全身温熱療法と局所的温熱療法、きょうはそれぞれ一組ずつ行いました。
全身のほうはわたしの患者さんで、全身にガンが転移している患者さん。 それでもまだ体力があるので使ってみました。
体力がない患者さんは全身温熱療法が難しいとのことで、局所温熱療法にまわってもらいました。 舟木医師の患者さんです。
全身温熱療法器の操作はウチの彼。
局所温熱療法は櫻井医師。
わたしとアネさんが立ち会って、全身温熱療法スタート。
ガンバとチャラは、きょうは局所温熱療法に立ち会っていました。
まずは患者さんに寝台にあおむけになってもらいました。
そこで一言。
「息を止めるの?」
なるほど、ハイパーサーミアってCTと同じ形をしてるからね。
おいおい、頭から入るんじゃなくて足からだよ。
「枕側に頭です。 CTと逆ですから。 それから息は止めなくて結構ですよ」
彼は丁寧に説明した。
「それじゃあ、始めます」
麻酔科長の静脈麻酔が効きだしたと見えて、患者さんはゆっくりと眠りについた。
彼はスイッチを入れた。
患者さんの呼吸数や心拍数がモニターに映る。
酸素マスクに輸液の投与。
まるでICUだ。
「麻酔をする意味は?」
アネさん。 私もそれを聴きたい。
「体温調節機能の抑制に必要なんです。 意識がある状態だと自立的な調節が働いて、ただ暑苦しいだけで、効果がないんです。 このエンサーミクスは毎分0.08℃ずつ、皮膚表面ではなく中枢の温度を上げていきます。 よし、41℃。 佐橋さん、抗癌剤を投与してくれる?」
佐橋看護師が患者さんのところまで点滴棒に吊るした抗癌剤の点滴の針を入れた。
「60分で落としてください。 ところで抗癌剤はプラチナ系?」
感受性検査によると5FUが最高の相性だったから5FU
「感受性検査をしたんだ。 さすが」
いやいや、それほどでもないって。
やっぱり、最高の環境の中で行って、少しでも腫瘍の縮小という成果を得たいからね。
彼の目はいくつものモニターを行ったりきたりしている。
「さすがは麻酔科長。 絶妙の麻酔深度のコントロール。 うらやましい腕ですね」
「誉めるなって。 照れるよ。 とにかく仕事に集中したいから、終わってから誉めてくれよ」
なーに、得意げな顔をして。
「よーし、42・5℃。 MAXだ」
彼の言葉から1時間後、治療は終了した。
温熱器のそばにいくと、患者さんはまだ眠っていた。
このまま寝かせてあげたいけど、夕方から予定が入っていて、そうもいかないんだよね。
患者さんの名前を数回呼ぶと、やっと目を覚ました。
「うーん、はーっ、気持ちいいわ、これは。 ぐっすり寝てた。 こんな治療なら最高だな」
火傷なんかはしませんでしたか?
「いや。 なんか体の芯から外に向かってあったまっていく感じで、いい湯加減の風呂に入ってるみたいだった。 気持ちいいね。 毎日でもいい」
「あとは、明日、CTやX線など、一通りの検査をしますから、結果によってはもう一度はいってもらいますよ」
こらっ、それはわたしの台詞だっ!。
きょうは2日。
彼のお母さんの命日だ。
夕方からの予定というのは納骨堂にお参りに行くこと。
アネさんと、麻酔”ファミリー”科長。
そして、変なおじさんと勤務上がりのまま、薬局から駆けつけた母。
「翔子ちゃん、自分の車じゃなくてもいいよ。 ガソリン高いし、こっちの車に乗っていこう」
おいっ、いらん親切だよ、それは。
「いいんですか?」
「うしろ、ちょっとせまいけど、寝っころがっていってもいいから」
「それじゃ、お言葉に甘えて。 86の走りを体感してみたいしね」
普通は上手に断るんだけどね、美しい国日本の女性は。
美しい国日本の真髄は脅威の格差社会だけどね。
医療費のむちゃな削減と福祉のカット。
額に汗して働いた人が報われる社会。 だけど、病気の人は働けない。 だから負け組になって当然。
それでも70%の支持率だからね。
要するに国民は格差社会を望んでるってことだよ。
舟木医師の話だと、北朝鮮と今の日本は似ているらしい。
ちょうど、通夜が入っていて、お経は上げないで、御焼香だけにしてほしいと寺側から言われた。
彼が知っている人が列席者の中にいたらしくて、仏さんのことを聴いてきた。
仏さんは、公営住宅の家賃を2ヶ月延滞していて、町のほうから出て行ってくれと迫られていたという。 毎日のように町役場の係の人が訪ねてきて、今すぐ支払えないなら強制的に明け渡しを執行すると脅していた。 追い詰められた仏さんが選んだのは、公営住宅の芝生での焼身自殺。 頭から灯油をかぶって自分に火をつけたという。
美しい日本はこんな小さな町にもあった。
さあ、明日は検査か。 どれだけ腫瘍が縮小してるかな。
願わくば死滅してほしい。 無理な話か。
