朝から猛吹雪。
冬まつり関係者は大変な出航となったろう。
午後8時からの前夜祭は、それでも時間通りに始まって、プログラムもすべて台本どおりにこなして終わった。
観に行ったの?って。
まさか。
病棟の面会棟の窓から、青白い光が見えていただけです。
きょうこそ、彼の耳鼻科。 きのうは、きょうに無理矢理にでも突っ込むから、と耳鼻科医は約束してくれたけど、結局はきょうもダメでした。
蓄膿症や花粉症はいいとしても、良性発作性頭位めまい症がねー。 耳石が蝸牛(耳の奥のカタツムリみたいな器官)に落ちることによって起きるというヒトがいる。
ところが、それは素人の言うことであって、ある人は、蓄膿症が原因だと言う。 専門医に言わせると、それらは医学的根拠がまったくないという。
「巷で言われていることを原因と仮定して、治療をしてみた結果、何の改善も見られなかったんですよ。 でも、必ず原因はあるはずですからね」
明日は午前のみの診療のため、こっちがアウト。 最速、木曜かな?。
アネさんが心配してくれて、彼がめまいのために処方されている薬と同じものを3日分の処方箋を書いてくれましたけどね。
あっ、電話。
サコちゃん、電話
彼はブルートゥース型のヘッドセットをつけて何やら誰かと話してる。
「10-410-10(テンフォー テンテン)。 電話か」
鳴り続ける着信が止まって、サコちゃんは喋りだした。
「はい・・・・・・ああ、市長か。 前夜祭、ごくろうさん。 これから家路か・・・・・・もしかして、冬道を自転車で、ってんじゃないよな、おい。・・・・・・ロードワーク? ロードワークってボクサーが減量するためにやる、あれ?・・・・・・8月の世界陸上でも目指してるのか?・・・・・・ジョークだよ。 気をつけて帰るんだな・・・・・・冬道の自転車は、新聞配達も禁止にしたみたいだ。 事故が多いからね。 この街の、特におばちゃんの運転する自動車は赤信号も平気で無視するし、歩道を走るし、とにかく危険だから。 中央警察署の交通課の係長の話だけど、おばちゃんの交通マナーは最悪らしい。 道交法を知らないんじゃないか、って怒ってた・・・・・・ERに救急搬送されてくるのは、おばちゃんの運転する車に突っ込まれた人が多いんだ・・・・・・こっちは知らないけど、必ず搬送に交通課のおまわりさんが乗ってくるから・・・・・・ああ。 今は歩道にいれば安心じゃないからな。 路面に安全はない。 気をつけてロードワークで帰れよ。 8月の世界陸上を楽しみにしてる」
サコちゃんは電話を切った。
ねえ、さっきの「10-4 10-10」って?
「ああ、警察無線用語だよ。 10-4は了解しました。 10-10は、更新を終わります。 さようなら。 っていう意味の用語」
事件?
「いや、冬まつり特別警戒。 手癖の悪い連中がでまくるから、専従班だけじゃ足りないから、特捜二課もヘルプなんだ。 ぼくは、9日の午前9時から、11日の午後5時まで。 見物客のふりして取り押さえるには、IDのない特捜二課が適任なんだ。 犯罪者って警官の顔をすべて憶えてるんだ」
顔のない警官なら憶えられてる可能性がないんじゃないか、ってことね
「カップルをよそおうと思ってる。 悪いけど、協力してもらえる?」
いいよ
「ギャラ出ないよ」
いいよ
どっちにしてもデジカメを持って、見学しながら写真を撮りに行こうと思ってるから
サコちゃん、何よ、そのにやけた顔は?午後9時までだから、お腹すくね。 体の芯まで暖まるものでもごちそうするよ。 せめて、それだけ」
「ハンチョウ、患者さんが!」
紺野看護師。 ドアをスライドさせるのと、言葉が一緒に出る。
サコちゃんは白衣を羽織って、私室を飛び出した。
廊下をスーッとすべっていく。
「病室はどこ?」
「ERです。救急搬送。 車同士の正面衝突。 どちらかが対向車線を越えたんでしょう、この猛吹雪で」
「ぼくもとまれませーん!」
そのまま非常口に突っ込んで、跳ね返って廊下に倒れた。
でも、すごい。
頭をかばってる。
学習能力はあるんだね。
彼が、ERの患者さんの頭のCTを撮影してもらったところ、脳内出血が見えた。
早速、脳外科にCTを持っていくと、運よく科長がいた。
「佐橋科長、まだ仕事ですか?」
「仕事も何も、この吹雪じゃ帰れないよ。 夜の吹雪は恐ろしいからね。 うん、それは?」
「ERに救急搬送された患者さんです。対向車の正面衝突。 ぶっつけられた側の患者さんが脳内」
「出血か。恐らくまだ出血してるな。 行くよ」
勤務中にボケないなーと思わせておいて、最後にきちんと大ボケをかましてくれました。
♪最後のボケに笑わないように 歯をかみ締め 瞳 閉じたー♪
