今日は、美容とは関係の無いお話です。

 

ある日の、グループラインでの会話です。コロナウイルス感染症とPCR検査について、世間ではまだ誤解があるようなので紹介します。

 

登場人物

 

「教授」・・某大学医学部の基礎系の教授、研究者

 

「友人」・・今回のコロナウイルス感染に対して問題提起を投げかけた友人

 

 「私」・・数学は好きですが、研究者ではないので統計学も素人レベルです・・

 

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『K大学病院「新型コロナ以外」入院患者、5.97%で陽性』

東京都の人口が1400万人強だとして、84万人近く感染してるかもね。

 

PCR検査の疑陽性をみてる可能性はある。一般人集団の84万人が既に感染している、っていう可能性はあるけど、84万人が現在感染している(PCR検査で真陽性)っていうのは多すぎる気がする。


PCR検査の感度と特異度ってどれくらい?
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ここで言葉を整理すると、

 「真陽性」PCR検査陽性で、ウイルス感染症あり

 「偽陽性」PCR検査陽性で、ウイルス感染症なし

 「真陰性」PCR検査陰性で、ウイルス感染症なし

 「偽陰性」PCR検査陰性で、ウイルス感染症あり

 

 「感度」ウイルス感染症ありで、PCR検査で陽性になった人の割合

 「特異度」ウイルス感染症なしで、PCR検査で陰性になった人の割合を言います。

 

 あとで具体的に計算しますので、イメージが湧くと思います。

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感度は70%ぐらいって言われてるよね。

特異度は施設、機器にもよるけど97-8%とかじゃないかな。


コントロールをおけないから正確な数字はどこも出してなさそう。


現在の日本人感染者12000人、人口120000000(1億2千万)人とすると有病率(実際の感染率)は0.01%だけど、

K大学の件から考えて患者が10倍いるとして有病率0.1%と仮定して、

PCR検査の感度は70%で特異度98%ね。

計算しやすく、日本の人口を100000人(十万人)として
感染あり PCR 陽性 100000×0.001×0.7=70人
 
感染あり PCR陰性 100000×0.001×0.3=30人

感染なし PCR陽性 100000×0.999×0.02=1998人

感染なし PCR陰性 100000×0.999×0.98=97902人

だから、

PCR陽性と出た時のコロナ感染である確率は
70÷( 70+1998)×100=3.38...%ってことになるね!

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このPCR陽性と出た時のコロナウイルス感染症である確率が「陽性的中率」です。

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そうそう。感度と特異度と、有病率と陽性的中度の話ね。国試とか内科認定医試験に出てくる。

ここら辺の話はK大学の先生もよく分かってるはずだけど、敢えて一般人を脅すためにデータを開示したんだと思う。


陽性出た人が真実感染してる割合が3%台なの?

そう。K大学に入院する人は「一般集団」だから、感染の事前確率は低いから、計算どおり。保健所でPCRする人は事前確率が圧倒的に高い(今の東京だと50%超えてる)から陽性となった人の真の感染率も高い。


だから、事前確率が低い集団をむやみに検査することはあまり意味ない。
ってことを正確に理解してるメディアはほとんど無い。


事前確率ってなに?

コロナのケースだと、検査の対象となる人たちの感染率(あくまでも予想されたものだけど)

事前確率(感染率)
 (例)一般人 0.1%
    発熱&肺炎 50% など


同じコンテクストで、陰性的中率っていうのがあるんだけど、PCR検査で陰性になったからといって安心できない。

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「陰性的中率」

 PCR検査で陰性とされて、コロナウイルスに感染していない人の割合。

 

さっきの十万人の計算だと

97902÷(97902+30)=0.9996 (99%以上なります)

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そんな大事なことを何でテレビはちゃんと解説しないんや!
でもそもそも有病率がどれ位かを正確に計る方法はあるの?


検査の感度と特異度が正確に分かれば、ある程度は推定できる。
ただ、特異度は、コロナが発生する前に、同じ方法で採取した検体を使わないと分からないから今となってはむりかもね。


有病率が1%だとすると、
700÷(700+1980)×100=26%

有病率が10%だとすると、
7000÷(7000+1800)×100=79%


有病率でめちゃくちゃ(陽性的中率が)変わる!

有病率がちゃんと判らないと意味ないね!

 

そのとおり!!


PCRやれ!ってテレビで叫んでる人たちは、陽性的中率については意識しているとは思えない。
結局、熱っぽかったら家で2週間大人しくして、やばくなったらPCR検査受けて、というのが正しい。


ちなみにPCR検査反対派に見えるけど、

1)アビガンがタミフルと同じように使える(保険診療として)、

かつ

2)PCR検査が民間委託されてその日のうちに結果が出るか、同等の抗原キットが出る、という状況になれば、どんどん検査すべきという立場だよ。
発熱外来に来る人の事前確率は10%以上だろうから、多少の偽陰性と偽陽性は許容できる。


アビガンの治験がうまくいけば、今みたいに「重症化しないと飲めない」から「発熱したらすぐ飲むように」という時代に変わるだろうから、その時は検査が重要になるね。
 

 

いかがでしたでしょうか?

私は、少し計算しただけですが、寝ている間に二人の議論が役に立ちそうかなと思いましたので載せました。

最前線でコロナウイルスと闘っている医療従事者の方には感謝しかありません。一刻も早くこの事態が収束することを祈ります。