本番まであと三日。
わたしは胃カメラや気管支カメラ、内視カメラの整備に時間を割いた。
体験コーナーという名称がついているのだから、当然、来客、つまり素人さんに操作させるのだ。
壊れていうるものなんか操作させられない。
また、現在使っているものは素人に使わせるな、という院長の厳命もあって、一代前のものを引っ張り出してきて使うわけだから、整備には時間がかかる。
そう、操作体験をするということは、実際に患者役の人間が必要だろう。
いる。 病院の一覧表を科目ごとにランク分けしてる不思議ちゃんが。
目があった瞬間に逃げ出した。
バレたか・・・・・・。
「なにを訊かれて、どう答えるか。 考えたら頭痛がする・・・・・・」
病院のランク付け、まずくない?
そんなのがバレたらとんでもないことになるよ
「だけど、患者さんは病院の選び方を知らない。 ぼくがそうだろう。 心療内科を選ぶべきものを精神科を選んだために、薬物療法のみでカウンセリングがない。 薬物療法じゃ躁うつは治らない。 めまいだってどの診療科なのかでたらい回しだ。 同じ科目の病院にも行っていいところと悪いところがある。 ぼくは下痢と便秘を繰り返して、市販薬が効かなくなって、すぐ裏で総合病院の看板を上げているところへ行った。 医師は軒並み80歳代、診察するにも手が震えているんだ。 そして出た診断が、原因がわからない。 でも放っておけばそのうち治る。 仕方ないから市販薬を増量して飲んで、思い当たる病名があったから、ラジコンレースの日を待って、レースに出ている知り合いの医師に病状を話したら、顔色が変わった。 そして、レースが終わったらすぐ、病院に来い。 ほぼ大腸癌のまちがいはない、でも腫瘍の場所を特定しなければならないから、検査を受けて、明日から入院してもらう。 80歳代の医師の言うことを聞いていたら、ぼくは今頃死んでいた。 行っていい病院と悪い病院は確実に存在するし、そんなことで手遅れになって命を落としていたらたまらないよ」
80歳を越えて現役なわけ?
自分が医者にかかったほうがいいんじゃない?
「そういう病院は確かに存在するの。 だからランクは必要。 あそこへ行って相談してください、でその80歳を越えた医師の元へ相談しに来た深刻な人を送るわけにはいかない。 ちゃかしはランクビリ欠の病院に送ってやるけどね」
でも、どうやってランクを?
「看護師にアンケートを取った。 病院のいい悪いを一番知っているのは看護師なんだよ。 彼女たちは横のつながりを持ってるからね」
でも、よく答えてくれたね
「白くま君セヴンイレヴンプレミアム1個のお礼でね」
そろそろ行きますか。
胃カメラや気管支カメラ、内視カメラの操作体験には患者さん役の人がいると思うんだけどね
「別に生きてる人間を使うことはないと思うよ。 素人が操作するんだ、危険だよ。 ダッチワイフを使えばいいの。 そのためにあるんだから」
ダッチワイフ・・・・・・オランダ人の奥さん?。
この病院にそんな人はいない。
「おい、ハンチョウもおとなしい顔をして過激なことを言うな。 志村にダッチワイフがわかるわけないだろ」
アネさんは笑った。
ダッチワイフってなんなんですか?
「うん。彼女のいない男性が、ベッドで彼女の代わりにエッチなことをするための等身大の人形。 ハンチョウは志村がいるから必要ないの」
下ネタですか?