冬まつり関係者は大変な出航となったろう。
午後8時からの前夜祭は、それでも時間通りに始まって、プログラムもすべて台本どおりにこなして終わった。
観に行ったの?って。
まさか。
病棟の面会棟の窓から、青白い光が見えていただけです。
きょうこそ、彼の耳鼻科。 きのうは、きょうに無理矢理にでも突っ込むから、と耳鼻科医は約束してくれたけど、結局はきょうもダメでした。
蓄膿症や花粉症はいいとしても、良性発作性頭位めまい症がねー。 耳石が蝸牛(耳の奥のカタツムリみたいな器官)に落ちることによって起きるというヒトがいる。
ところが、それは素人の言うことであって、ある人は、蓄膿症が原因だと言う。 専門医に言わせると、それらは医学的根拠がまったくないという。
「巷で言われていることを原因と仮定して、治療をしてみた結果、何の改善も見られなかったんですよ。 でも、必ず原因はあるはずですからね」
明日は午前のみの診療のため、こっちがアウト。 最速、木曜かな?。
アネさんが心配してくれて、彼がめまいのために処方されている薬と同じものを3日分の処方箋を書いてくれましたけどね。
あっ、電話。
サコちゃん、電話
彼はブルートゥース型のヘッドセットをつけて何やら誰かと話してる。
「10-410-10(テンフォー テンテン)。 電話か」
鳴り続ける着信が止まって、サコちゃんは喋りだした。
「はい・・・・・・ああ、市長か。 前夜祭、ごくろうさん。 これから家路か・・・・・・もしかして、冬道を自転車で、ってんじゃないよな、おい。・・・・・・ロードワーク? ロードワークってボクサーが減量するためにやる、あれ?・・・・・・8月の世界陸上でも目指してるのか?・・・・・・ジョークだよ。 気をつけて帰るんだな・・・・・・冬道の自転車は、新聞配達も禁止にしたみたいだ。 事故が多いからね。 この街の、特におばちゃんの運転する自動車は赤信号も平気で無視するし、歩道を走るし、とにかく危険だから。 中央警察署の交通課の係長の話だけど、おばちゃんの交通マナーは最悪らしい。 道交法を知らないんじゃないか、って怒ってた・・・・・・ERに救急搬送されてくるのは、おばちゃんの運転する車に突っ込まれた人が多いんだ・・・・・・こっちは知らないけど、必ず搬送に交通課のおまわりさんが乗ってくるから・・・・・・ああ。 今は歩道にいれば安心じゃないからな。 路面に安全はない。 気をつけてロードワークで帰れよ。 8月の世界陸上を楽しみにしてる」
サコちゃんは電話を切った。
ねえ、さっきの「10-4 10-10」って?
「ああ、警察無線用語だよ。 10-4は了解しました。 10-10は、更新を終わります。 さようなら。 っていう意味の用語」
事件?
「いや、冬まつり特別警戒。 手癖の悪い連中がでまくるから、専従班だけじゃ足りないから、特捜二課もヘルプなんだ。 ぼくは、9日の午前9時から、11日の午後5時まで。 見物客のふりして取り押さえるには、IDのない特捜二課が適任なんだ。 犯罪者って警官の顔をすべて憶えてるんだ」
顔のない警官なら憶えられてる可能性がないんじゃないか、ってことね
「カップルをよそおうと思ってる。 悪いけど、協力してもらえる?」
いいよ
「ギャラ出ないよ」
いいよ
どっちにしてもデジカメを持って、見学しながら写真を撮りに行こうと思ってるから
サコちゃん、何よ、そのにやけた顔は?午後9時までだから、お腹すくね。 体の芯まで暖まるものでもごちそうするよ。 せめて、それだけ」
「ハンチョウ、患者さんが!」
紺野看護師。 ドアをスライドさせるのと、言葉が一緒に出る。
サコちゃんは白衣を羽織って、私室を飛び出した。
廊下をスーッとすべっていく。
「病室はどこ?」
「ERです。救急搬送。 車同士の正面衝突。 どちらかが対向車線を越えたんでしょう、この猛吹雪で」
「ぼくもとまれませーん!」
そのまま非常口に突っ込んで、跳ね返って廊下に倒れた。
でも、すごい。
頭をかばってる。
学習能力はあるんだね。
彼が、ERの患者さんの頭のCTを撮影してもらったところ、脳内出血が見えた。
早速、脳外科にCTを持っていくと、運よく科長がいた。
「佐橋科長、まだ仕事ですか?」
「仕事も何も、この吹雪じゃ帰れないよ。 夜の吹雪は恐ろしいからね。 うん、それは?」
「ERに救急搬送された患者さんです。対向車の正面衝突。 ぶっつけられた側の患者さんが脳内」
「出血か。恐らくまだ出血してるな。 行くよ」
勤務中にボケないなーと思わせておいて、最後にきちんと大ボケをかましてくれました。
♪最後のボケに笑わないように 歯をかみ締め 瞳 閉じたー♪