自民党が圧勝を決めた瞬間、彼はTVの前でガッツポーズをして大喜びした。
 きのうは「みんなの党」に入れたようなことを匂わせていたのになぜ?。
 窓から、自衛隊駐屯地に向かって叫んだ。
 「みなさん、おめでとう。 やっとあなたたちが人間として認められる日がやってきました。 国連によりますと、集団的自衛権の行使は行えるとあります。 いよいよ、みなさんも人間として、戦場に立つ日が来ました。 元米軍特殊部隊OBとして、同士である皆さんに精一杯の祝福の気持ちを送ります!。 一緒に戦場で戦いましょう」
 自民に入れてたの?
 「もちろん。 ぼくは票を殺したくないからね。 それに自民には友達が多いから。 幹事長の石波茂ちゃんは、全国キャンディーズ連合会で一緒だし、戦闘機のプラスティックモデル大好き同士でやりとりがあるし。 参議院の山本一太くんは音楽友達だし、他にもたくさんの友人がいる。 彼らが、自衛隊員に正式な身分が与えられるように憲法第9条を撤廃してくれると約束してくれた。 ぼくの長年の悩みを解消してくれるんだ。 国防軍として、彼らは憲法でその存在を否定された幽霊から、いや、妖怪人間から人間になれたんだよ。 こんなにうれしいことはない。 安倍首相の胃腸過敏に関しては、いい薬がいくらでもあるから、長時間にわたる国際会議でも問題はない。 本当に、自衛隊員がきちんと憲法で存在を認められる日が来るんだ。 盆と正月が一緒に来たような日だ。 過酷な災害出動に黙々と耐えて働く姿を、阪神・淡路大震災で見ていて、こんなにあたたかい気配りを持った人たちを、妖怪人間にしておくべきじゃないと思った。赤の他人のために身を粉にして働く姿は、当時、米軍の特殊部隊にいた人間にとって、深い同情と、なぜクーデターを起こしてでも身分を勝ち取ろうとしないのか不思議だった。 やっと人間になれるんだ。 同じソルジャーとしてこんなにうれしいことはない」
 わたしと一緒か。
 日々、駐屯地が目の前に見える職場にいると、雨が降ろうと雪が降ろうと、台風になろうと、毎日黙々と訓練をこなす彼らに特別な感情があった。
 阪神・淡路大震災で、NPOの医療チームと、自衛隊の医療チームとが協力して被災者のケアに当たった日々もあって、こんなにすばらしいヒューマニズムをもった人たちが憲法で存在を否定された幽霊だなんて、悲しかった。 それを見てみぬ振りをしていた政府をうらんだりもした。
 
 土曜・日曜の朝、食事を買いにコンビニに出かける途中で出勤してくる自衛隊員は、知り合いでもないのに、大きな声で「おはようございまーす!」とにこっと笑ってくれる。 夕食を買いに出ると、自宅に戻る途中で、「こんばんは。 おやすみなさい」。 幽霊はそんなことはしないだろう。
 安倍さん、頼んだよ。 彼らを憲法の上で人間として扱ってあげて。
 しかし、わたしが彼に猫だましを仕掛けたつもりでいたのに、お互いに猫だましだったとは。
 「第三局」に入れたらせっかくの一票が生きてこない。
 せっかくの票を殺したくはないよ。
 
 そして何より、相撲部屋の親方みたいな顔をした総理が消えうせたこと。 ユニクロ大好きな元幹事長が消えうせたことがなによりうれしい。
 これで、堂々とユニクロを着ることができる!
 
 自衛隊員さん、おめでとうございます!