「ヤフー! 快適です!」
ツレが何回叫んだことか・・・・・・。
「耳が聴こえると世界が広がるんだよー」
きょう、ツレは午後から耳鼻科で聴力検査を受け、120dbの聴こえでした。
耳鼻科の医師ははっきりと言いました。
「6ヶ月経過経ったら、聴力障害者として身体障害者手帳を申請しましょう。 今の状態だと2級になります。 一番の利点は、補聴器が国から支給されることです。 補聴器を装着すれば日常生活で困ることはなくなります。自動車の運転もできるし、医師としての仕事にもいい意味で影響があると思います。 総合診療科は問診がすべてですから、耳は何より大切でしょう。 それで、6ヶ月後までとりあえず、病院にある補聴器を無料でレンタルします。 ですがこのままでは装着できないんですよ。 フィッティングと調整という作業をしてもらわなければならないんですよ。 今、フィッティングと調整をお願いしますので、補聴器を帰りにここへ持ち込んでください。 無料でフィッティングと調整してくれます。 そのデータが6ヶ月後、役に立ちますよ。 ほんの1時間程度で使えるようになります」
耳鼻科医はツレに、デジタル補聴器を渡してくれました。
医師が指定したのは街の中心部。丸善&ジュンク堂ビルの向かいにある、日本補聴器センター。
耳鼻科の診断書と補聴器を渡すと、さっそく耳に快適な状態で装着できるように、いくつかの雛形を耳に装着して、1つを選び出し、さらに耳の形などを念入りに計測して、1時間のあいだ、どこかで暇を潰していて欲しいとのことでした。
本当は耳鼻科へは仕事が終わってから行こうとしていました。
ですが、院長兼医長が、
「午後から行け! ハンチョウと志村は有給を消化すること。 事務長を泣かすなよ」
「ぼくはきちんととってますからね、有給」
とチャラ。
医者のくせにチャラいんですよ。 結婚しててもチャラい。
「とってないだろうが。 いつの話だよ」
アネさんの口が尖ってます。
「とってますって、1月に」
「あん?・・・・・・あのねー、よーく聴きなさいよ。1月は昨年度なんだよ。 年度というのは4月1日から翌年3月31日。 会社は年度方式なの。 チャラがとったのは昨年度の有給。 わかるか?」
「ああ、なるほど。 あーねー。 ぼく、回診に行ってきます」
「ハンチョウと志村も、午後2時の受付が開くと同時にスマホで予約を変更しなさい。 仕事が終わってからなんて言ってたら、中根くんに迷惑をかけるから。 毎日、仕事上がりが午後10時すぎなんだよ。 今は気合でがんばってるけど、そのうちぶっ倒れるぞ。 中根くんは、私の赤十字病院時代のかわいい後輩なんだ。少しは早く上がらせてやりたいんだよ。 総合診療科は、鼻や耳の患者をすべて中根くんに押し付けてるだろ。 嫌がらないで引き受けてくれる貴重な耳鼻科だからな。 ウチもまだ信用がないから、どこも引き受けてくれないんだよ。 中根くんに倒れられたら、そこで終わりだぞ。 まあ、登山男の整形外科クリニックは何も言わないで引き受けてくれるさ。 だけど、裏には大きくて悪辣な狙いがあるからな。 医師を片っ端から引っこ抜いてクリニックを任せて、てめえはスイスアルプスだのチョモランマだのと遊び回りやがって」
さすがは院長兼医長のアネさん。 男気があるー。 アネさんと呼び始めたツレの目は曇っていなかったんですね。
ニックネームをつけさせたら天才だね、ツレ。
よーし、アネさんについていきますよ。
「おい、誰が遊びまわってるって?」
えっ、その声は・・・・・・。
元・院長。
登山男!。
「なんだよ、こんな時間に。 そういうのを遊びまわってるっていうんだよ」
「仕事だよ。 骨の浸潤で溶けた部分の再生手術を任されたんだ。 ハンチョウ、該当患者の写真、見せてくれ」
ツレはデスクからA3封筒を取り出しました。
ツレがX線、CT、MRIをライトボックスに挟み込むと、登山男はしばらく眺めていて一言。
「借りていってもいいか?これ。 3Dプリンターにデータを取り込んで、人工骨を作るんだ」
3Dプリンターか。
ウチにもありますよ。 ツレと共用で、プラスティックモデルの改造部品を作ってますから。
医療にも応用できるとは。
おぬしも悪よのう、越後屋。
いえいえ、お代官様には、かないません。
そちほどでもないわ、越後屋。 わっはっはっはっ!。
違うか・・・・・・。
ジュンク堂でゆったりと時間を潰しました。
1Fから5Fまで、本がびっしりですからねー。
コーチャンフォーもありますが、在庫が圧倒的に違います。 ジュンク堂はすごい!
