今日はちょっと、話が早いかもしれませんが、インフルエンザワクチンの株についてお伝えしようと思います。

すでに今季のインフルエンザワクチンの株が決定しました。

 

ちなみに、 2018/2019冬シーズンのインフルエンザワクチンの株は以下の4つを対象としています。

    A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09

    A/Singapore(シンガポール)/INFIMH-16-0019/2016(IVR-186)(H3N2)

    B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)

    B/Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

 

【インフルエンザウイルス株について】

インフルエンザウイルスは、毎年、冬場に流行しますが、毎年流行するウイルスの「株」が異なります。株を決定する因子はいくつかあり、それらに基づき「ウイルス株」の名称がつきます。

具体的には、インフルエンザウイルスのウイルス株の名前は、六つの部分から成っています。

 

① A,B,Cの型 

② ウイルスが分離された動物(但し、ヒトは記載しない。)

③ ウイルスが分離された地域 

④ ウイルス株の番号 

⑤ ウイルスが分離された年 

⑥ H:hemagglutinin及びN:neuraminidase

 

の6つです。

 


ワクチンに関しては、ネット上にいろいろと情報が氾濫していますが、基本的にWHOも厚生労働省もワクチン接種を推奨しています。
しかし、インフルエンザワクチンは任意での接種になりますので、メリットデメリットなどの情報をしっかりと把握し、ご自身の選択の元で、接種することが必要です。
今回はインフルエンザワクチンについて、解説をしていきたいと思います。

まず初めに、インフルエンザウイルスの「型」について解説したいと思います。

インフルエンザウイルスは、毎年、冬場に流行しますが、毎年流行するウイルスの「型」が異なります。インフルエンザウイルスの表面には、生物の細胞に感染するために必要なたんぱく質が存在し、その種類によって、「A型」「B型」「C型」に分けられています。

A型には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の2種類があり、HAには、さらに16種類、NAには9種類存在し、その組み合わせにより、144種類のA型インフルエンザが存在することになります。


B型には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)がありますが、それぞれ1種類、C型にはヘマグルチニンエステラーゼ(HE)しか存在しません。通常、人に感染し、流行するのは、A型とB型で、C型は軽いかぜ症状のみといわれています。
例えば、東南アジアをはじめとして、発生している「鳥インフルエンザH5N1型」は、HAがH5、NAがN1を持つ亜型のことを指しています。

ウイルスは自分の力では増殖することができません。他の生物の細胞に感染し、感染した細胞の力を借りて、遺伝子のコピーを作り、ウイルスは増えていきます。また、インフルエンザウイルスの遺伝子は増える際に、誤ったコピーが作られやすく、この結果、ウイルス自体に「変異」が起きます。 
生物の体は、一度感染したウイルスに関しては、ある程度免疫ができ、感染しなくなったり、感染しても症状が軽く済んだりすることが多いのですが、この変異が起き、それが感染すると、体の免疫が経験したことのないものが入ってくるために、何度でも強い症状が起きてしまうのです。
そして、通常は、小さな変異が起きているのに対して、数十年に一度、「大きな変異」が起きることがあります。数年前に流行した新型インフルエンザが「大きな変異」にあたります。
大きな変異が起きると、今までとは全く種類の異なるインフルエンザウイルスになるため、多くの人がその大きな変異を持ったウイルスに免疫を持ってないので、大流行(パンデミック)が起こります。そして、その新型インフルエンザにほとんどの人が感染し終わると、季節性のインフルエンザと同じ扱いとなり、その後、小さな変異を繰り返して、ウイルスとして生き延びていきます。

さて、このようなインフルエンザウイルスの型があることが分かったところで、次にそれらに対するワクチンについて解説していきたいと思います。

聞いたことがある人もいるかと思いますが、毎年、ある時期になると「今年のインフルエンザワクチンの型が決まりました」というニュースが流れます。


インフルエンザワクチンの型は、どのように決定しているのでしょうか。
インフルエンザワクチンの型(ワクチン株)は、今まで流行してきた国内外のインフルエンザの情報から予測して決定しています。
毎年WHO(世界保健機構)が、推奨するワクチン株を発表しています。それをもとに、日本国内の流行状況、世界の最新の流行情報などを参考にして、国立感染症研究所をはじめ、インフルエンザ研究の専門家などが、協議し、日本におけるインフルエンザワクチン株が決定されます。

つまり、日本におけるインフルエンザワクチン株は、その年によって全国的に統一されています。どこの医療機関でも、同じ型のワクチンを接種できるわけです。

ただし、ワクチンの製造会社によって、製造過程が違い、保存料など何を使っているかは、ワクチンの製造会社ごとに異なる場合があります。

また、厚生労働大臣が『生物学的製剤基準』を定めていて、これに基づき、厳格に品質検査が行われます。さらに国立感染症研究所でも検定がされ、これら2つの品質検査に合格したものだけが、日本国内のワクチンとして出荷され、医療機関に届きます。


ちなみに、2017年冬から2018年春シーズンのインフルエンザのワクチンの型(ワクチン株)については、
 A型/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
 A型/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
 B型/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
 B型/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)
でした。

キャップスクリニックでは、9月1日から、インフルエンザワクチンの予約を開始し、10月1日から、接種開始となります。

 

キャップスクリニック総院長 白岡 亮平

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