観てきました。
『風立ちぬ』。
きのうのレイトショーです。
レイトでも、375席の9割が埋まってました。
事前に座席を予約しておいたので、観やすかったです。
大半がカップルでした。
たぶん、時間的な理由でしょうね。
独りであの環境の中には入りにくいと思います。
ストーリーについては話しませんが、上映開始5分で「これこそジブリ!」な作品でした。
『もののけ姫』以降のスタジオ・ジブリ作品って、何かがズレていて、ジブリらしさがないような気がして、正直、楽しめなくてね。
でも、今作はジブリの原点に回帰していて、時間を忘れて楽しめました。
とはいっても、『コクリコ坂から』以外はツレのDVDと、『もののけ姫』以降はレンタルなんですが。
主人公の堀越二郎さんに対するわたしのイメージは、死の商人というか、帝国日本軍部に加担して戦争を拡大させた人だったんです。
ツレに、どんな飛行機を作った人なのかを訊くと、出てくるのは戦闘機に爆撃機でしたからね。
でも、イメージはまちがっていました。
ただ、純粋に飛行機を創りたかっただけの人なんです。
本当は自分が操縦して空を飛びたかったんだけど、ひどい近眼でパイロットにはなれなくて、じゃあ、設計技師になろうと思い立って、その道をひたむきに駆け抜けていった人だったんです。
時代に翻弄された被害者で、戦争の道具として飛行機が利用されることに、心の中で抵抗していたんです。
帰りの車の中で、ツレが実際の堀越二郎さんについて話してくれました。
回想録を2冊書かれていて、ツレは2冊とも読んでいたんです。 自宅の本棚にあるから、読みたいのなら土曜にでも取りに行く、と言ってくれましたので、読んでみようと思います。
映画の中のキャラクターで、堀越さん以外に何人か、実在した人物がいるということで、ツレの話を聴いていると、えーっと思う名前が飛び出したんです。
「堀越さんの就職した三菱内燃っていうのは、今の三菱重工なんだよ。 で、そこの設計班班長の黒川さんも実在したんだ。 誰のことだと思う? ちょっとだけ苗字が変えられているけどね」
白川さん、とか、赤川さん・・・・・・誰?
「ぼくがJAXAで来年行おうとしていることに関係の深い人だよ」
サンプル・リターン・ミッションに関係している人・・・・・・はやぶさ・・・・・・誰?
「探査機の名前に関係があるよ。 前回、はやぶさがサンプル・リターン・ミッションのために目指した1998FS36の別名は?」
小惑星イトカワ・・・・・・・えっ、もしかして、糸川博士?
「うん、日本のロケット工学の父と言われた糸川英夫博士。 戦時中は三菱内燃で戦闘機の設計班の班長をやっていて、隼21型という名機を生み出したんだ。 博士も戦争に巻き込まれた被害者の1人なんだよ。 そんな中でナチスがV2というロケットを創りだして、ロンドンに多大な被害を与えた。 それを知った博士は宇宙に逃げ場を求めて、終戦後いち早くロケットの研究に明け暮れた。 趣味はクラシック・バレエとチェロなんだけど、身長が低くて持ち歩きが大変だから、なんとか楽に持ち歩くことはできないかと考えた末に、棹の部分を折りたためばいいんじゃないかと思いついて、折りたたみ式のチェロを作ってしまった。 発想が柔軟なんだよね。 その後は円谷プロが、アメリカのSF小説『スターウルフ』シリーズを、キャラクターを日本人に置き換えて、TV特撮を作ったときには、SF考証と監修でスタッフに参加してみたりね。 学者には珍しいくらいやわらか頭の人だったんだ。 それにタイトルの『風立ちぬ』は堀辰雄の小説からとったんだけど、ヒロインの名前は『菜穂子』という、同じ堀辰雄の小説のヒロインからとっている。 堀辰雄は、関東大震災のあった年に、19歳で結核に冒されて、生きるとはどういうことかを深く追求して、その体験を小説のヒロインに投影してみせた。 だから、『風立ちぬ』も『菜穂子』も、ヒロインが結核で亡くなるんだよ。 当時は結核が大流行していたんだ。 戦争がもたらす貧困が原因で、必ず死に至る病だったんだ。 堀自身も結核で亡くなっている。 『菜穂子』について堀はこう言った。 「出来不出来は別として、生まれて初めて小説といえる小説が書けた」。 ショックだったな、あの言葉は。 ぼくにとっては『風立ちぬ』も『菜穂子』も小説を超えた大傑作だったのに。 堀みたいな小説が書きたくて、試行錯誤を繰り返していた矢先だったからね、その言葉を知ったのは。 それで、ぼくには堀より三島由紀夫のほうが向いてると思って、三島を目指して書きまくったよ。 三島の生まれ変わり、とか、再来と評価されたときはうれしかったな。 でも、やっぱり堀が頭から離れなくてね。 悩むことに疲れたから、もう小説は書かないと宣言したんだ。 鮮烈なデビューを飾って、いきなり翼が折れて空中分解さ。 そんな時に、角川春樹さんが、コラムなら書けるだろう、って、連載の話をくれてね。 気楽に書かせてもらったよ。 阪神淡路大震災で神戸にボランティアとして3カ月を過ごして引き揚げてから、何か支援を継続することはないだろうかと考えて、デビュー作と2作目の舞台だった神戸の姿を書けば、被災された人々が自分の足で起ちあがる勇気を持ってくれるんじゃないかと思って、夢中になって2600枚もの大長編を書きあげた。 文壇では復活だと言われていたみたいだけど、それが最後の小説になったんだ」