本大好き人間にとっては聖地ですよ。
1時間なんかすぐ過ぎてしまいます。
1時間が経って、補聴器センターに行くともうツレにフィットする補聴器に仕上がっていました。
今のデジタル補聴器ってすごいですねー。
外見は、インナーイヤーヘッドフォンにしか見えないんですよ。
おしゃれー。
音楽ファンが見たら、buletooth方式のワイヤレスインナーイヤーヘッドフォンにしか見えませんよ。
スマホのハンズフリーヘッドセットでさえbuletoothな時代が当たり前になっているとそうとしか見えません。
補聴器って耳にかけるものか、ヴェートーヴェンがつけていた、巨大な巻貝なんだと思い込んでいました。
アメリカでは耳かけ式だとツレは言っていました。
拾わなくてもいい雑音が邪魔をして、聴こえなければならない音は聴こえない。
雑音に埋もれてしまうんだそうです。
ゆえに、外に出ると交通事故に遭ってしまうことが少なくないと。
アメリカ人って、自動車の運転が雑なんですね。
補聴器を使っている人には危険極まりない国です。
日本の補聴器って、ものすごく小さなボディなのに、音を選択する機能があるんです。
いらない雑音は拾わないのに、必要な音はしっかりと拾ってくれる。
ものづくりはやっぱり日本。
ツレの装着しているのはオムロンの補聴器です。
病院でもオムロンをいたるところまで導入しています。
医療機器分野ではオムロンが精度で常に1歩先を歩いてるんですよ。
今までツレは、リップ・リーディング、いわゆる読唇術を使って会話を成立させていました。
FBIアカデミーで叩き込まれた捜査技術なんです。
行動科学課を志望する者は読唇術と読心術は必須なんです。
口輪筋という、口の周囲の筋肉のわずかな動きから、容疑者の証言の真偽を見抜くのが仕事ですから。
それを使って、聴こえてるふりをしてたんですよ。
でも、わたしには通用しませんよ。
頃合を見て、タイミングを図ってビシッと言ってやりましたよ。
なんでわたしにだけは本当のことを言ってくれなかったの
嘘泣きをしたら、あっさりと白状しました。
男ってバカですねー。
ガバっとえぐってやったら、オロオロ。
「ごめんね。 いきなり言ったら、たえちゃんがショックだと思って」
ちょろいねー。
浮気なんか絶対にできないですよ。
結婚した瞬間に鋭いところをガンガンつくようになりました。
家庭ができると女性は強くなるんです!
360、いや180度変わります。
これから結婚を考えている方。
恋人時代の女性を信じないでくださいよ。
結婚したことを後悔するときが必ず来ますよ。
女性はもっともっと強くなっていいですよ。
本性をむき出しにしましょう!。
補聴器を装着したツレと、久しぶりにラーメンを食べて病院に戻りました。
午後7時以前に、病院の敷地に入るな、というアネさんのいいつけをしっかり守って、午後6時01分に。
守ってないかー・・・・・・。
「この惑星のSMAPというグループは、本当にしぶとい」
バカ! 音声認識ソフトが拾わないでもいい音を拾ったじゃないっ!
出来の悪いアメリカンタイプな補聴器だよ、これじゃぁ。
「聴こえるって、素晴らしいー! たえちゃんの声、素敵だね。 もっとどんどんしゃべって。 いつまでも聴いていたいよ」
そうですか。
じゃあ、どんどんしゃべるよ。
わたしの声が聴こえたら、眠らなくてもいいんでしょ。
さあ、『朝まで生テレビ』放送開始!