記念すべき第1号なんだから、それなりの成果は上がってほしいな。
全身のほうはわたしの患者さんで、全身にガンが転移している患者さん。 それでもまだ体力があるので使ってみました。
体力がない患者さんは全身温熱療法が難しいとのことで、局所温熱療法にまわってもらいました。 舟木医師の患者さんです。
全身温熱療法器の操作はウチの彼。
局所温熱療法は櫻井医師。
わたしとアネさんが立ち会って、全身温熱療法スタート。
ガンバとチャラは、きょうは局所温熱療法に立ち会っていました。
まずは患者さんに寝台にあおむけになってもらいました。
そこで一言。
「息を止めるの?」
なるほど、ハイパーサーミアってCTと同じ形をしてるからね。
おいおい、頭から入るんじゃなくて足からだよ。
「枕側に頭です。 CTと逆ですから。 それから息は止めなくて結構ですよ」
彼は丁寧に説明した。
「それじゃあ、始めます」
麻酔科長の静脈麻酔が効きだしたと見えて、患者さんはゆっくりと眠りについた。
彼はスイッチを入れた。
患者さんの呼吸数や心拍数がモニターに映る。
酸素マスクに輸液の投与。
まるでICUだ。
「麻酔をする意味は?」
アネさん。 私もそれを聴きたい。
「体温調節機能の抑制に必要なんです。 意識がある状態だと自立的な調節が働いて、ただ暑苦しいだけで、効果がないんです。 このエンサーミクスは毎分0.08℃ずつ、皮膚表面ではなく中枢の温度を上げていきます。 よし、41℃。 佐橋さん、抗癌剤を投与してくれる?」
佐橋看護師が患者さんのところまで点滴棒に吊るした抗癌剤の点滴の針を入れた。
「60分で落としてください。 ところで抗癌剤はプラチナ系?」
感受性検査によると5FUが最高の相性だったから5FU
「感受性検査をしたんだ。 さすが」
いやいや、それほどでもないって。
やっぱり、最高の環境の中で行って、少しでも腫瘍の縮小という成果を得たいからね。
彼の目はいくつものモニターを行ったりきたりしている。
「さすがは麻酔科長。 絶妙の麻酔深度のコントロール。 うらやましい腕ですね」
「誉めるなって。 照れるよ。 とにかく仕事に集中したいから、終わってから誉めてくれよ」
なーに、得意げな顔をして。
「よーし、42・5℃。 MAXだ」
彼の言葉から1時間後、治療は終了した。
温熱器のそばにいくと、患者さんはまだ眠っていた。
このまま寝かせてあげたいけど、夕方から予定が入っていて、そうもいかないんだよね。
患者さんの名前を数回呼ぶと、やっと目を覚ました。
「うーん、はーっ、気持ちいいわ、これは。 ぐっすり寝てた。 こんな治療なら最高だな」
火傷なんかはしませんでしたか?
「いや。 なんか体の芯から外に向かってあったまっていく感じで、いい湯加減の風呂に入ってるみたいだった。 気持ちいいね。 毎日でもいい」
「あとは、明日、CTやX線など、一通りの検査をしますから、結果によってはもう一度はいってもらいますよ」
こらっ、それはわたしの台詞だっ!。
きょうは2日。
彼のお母さんの命日だ。
夕方からの予定というのは納骨堂にお参りに行くこと。
アネさんと、麻酔”ファミリー”科長。
そして、変なおじさんと勤務上がりのまま、薬局から駆けつけた母。
「翔子ちゃん、自分の車じゃなくてもいいよ。 ガソリン高いし、こっちの車に乗っていこう」
おいっ、いらん親切だよ、それは。
「いいんですか?」
「うしろ、ちょっとせまいけど、寝っころがっていってもいいから」
「それじゃ、お言葉に甘えて。 86の走りを体感してみたいしね」
普通は上手に断るんだけどね、美しい国日本の女性は。
美しい国日本の真髄は脅威の格差社会だけどね。
医療費のむちゃな削減と福祉のカット。
額に汗して働いた人が報われる社会。 だけど、病気の人は働けない。 だから負け組になって当然。
それでも70%の支持率だからね。
要するに国民は格差社会を望んでるってことだよ。
舟木医師の話だと、北朝鮮と今の日本は似ているらしい。
ちょうど、通夜が入っていて、お経は上げないで、御焼香だけにしてほしいと寺側から言われた。
彼が知っている人が列席者の中にいたらしくて、仏さんのことを聴いてきた。
仏さんは、公営住宅の家賃を2ヶ月延滞していて、町のほうから出て行ってくれと迫られていたという。 毎日のように町役場の係の人が訪ねてきて、今すぐ支払えないなら強制的に明け渡しを執行すると脅していた。 追い詰められた仏さんが選んだのは、公営住宅の芝生での焼身自殺。 頭から灯油をかぶって自分に火をつけたという。
美しい日本はこんな小さな町にもあった。
さあ、明日は検査か。 どれだけ腫瘍が縮小してるかな。
願わくば死滅してほしい。 無理な話か。
記念すべき第1号なんだから、それなりの成果は上がってほしいな。