わたしが心配だったのは、主人公の堀越二郎さんの声。
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督は素人ですからね。
特にアニメって、絵とシンクロしなければならないから、実写で俳優として演技をするよりも難しいと思ったんです。
ところが、どこかぎこちのないところが逆にキャラクターにあっていて自然なんですよね。
「下手に百戦錬磨の俳優を使うと、アニメなんかは大げさな演技をしてしまうんだよ。 なぜ、ぼくが、ミュージカルの中でも特にハードルの高い3作品のオーディションに合格したのかを考えていたら、ある俳優さんがこう言った。 「いいねー。 肩の力が抜けていて。 俺もあなたみたいな演技をしなきゃあダメなんだよなー、ほんとにねー」。 宮崎監督も、庵野くんにそんなことを言ったのかもね。 宮崎さんって、妥協しない人だから」
とにかく、ジブリらしさが前面に出ていて、採点すると文句なく100点の花丸でした。
おまけ。
映画といえば上映開始前の予告篇集ですが、始まった途端にツレが頭を抱え込んでしまいました。
なんと、純愛ものの音楽監督をしていたのです。
それまでは、わたしになんて言っていたと思います?
「今年は戦争を背景にした映画をメインにするんだ。 政府はいつまでたっても、大東亜戦争と太平洋戦争の総括をしようとしない。 だったら、戦争を知らない世代が戦争を深く学んで、検証し、総括しようと決めた。 このままでは近隣諸国との関係がどんどん悪化していく。 そのあとに来るのは戦争だ。 自衛隊が軍隊として生まれ変わろうとしている今だからこそ、必要なことだと思うんだ。 やわなラブストーリーなんかに関わっている場合じゃないよ。 同時に”平和とは何か?”も考えてみたい」
やわなラブストーリーじゃないの?
嵐の松本潤さんと上野樹里さん主演『陽だまりの彼女』
ひょんなことで再開した元カレと元カノが再び愛を始めるけど、元カノには重大な秘密があって・・・・・・。
これが戦争の総括なんでしょうかねー。
『風立ちぬ』。
きのうのレイトショーです。
レイトでも、375席の9割が埋まってました。
事前に座席を予約しておいたので、観やすかったです。
大半がカップルでした。
たぶん、時間的な理由でしょうね。
独りであの環境の中には入りにくいと思います。
ストーリーについては話しませんが、上映開始5分で「これこそジブリ!」な作品でした。
『もののけ姫』以降のスタジオ・ジブリ作品って、何かがズレていて、ジブリらしさがないような気がして、正直、楽しめなくてね。
でも、今作はジブリの原点に回帰していて、時間を忘れて楽しめました。
とはいっても、『コクリコ坂から』以外はツレのDVDと、『もののけ姫』以降はレンタルなんですが。
主人公の堀越二郎さんに対するわたしのイメージは、死の商人というか、帝国日本軍部に加担して戦争を拡大させた人だったんです。
ツレに、どんな飛行機を作った人なのかを訊くと、出てくるのは戦闘機に爆撃機でしたからね。
でも、イメージはまちがっていました。
ただ、純粋に飛行機を創りたかっただけの人なんです。
本当は自分が操縦して空を飛びたかったんだけど、ひどい近眼でパイロットにはなれなくて、じゃあ、設計技師になろうと思い立って、その道をひたむきに駆け抜けていった人だったんです。
時代に翻弄された被害者で、戦争の道具として飛行機が利用されることに、心の中で抵抗していたんです。
帰りの車の中で、ツレが実際の堀越二郎さんについて話してくれました。
回想録を2冊書かれていて、ツレは2冊とも読んでいたんです。 自宅の本棚にあるから、読みたいのなら土曜にでも取りに行く、と言ってくれましたので、読んでみようと思います。
映画の中のキャラクターで、堀越さん以外に何人か、実在した人物がいるということで、ツレの話を聴いていると、えーっと思う名前が飛び出したんです。
「堀越さんの就職した三菱内燃っていうのは、今の三菱重工なんだよ。 で、そこの設計班班長の黒川さんも実在したんだ。 誰のことだと思う? ちょっとだけ苗字が変えられているけどね」
白川さん、とか、赤川さん・・・・・・誰?
「ぼくがJAXAで来年行おうとしていることに関係の深い人だよ」
サンプル・リターン・ミッションに関係している人・・・・・・はやぶさ・・・・・・誰?
「探査機の名前に関係があるよ。 前回、はやぶさがサンプル・リターン・ミッションのために目指した1998FS36の別名は?」
小惑星イトカワ・・・・・・・えっ、もしかして、糸川博士?
