無事、行き先をまちがうこともなく、患者さんはベッドに収まった。
 誰もが驚いていたのは、部屋が全部二人部屋だったこと。
 大部屋を想像していたらしいのだ。
 部屋割りを担当したのは、臨床心理士班。 心理学を応用して二人の相性がもっとも合うような部屋割りを作り上げた。 二人だと、些細なことから口げんかになることが多い。 人数が多いと止めに入ってうまく取り持つ存在がいるのだが、二人となるとそれがない。 だから慎重に選んだみたい。

 ひっきりなしに、変なおじさんが電話をかけてくる。
 だから、だめなんだって。
 ろくな用件じゃない。
 きょうはイースター。
 夜、教会でイースターを祝う催しがある。 それに出席しないのか?。
 仕事のほうが大事でしょ。 
 牧師さんには、夜は出席できないと、礼拝帰りにお断りをしてきましたって。
 とにかく今は新しい病棟のことで精一杯。


 この病院は、1Fが外来。 病棟は2F。
 外来は、呼吸器外科、呼吸器内科、総合診療科、そして、心療内科。
 病棟からそれぞれの外来に降りて掛け持ちする形になる。
 心療内科は臨床心理士が担当するが、うつ病など投薬が必要な患者さんが出た場合、臨床心理士は薬の処方ができないため、総合診療科で処方箋を発行する。
 呼吸器外科・内科はアネさん以下、わたし、舟木医師、ガンバ、チャラが交代で診察をし、総合診療科はウチの彼と櫻井医師の交代制となる。
 その他、放射線科の診察は、医大から月曜午後と木曜午後派遣される医師が行う。
 放射線技師は目下のところ1名。 しかもCT、MRI技師との兼用。
 秘密兵器ハイパー・サーミア(温熱療法)は医師が操作する。
 ERはその都度、手すきの医師が担当する。 

 院内コンビニは午後8時~午後6時の営業。
 院内食堂は、午前11時~午後3時の営業。
 
 看護師寮は病院の裏手、廊下で病院と繋がっている。
 
 環境的には街の中で、病棟には決していいとは言えないが、外来には、路線バスが10分おきに通るため、最高の環境となるだろう。

 明日は第1回目の全体回診が行われる。

 ハイパーサーミアは2日火曜から稼動する。

 抗癌剤による化学療法では、彼と櫻井医師の提案によって、感受性検査を行ったうえで実施されることになった。
 感受性検査とは、内視カメラで患者さんの腫瘍の一部を切り出し、それを様々な抗癌剤に漬け込んで、縮小もしくは死滅するのを見届け、腫瘍との相性が一番いい抗癌剤を投与する。
 
 ハイパーサーミアと化学療法を組み合わせて、腫瘍と闘うことになる。
 化学療法は従来の20%に減薬投与。

 さあ、いよいよ明日から、新しい1日が始まるよ!。