このブログをお読みの皆様は『ラマダンって言ったって、宗教違ったら断食しなくてもいいんでしょ?何も問題ないじゃん?」と簡単にお考えのことでしょう?サウジに来る前までは、私もそう思ってました。確かに、イスラム教徒が多くても、制限が緩和されて断食をしない人たちにも配慮している国もあります。

 

が!しかし、サウジは戒律を厳しく守ることにかけては筋金入り・・。・・ということで、毎日、断食が明ける日の入りまで飲食店(レンストラン、ファーストフード、フードコートetc)は全て閉まってます。そうです・・サウジには、ラマダン中、”ランチ”も”お茶する?”も存在しないのですΣ(゚д゚;)。

 

もちろん、ラマダン中のサウジでは、会社の就業時間からも”ランチ”は消えます。つまり、サウジの人々は平均5〜6時間の勤務となります。多くの企業も勤務時間や営業時間が短縮されます。駐在員の勤める多くの企業にも同じく短縮時間が遂行されるので、ラマダン時期を好む駐在員さんもいらっしゃいます。

 

が、しかし、世界では、皆が皆、断食をしているわけではなく、経済はラマダン中も動いているわけでして、中には、会社の勤務時間は短縮されているのに、他をカバーして、休日返上で日頃の倍働かなくてはいけなくなる非イスラム教徒の人たちもいます。

 

夫も、アンラッキーなその一人なのですが・・、彼はラマダン中、12時間以上の勤務を毎日こなしています。もちろん、ランチを摂らないと身体も頭も持ちませんので、普通、お弁当を持っていきます。お弁当を作り損ねた日はランチ難民と化し、お菓子などで誤魔化すそうです。

 

そのお弁当も、ラマダン中は気を使います。私が細心の注意を払うのは”匂い”。

会社の同僚には断食している人たちも働いているわけでして、匂いで不快な思いをさせては申し訳ないので、レンチンしても匂いの出ないものをお弁当箱に詰めます。温めても匂いの出ないメニューって難しいんですよね。

 

去年は、サンドイッチばかり作っていたような気がする・・。

今年は、冷えていても美味しい具沢山おにぎりにしてます。

 

夫は、食べるタイミングや場所に気を使うと言ってました。仕事のアポが入っていて、どうしても12時前後に食べないといけない時は、飲み物は水のみ、レンチンもせず、オフィスの扉をしめ、ブラインドも下ろして5分で食べる(笑)という涙ぐましい努力。断食してない人も、それなりに大変なんですよ、この時期はね・・。

 

ところで、夫は多国籍企業に勤めているので、同僚にもいろんな国籍の人がいます。北欧や欧米、欧州、南アジア、東南アジアが主な同僚たちなのですが、もちろん、彼らも断食はしません。家が近い人は、ちょっと帰って食べてオフィスに戻ってくるという人もいるようですが、ほとんどがサンドイッチ持参。でも、飽きるらしい・・。

 

そこで、先週、夫のボスが画期的な提案をしました。

「ラマダン中、外国人雇用者持ち回りで各家でランチに招待するのはどうだ?暖かいランチはたべれるし、自分のところとは違うコンパウンドも見学できる。奥さんたちにも挨拶できるし一石三鳥だろう?」

 

エンタメも少なく、超閉ざされた場所で限られた人のみと交流という偏った生活をしている我々にとっては画期的なアイデアなのですが・・お家での接待経験が少ない駐妻にとっては青天の霹靂。

人数こそ10人程度と少ないですが、宗教も国籍も年齢もバラバラな成人男性の昼食を1時間という限られた時間で賄わなければいけないからです。それも、女性は買い出しにも自由に行けないサウジの地で・・。

加えて、夫は「皆、日本のランチを期待している・・。」ってオーイ!

そりゃ、そうだよね。サウジでも日本食は大ブーム。私からしたら、どんなに高価なレストランでも”なんちゃって日本食”とか”ニューエイジ日本食”なんだけど、”外人”さんたちには大人気。日本人同僚の奥さんが昼食作る=ザ・日本の昼食ってイメージするのも無理はない。

 

「して、私は何時飯炊きババアになるのかな?」と聞くと、

「うちは明後日」とのんきなお答え。「ふざけんじゃねえよ〜」と言いかけだが、何の解決にもならないので止めた。どんなに抵抗しても48時間後に、そのランチはやってくる。早急にメニューを練らないと・・と、日本食の材料をストックしている棚を開けてみると、さすがに1年以上経つので在庫が少ない。海苔巻きでも・・と思ったのだが、海苔が足りない。焼きそば?もんじゃ?焼肉?

豚も酒も使えないザ・日本の昼食ってどうよ〜と考えたのだが、なかなかアイデアが浮かばない。

そうするとTVを呑気に見てた夫が一言、「明日さ〜気温44度だって。暑いからカレーが食べたい・・。」人事を尽くし(てないが・・)天命を待つ!キター!

まさに神の一言、(夫の明日のリクエストは無視して)昼食はカレーに決定。チキンカレーなら、牛を食べないヒンズー教も仏教徒もOK牧場d(^_^o)。純日本食が苦手の東欧のお父さんも食べられる。ベガン(菜食主義)はいないので、一応世界標準の食のタブーはクリア!そして、カレーは日本の国民食!<これ重要。

 

で、メインはチキンカレー、サラダ3種類、デザートにフルーツ、飲み物に決定し、前日は仕込みに専念。暑い時にスパイシーなカレーは最高。幸い、サウジはスパイスが豊富。

せっせとカレー鍋にスパイスを放り込んでいたら、私の頭の中で悪魔のささやきが・・。激辛カレーにしちゃったら、皆、次に来るのは尻込みするんじゃないの〜?

そう、このランチが毎週恒例になってもらっては困るのは私。ちょっと、可哀想だけど門外不出の激辛カレーを進呈することに決めた。

そして、悪魔となった私は、バランスをとるためにデザートのレモンケーキのレモン汁とレモンピールを倍増、より酸っぱーいケーキを作った。

 

ランチ当日、皆さん、許して!これも悪癖を恒例化しないため・・と心を鬼にして、10人のお客様へ激辛カレーを提供。にこやかにメインからデザート、コーヒーとサーブし、さあ、どうだ!皆さん、極端な味に涙目だろ?こんなランチ一回で十分よね?と思いきや、ランチは好評。嘘だろ?と耳を疑ったが、ああ、奥さんに恥をかかせないためのお世辞だ。皆さん、お優しいのね〜・・と思っていた。

 

ところが、その日の夕方、夫からメッセージが・・。

パンチの効いたスパイシーなカレーが好評で皆が絶賛したところ、ボスがラマダン中のランチ接待に使ってもいいか?と聞いてきたと・・。「でさぁ、早速だけど、来週早々ボスが激辛好きのレバノン人顧客を月曜日、香港人顧客を火曜日に連れて行くので宜しくって〜。それにレモンケーキも好評だったよ〜。」

 

「oh、ノーーー(T▽T;)!!」

 

私の悪魔の試みはもろくも崩れ去り、来週も飯炊きババアを(それも2度!)することになったのでした。不覚(´Д⊂グスン。

 

それにしても、彼らの味覚はどうなっているのだ?訳分からん。

 

 

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