「うん、日本のロケット工学の父と言われた糸川英夫博士。 戦時中は三菱内燃で戦闘機の設計班の班長をやっていて、隼21型という名機を生み出したんだ。 博士も戦争に巻き込まれた被害者の1人なんだよ。 そんな中でナチスがV2というロケットを創りだして、ロンドンに多大な被害を与えた。 それを知った博士は宇宙に逃げ場を求めて、終戦後いち早くロケットの研究に明け暮れた。 趣味はクラシック・バレエとチェロなんだけど、身長が低くて持ち歩きが大変だから、なんとか楽に持ち歩くことはできないかと考えた末に、棹の部分を折りたためばいいんじゃないかと思いついて、折りたたみ式のチェロを作ってしまった。 発想が柔軟なんだよね。 その後は円谷プロが、アメリカのSF小説『スターウルフ』シリーズを、キャラクターを日本人に置き換えて、TV特撮を作ったときには、SF考証と監修でスタッフに参加してみたりね。 学者には珍しいくらいやわらか頭の人だったんだ。 それにタイトルの『風立ちぬ』は堀辰雄の小説からとったんだけど、ヒロインの名前は『菜穂子』という、同じ堀辰雄の小説のヒロインからとっている。 堀辰雄は、関東大震災のあった年に、19歳で結核に冒されて、生きるとはどういうことかを深く追求して、その体験を小説のヒロインに投影してみせた。 だから、『風立ちぬ』も『菜穂子』も、ヒロインが結核で亡くなるんだよ。 当時は結核が大流行していたんだ。 戦争がもたらす貧困が原因で、必ず死に至る病だったんだ。 堀自身も結核で亡くなっている。 『菜穂子』について堀はこう言った。 「出来不出来は別として、生まれて初めて小説といえる小説が書けた」。 ショックだったな、あの言葉は。 ぼくにとっては『風立ちぬ』も『菜穂子』も小説を超えた大傑作だったのに。 堀みたいな小説が書きたくて、試行錯誤を繰り返していた矢先だったからね、その言葉を知ったのは。 それで、ぼくには堀より三島由紀夫のほうが向いてると思って、三島を目指して書きまくったよ。 三島の生まれ変わり、とか、再来と評価されたときはうれしかったな。 でも、やっぱり堀が頭から離れなくてね。 悩むことに疲れたから、もう小説は書かないと宣言したんだ。 鮮烈なデビューを飾って、いきなり翼が折れて空中分解さ。 そんな時に、角川春樹さんが、コラムなら書けるだろう、って、連載の話をくれてね。 気楽に書かせてもらったよ。 阪神淡路大震災で神戸にボランティアとして3カ月を過ごして引き揚げてから、何か支援を継続することはないだろうかと考えて、デビュー作と2作目の舞台だった神戸の姿を書けば、被災された人々が自分の足で起ちあがる勇気を持ってくれるんじゃないかと思って、夢中になって2600枚もの大長編を書きあげた。 文壇では復活だと言われていたみたいだけど、それが最後の小説になったんだ」
わたしが心配だったのは、主人公の堀越二郎さんの声。
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督は素人ですからね。
特にアニメって、絵とシンクロしなければならないから、実写で俳優として演技をするよりも難しいと思ったんです。
ところが、どこかぎこちのないところが逆にキャラクターにあっていて自然なんですよね。
「下手に百戦錬磨の俳優を使うと、アニメなんかは大げさな演技をしてしまうんだよ。 なぜ、ぼくが、ミュージカルの中でも特にハードルの高い3作品のオーディションに合格したのかを考えていたら、ある俳優さんがこう言った。 「いいねー。 肩の力が抜けていて。 俺もあなたみたいな演技をしなきゃあダメなんだよなー、ほんとにねー」。 宮崎監督も、庵野くんにそんなことを言ったのかもね。 宮崎さんって、妥協しない人だから」
とにかく、ジブリらしさが前面に出ていて、採点すると文句なく100点の花丸でした。
おまけ。
映画といえば上映開始前の予告篇集ですが、始まった途端にツレが頭を抱え込んでしまいました。
なんと、純愛ものの音楽監督をしていたのです。
それまでは、わたしになんて言っていたと思います?
「今年は戦争を背景にした映画をメインにするんだ。 政府はいつまでたっても、大東亜戦争と太平洋戦争の総括をしようとしない。 だったら、戦争を知らない世代が戦争を深く学んで、検証し、総括しようと決めた。 このままでは近隣諸国との関係がどんどん悪化していく。 そのあとに来るのは戦争だ。 自衛隊が軍隊として生まれ変わろうとしている今だからこそ、必要なことだと思うんだ。 やわなラブストーリーなんかに関わっている場合じゃないよ。 同時に”平和とは何か?”も考えてみたい」
やわなラブストーリーじゃないの?
嵐の松本潤さんと上野樹里さん主演『陽だまりの彼女』
ひょんなことで再開した元カレと元カノが再び愛を始めるけど、元カノには重大な秘密があって・・・・・・。
これが戦争の総括なんでしょうかねー。