在宅での暮らしが始まると決まった時、
医療の説明や手技については、しっかりと教えていただきました。
出産前は内科医として働いていたこともあり、
医療的な内容については
「分からない」という感覚は、正直あまりありませんでした。
それでも、
「在宅でどう暮らすのか」
ということについては、ほとんど教えてもらうことがありませんでした。
自宅での1日の流れ、
医療機器や物品を家の中でどう使うのか、
どこに置いて、どう管理するのか。
生活のイメージができないまま、
不安を抱えながら退院したことを、今でもよく覚えています。
入院中、
カニューレホルダーを準備してほしいと言われた時や、
口腔内持続吸引を在宅でも続けましょうと言われた時、
どんな物をどう準備したらいいか分からず、相談すると
「皆さんそれぞれ自分で調べてやってらっしゃいますよ」
と言われたことがありました。
責めるつもりはありませんし、
医療者の皆さんが忙しい中で対応してくださっていたことも
そもそもきっと知らないであろうことも
よく分かっています。
ただ、その時の私は、
どこから調べたらいいのかも分からず、
少し放り出されたような気持ちになったのも事実でした。
その不安を救ってくれたのは、
先輩家族の方たちが教えてくれた
「生活の知恵」でした。
気管カテーテルの保管の仕方、
硬くなったシリンジの戻し方、
日々のちょっとした工夫。
それぞれのお家ごとの困りごとから生まれた、
とてもリアルで、実際に役立つ知恵でした。
SNSを始めた今では
情報をまとめてくれている素敵なサイト、
居場所となるコミュニティが
たくさんあることを知っています。
でも、
障害が分かったばかりの頃や、
医療的ケアが増えたばかりの頃は、
心に余裕がなくて、
SNSや、ネットで情報を探したり、見ることすらできない時期がありました。
必要な情報を探す中で出会うであろう
キラキラした投稿や攻撃的な投稿を
受け流せる自信がなくて
情報を探しに行けない時期が、
確かにありました。
そんな時に、
そばにいてくれたのが
医療者・支援者の皆さんでした。
話を聞いてくれたこと、
こちらが辛い気持ちでいる時に、
ただ側に寄り添ってくれたこと。
それだけでも、
本当にありがたかったです。
ただ、正直に言えば、
もう少しだけ在宅生活について
知っていて欲しかった
教えて欲しかった。
医療者・支援者の皆さんは、
それぞれの分野のスペシャリストです。
そして私たち当事者・家族は、
自分たちの生活、暮らしのスペシャリストだと思っています。
最新の生活の知恵や工夫は、
やはり当事者や家族同士のつながりの中に
たくさんあると感じています。
もし、
当事者や家族が育ててきた生活の知恵を、
医療者・支援者が
必要な時に探し、
支援の現場で当事者に還元できたら。
そして、
家族が外とつながれるようになるまでの間、
そばにいる医療者・支援者が
支えるお手伝いができたら。
そんなことができる場所があったらいいなと思い、
医療者・支援者向けの
「在宅の知恵サイト」を作り始めました。
まだ、動き始めたばかりです。
この知恵が
誰かの不安を少しでも軽くできたら。
そして、私一人では、絶対にできないサイトです。
いつか皆さんが「関わってもいいかな」と思えたタイミングで、
一緒に育てていける場所になったらいいなと
思っています。
長くなりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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