ツレが何回叫んだことか・・・・・・。
「耳が聴こえると世界が広がるんだよー」
きょう、ツレは午後から耳鼻科で聴力検査を受け、120dbの聴こえでした。
耳鼻科の医師ははっきりと言いました。
「6ヶ月経過経ったら、聴力障害者として身体障害者手帳を申請しましょう。 今の状態だと2級になります。 一番の利点は、補聴器が国から支給されることです。 補聴器を装着すれば日常生活で困ることはなくなります。自動車の運転もできるし、医師としての仕事にもいい意味で影響があると思います。 総合診療科は問診がすべてですから、耳は何より大切でしょう。 それで、6ヶ月後までとりあえず、病院にある補聴器を無料でレンタルします。 ですがこのままでは装着できないんですよ。 フィッティングと調整という作業をしてもらわなければならないんですよ。 今、フィッティングと調整をお願いしますので、補聴器を帰りにここへ持ち込んでください。 無料でフィッティングと調整してくれます。 そのデータが6ヶ月後、役に立ちますよ。 ほんの1時間程度で使えるようになります」
耳鼻科医はツレに、デジタル補聴器を渡してくれました。
医師が指定したのは街の中心部。丸善&ジュンク堂ビルの向かいにある、日本補聴器センター。
耳鼻科の診断書と補聴器を渡すと、さっそく耳に快適な状態で装着できるように、いくつかの雛形を耳に装着して、1つを選び出し、さらに耳の形などを念入りに計測して、1時間のあいだ、どこかで暇を潰していて欲しいとのことでした。
本当は耳鼻科へは仕事が終わってから行こうとしていました。
ですが、院長兼医長が、
「午後から行け! ハンチョウと志村は有給を消化すること。 事務長を泣かすなよ」
「ぼくはきちんととってますからね、有給」
とチャラ。
医者のくせにチャラいんですよ。 結婚しててもチャラい。
「とってないだろうが。 いつの話だよ」
アネさんの口が尖ってます。
「とってますって、1月に」
「あん?・・・・・・あのねー、よーく聴きなさいよ。1月は昨年度なんだよ。 年度というのは4月1日から翌年3月31日。 会社は年度方式なの。 チャラがとったのは昨年度の有給。 わかるか?」
「ああ、なるほど。 あーねー。 ぼく、回診に行ってきます」
「ハンチョウと志村も、午後2時の受付が開くと同時にスマホで予約を変更しなさい。 仕事が終わってからなんて言ってたら、中根くんに迷惑をかけるから。 毎日、仕事上がりが午後10時すぎなんだよ。 今は気合でがんばってるけど、そのうちぶっ倒れるぞ。 中根くんは、私の赤十字病院時代のかわいい後輩なんだ。少しは早く上がらせてやりたいんだよ。 総合診療科は、鼻や耳の患者をすべて中根くんに押し付けてるだろ。 嫌がらないで引き受けてくれる貴重な耳鼻科だからな。 ウチもまだ信用がないから、どこも引き受けてくれないんだよ。 中根くんに倒れられたら、そこで終わりだぞ。 まあ、登山男の整形外科クリニックは何も言わないで引き受けてくれるさ。 だけど、裏には大きくて悪辣な狙いがあるからな。 医師を片っ端から引っこ抜いてクリニックを任せて、てめえはスイスアルプスだのチョモランマだのと遊び回りやがって」
さすがは院長兼医長のアネさん。 男気があるー。 アネさんと呼び始めたツレの目は曇っていなかったんですね。
ニックネームをつけさせたら天才だね、ツレ。
よーし、アネさんについていきますよ。
「おい、誰が遊びまわってるって?」
えっ、その声は・・・・・・。
元・院長。
登山男!。
「なんだよ、こんな時間に。 そういうのを遊びまわってるっていうんだよ」
「仕事だよ。 骨の浸潤で溶けた部分の再生手術を任されたんだ。 ハンチョウ、該当患者の写真、見せてくれ」
ツレはデスクからA3封筒を取り出しました。
ツレがX線、CT、MRIをライトボックスに挟み込むと、登山男はしばらく眺めていて一言。
「借りていってもいいか?これ。 3Dプリンターにデータを取り込んで、人工骨を作るんだ」
3Dプリンターか。
ウチにもありますよ。 ツレと共用で、プラスティックモデルの改造部品を作ってますから。
医療にも応用できるとは。
おぬしも悪よのう、越後屋。
いえいえ、お代官様には、かないません。
そちほどでもないわ、越後屋。 わっはっはっはっ!。
違うか・・・・・・。
ジュンク堂でゆったりと時間を潰しました。
1Fから5Fまで、本がびっしりですからねー。
コーチャンフォーもありますが、在庫が圧倒的に違います。 ジュンク堂はすごい!
