAKの活動においても、その原動力となる資金集めに苦労しています。理事のメンバーの方々もボランティア精神で本当に精力的に限界まで仕事をされていますが、やらねばならないことが山積みのようです。何より御年80歳となる後藤神父様のお身体も心配です。


これから、私自身がどのような形でこの活動に関わり、何が出来るのかということについてはすぐにこれといった名案があるわけではありませんが、何らかの形で関わり続けていきたいと思っています。


医師としても、カンボジアに足を運んで、多くのことを感じ学びました。同じアジアの国でありながら、アンチエイジング医療とは無縁の環境に生きる人々を通し、よりグローバルなスタンスで国境・人種を超えた21世紀のあるべき医学・医療の本質を改めて考えることが出来ました。

最後に、「私がカンボジアに行ってみたい!」という動機付けとなった、後藤神父の著書「よし!学校をつくろう-神父ゴッちゃんの履歴書 (講談社刊)」を紹介しておきます。


ルビ付きで平易な文章なので小学校4年生くらいから読めます。子供たちに読んでもらいたい良書です。笑いあり、涙ありの感動の一冊です(私は通読中、ハンカチが離せませんでした)。


この本の印税はすべて、カンボジアの小学校建設のために使われます。ぜひ、この本を買って、読んでみて下さい。ただ単にお金を出すだけではない、何かを伴った、より本質的なボランティアのひとつにつながること請け合いです。