「まあ、な。 でもハンチョウの言ってるダッチワイフって、ダミーのことじゃないか。心肺蘇生何かに使うあれのことだろ」
「あれもダミーっていうんですか。 ダミーって自動車の安全実験のためのものじゃないんだ」
「やっぱり、あれのことか。 カメラの操作体験にはあれがいいな。 まちがっても生身の人間を使うな。内蔵に傷をつけたらとんでもないことになる」
うーん、あのダミーじゃ反応がね。 やっぱり生身の人間じゃないと。
「『海と毒薬』って知ってるかい?」
遠藤周作さんだっけ
「読んだことは?」
ない
「大戦末期、米軍捕虜の生体解剖実験が行われていた。 戦後も国はその事実をひた隠しにしていた。 なぜなら捕虜条約に抵触する。 生体解剖は最も重たい罪だ。 それを遠藤さんが知って調査して暴露した。医師が読むと考えさせられることが多い」」
「ハンチョウは三島じゃないのか?」
「三島はすべて読破してます。 特に「憂国」三部作が好きです。 立松和平さんの「光の雨」は共感しましたね。 大菩薩峠での粛清の意味を知りました。 それから石原慎太郎さんもほとんど読んでます。 あの人は知事なんかやめて作家一筋に生きるべきだと思いますよ。 知事として口にできないことが相当あるみたいですからね。 作家は何を言っても許される」
「それは言えるな。 「光の雨」か。 そんな時代もあったんだよな。 今の若い連中は、中国の侵略行為に目もくれずAKBだのももクロだ、スマートフォンだと浮かれてる。 あの頃の若者はその日その日を真剣に生きてたんだよ。 でも大菩薩峠のは粛清じゃない、単なるリンチ殺人だ。 肯定は出来ない」
「肯定というわけではありませんけど、ぼくは小さい頃、是則さんの言動を見てましたから、どうしても彼らに対して肯定的になるんです。 赤軍には共感しない。 でも、全学連や全共闘には共感します。でなければ是則さんを否定することになる。 彼はぼくに、手塚漫画を通じて生命の貴さを教えてくれた。 手塚漫画がなければぼくは医師になりたいとは思わなかった。 自衛隊も医師も国民の生命を守ることでは同じだと思ってましたけど、どこかの病室のバカちんが、自衛隊=軍隊だと思い込んで洗浄に出るものだと考えて、教え子を戦場に送るなとかいう錆び付いた鎧を脱ごうとしない。 教師が日本国憲法を知らないとは情けない。 だから、医師なら文句も言えないでしょう」
「是則さんか・・・・・・残酷だよな、あんな神様みたいな人を志半ばで天に連れて行くなんて」
「ぼくとは一番気があったんですよ。 ぼくは米軍出身だけど決して米軍を肯定しませんから。 是則さんが生きていたら、沖縄の米軍問題ももっとなんとか出来たかもしれない」
「それは、つまりハンチョウは日米安保反対ってことか」
「当たり前ですよ。 他人の土地に黙って居座るのは刑法上の問題がある。 日本はアメリカに守っていらない。 集団的自衛権行使を可能に改正して、自衛隊員に身分を与え、日本を守る仕事にさせる。 かわいそうですよ、自衛隊員は憲法で存在を否定されてる。 でも存在している。 つまり彼らは幽霊なんです。 毎朝正門の前を自転車で出勤してくる隊員たちを見ていると、あんなさわやかな人々を幽霊扱いなんかできません」
「自民の総裁は安倍さんになったぞ。 少しはハンチョウと同じ考え方を持つんじゃないのか?」
「それにはまず政権奪取ですよね。 でも、自分の都合で総理を辞めておきながら、また総理になるというのはどうもね。 石破さんであって欲しかったですけど、一時離党している過去が気に入られなかったんでしょう、長老たちに。 まあ、どこまでやってくれるか、ですけどね。 民主の相撲部屋内閣よりは頼りになりそうだ」
「市長は民主党だよな。 あれだけ親友でもハンチョウは自民支持か」
「アイツとは政治的理念についてはどうこう言わないという約束があるんです。 ただし、この街のことに関しては協力を惜しまない。 政治家だとおもってませんから。 介護士が市長になった。 同じ医療・福祉の仲間です」