本大好き人間にとっては聖地ですよ。
1時間なんかすぐ過ぎてしまいます。
1時間が経って、補聴器センターに行くともうツレにフィットする補聴器に仕上がっていました。
今のデジタル補聴器ってすごいですねー。
外見は、インナーイヤーヘッドフォンにしか見えないんですよ。
おしゃれー。
音楽ファンが見たら、buletooth方式のワイヤレスインナーイヤーヘッドフォンにしか見えませんよ。
スマホのハンズフリーヘッドセットでさえbuletoothな時代が当たり前になっているとそうとしか見えません。
補聴器って耳にかけるものか、ヴェートーヴェンがつけていた、巨大な巻貝なんだと思い込んでいました。
アメリカでは耳かけ式だとツレは言っていました。
拾わなくてもいい雑音が邪魔をして、聴こえなければならない音は聴こえない。
雑音に埋もれてしまうんだそうです。
ゆえに、外に出ると交通事故に遭ってしまうことが少なくないと。
アメリカ人って、自動車の運転が雑なんですね。
補聴器を使っている人には危険極まりない国です。
日本の補聴器って、ものすごく小さなボディなのに、音を選択する機能があるんです。
いらない雑音は拾わないのに、必要な音はしっかりと拾ってくれる。
ものづくりはやっぱり日本。
ツレの装着しているのはオムロンの補聴器です。
病院でもオムロンをいたるところまで導入しています。
医療機器分野ではオムロンが精度で常に1歩先を歩いてるんですよ。
今までツレは、リップ・リーディング、いわゆる読唇術を使って会話を成立させていました。
FBIアカデミーで叩き込まれた捜査技術なんです。
行動科学課を志望する者は読唇術と読心術は必須なんです。
口輪筋という、口の周囲の筋肉のわずかな動きから、容疑者の証言の真偽を見抜くのが仕事ですから。
それを使って、聴こえてるふりをしてたんですよ。
でも、わたしには通用しませんよ。
頃合を見て、タイミングを図ってビシッと言ってやりましたよ。
なんでわたしにだけは本当のことを言ってくれなかったの
嘘泣きをしたら、あっさりと白状しました。
男ってバカですねー。
ガバっとえぐってやったら、オロオロ。
「ごめんね。 いきなり言ったら、たえちゃんがショックだと思って」
ちょろいねー。
浮気なんか絶対にできないですよ。
結婚した瞬間に鋭いところをガンガンつくようになりました。
家庭ができると女性は強くなるんです!
360、いや180度変わります。
これから結婚を考えている方。
恋人時代の女性を信じないでくださいよ。
結婚したことを後悔するときが必ず来ますよ。
女性はもっともっと強くなっていいですよ。
本性をむき出しにしましょう!。
補聴器を装着したツレと、久しぶりにラーメンを食べて病院に戻りました。
午後7時以前に、病院の敷地に入るな、というアネさんのいいつけをしっかり守って、午後6時01分に。
守ってないかー・・・・・・。
「この惑星のSMAPというグループは、本当にしぶとい」
バカ! 音声認識ソフトが拾わないでもいい音を拾ったじゃないっ!
出来の悪いアメリカンタイプな補聴器だよ、これじゃぁ。
「聴こえるって、素晴らしいー! たえちゃんの声、素敵だね。 もっとどんどんしゃべって。 いつまでも聴いていたいよ」
そうですか。
じゃあ、どんどんしゃべるよ。
わたしの声が聴こえたら、眠らなくてもいいんでしょ。
さあ、『朝まで生テレビ』放送開始!