あのう、お話の途中申し訳ありませんが、 カメラの体験には
「ダミーを使え。 素人が操作するんだぞ。 志村は自分のレベルでしかわからないけど、素人にはとても扱えるものじゃない。 生身は危険だ」
やっぱりね
「今夜、書店に定期購読の本を取りに行くから、「海と毒薬」をプレゼントする。 本番までに読んでおいて。 生体を実験に使うことの愚かしさがわかる。遠藤さんとは同じプロテスタントだろ。 プロテスタントが生体実験なんかしていいわけがない」
はい・・・・・・
定期購読たって男性ファッション雑誌だよ。2ヶ月おきにAKBのメンバーが交代で表紙を飾るやつ。
AKBはおニャン子と同じように崩壊していく、とか、無意味だからスタッフを辞めるとかいうけど、結局はAKBファンじゃないかって。
ダミーなんて予定調和でおもしろくない。
わたしは胃カメラや気管支カメラ、内視カメラの整備に時間を割いた。
体験コーナーという名称がついているのだから、当然、来客、つまり素人さんに操作させるのだ。
壊れていうるものなんか操作させられない。
また、現在使っているものは素人に使わせるな、という院長の厳命もあって、一代前のものを引っ張り出してきて使うわけだから、整備には時間がかかる。
そう、操作体験をするということは、実際に患者役の人間が必要だろう。
いる。 病院の一覧表を科目ごとにランク分けしてる不思議ちゃんが。
目があった瞬間に逃げ出した。
バレたか・・・・・・。
「なにを訊かれて、どう答えるか。 考えたら頭痛がする・・・・・・」
病院のランク付け、まずくない?
そんなのがバレたらとんでもないことになるよ
「だけど、患者さんは病院の選び方を知らない。 ぼくがそうだろう。 心療内科を選ぶべきものを精神科を選んだために、薬物療法のみでカウンセリングがない。 薬物療法じゃ躁うつは治らない。 めまいだってどの診療科なのかでたらい回しだ。 同じ科目の病院にも行っていいところと悪いところがある。 ぼくは下痢と便秘を繰り返して、市販薬が効かなくなって、すぐ裏で総合病院の看板を上げているところへ行った。 医師は軒並み80歳代、診察するにも手が震えているんだ。 そして出た診断が、原因がわからない。 でも放っておけばそのうち治る。 仕方ないから市販薬を増量して飲んで、思い当たる病名があったから、ラジコンレースの日を待って、レースに出ている知り合いの医師に病状を話したら、顔色が変わった。 そして、レースが終わったらすぐ、病院に来い。 ほぼ大腸癌のまちがいはない、でも腫瘍の場所を特定しなければならないから、検査を受けて、明日から入院してもらう。 80歳代の医師の言うことを聞いていたら、ぼくは今頃死んでいた。 行っていい病院と悪い病院は確実に存在するし、そんなことで手遅れになって命を落としていたらたまらないよ」
80歳を越えて現役なわけ?
自分が医者にかかったほうがいいんじゃない?
「そういう病院は確かに存在するの。 だからランクは必要。 あそこへ行って相談してください、でその80歳を越えた医師の元へ相談しに来た深刻な人を送るわけにはいかない。 ちゃかしはランクビリ欠の病院に送ってやるけどね」
でも、どうやってランクを?
「看護師にアンケートを取った。 病院のいい悪いを一番知っているのは看護師なんだよ。 彼女たちは横のつながりを持ってるからね」
でも、よく答えてくれたね
「白くま君セヴンイレヴンプレミアム1個のお礼でね」
そろそろ行きますか。
胃カメラや気管支カメラ、内視カメラの操作体験には患者さん役の人がいると思うんだけどね
「別に生きてる人間を使うことはないと思うよ。 素人が操作するんだ、危険だよ。 ダッチワイフを使えばいいの。 そのためにあるんだから」
ダッチワイフ・・・・・・オランダ人の奥さん?。
この病院にそんな人はいない。
「おい、ハンチョウもおとなしい顔をして過激なことを言うな。 志村にダッチワイフがわかるわけないだろ」
アネさんは笑った。
ダッチワイフってなんなんですか?
「うん。彼女のいない男性が、ベッドで彼女の代わりにエッチなことをするための等身大の人形。 ハンチョウは志村がいるから必要ないの」
下ネタですか?
「まあ、な。 でもハンチョウの言ってるダッチワイフって、ダミーのことじゃないか。心肺蘇生何かに使うあれのことだろ」
「あれもダミーっていうんですか。 ダミーって自動車の安全実験のためのものじゃないんだ」
「やっぱり、あれのことか。 カメラの操作体験にはあれがいいな。 まちがっても生身の人間を使うな。内蔵に傷をつけたらとんでもないことになる」
うーん、あのダミーじゃ反応がね。 やっぱり生身の人間じゃないと。
「『海と毒薬』って知ってるかい?」
遠藤周作さんだっけ
「読んだことは?」
ない
「大戦末期、米軍捕虜の生体解剖実験が行われていた。 戦後も国はその事実をひた隠しにしていた。 なぜなら捕虜条約に抵触する。 生体解剖は最も重たい罪だ。 それを遠藤さんが知って調査して暴露した。医師が読むと考えさせられることが多い」」
「ハンチョウは三島じゃないのか?」
「三島はすべて読破してます。 特に「憂国」三部作が好きです。 立松和平さんの「光の雨」は共感しましたね。 大菩薩峠での粛清の意味を知りました。 それから石原慎太郎さんもほとんど読んでます。 あの人は知事なんかやめて作家一筋に生きるべきだと思いますよ。 知事として口にできないことが相当あるみたいですからね。 作家は何を言っても許される」
「それは言えるな。 「光の雨」か。 そんな時代もあったんだよな。 今の若い連中は、中国の侵略行為に目もくれずAKBだのももクロだ、スマートフォンだと浮かれてる。 あの頃の若者はその日その日を真剣に生きてたんだよ。 でも大菩薩峠のは粛清じゃない、単なるリンチ殺人だ。 肯定は出来ない」
「肯定というわけではありませんけど、ぼくは小さい頃、是則さんの言動を見てましたから、どうしても彼らに対して肯定的になるんです。 赤軍には共感しない。 でも、全学連や全共闘には共感します。でなければ是則さんを否定することになる。 彼はぼくに、手塚漫画を通じて生命の貴さを教えてくれた。 手塚漫画がなければぼくは医師になりたいとは思わなかった。 自衛隊も医師も国民の生命を守ることでは同じだと思ってましたけど、どこかの病室のバカちんが、自衛隊=軍隊だと思い込んで洗浄に出るものだと考えて、教え子を戦場に送るなとかいう錆び付いた鎧を脱ごうとしない。 教師が日本国憲法を知らないとは情けない。 だから、医師なら文句も言えないでしょう」
「是則さんか・・・・・・残酷だよな、あんな神様みたいな人を志半ばで天に連れて行くなんて」
「ぼくとは一番気があったんですよ。 ぼくは米軍出身だけど決して米軍を肯定しませんから。 是則さんが生きていたら、沖縄の米軍問題ももっとなんとか出来たかもしれない」
「それは、つまりハンチョウは日米安保反対ってことか」
「当たり前ですよ。 他人の土地に黙って居座るのは刑法上の問題がある。 日本はアメリカに守っていらない。 集団的自衛権行使を可能に改正して、自衛隊員に身分を与え、日本を守る仕事にさせる。 かわいそうですよ、自衛隊員は憲法で存在を否定されてる。 でも存在している。 つまり彼らは幽霊なんです。 毎朝正門の前を自転車で出勤してくる隊員たちを見ていると、あんなさわやかな人々を幽霊扱いなんかできません」
「自民の総裁は安倍さんになったぞ。 少しはハンチョウと同じ考え方を持つんじゃないのか?」
「それにはまず政権奪取ですよね。 でも、自分の都合で総理を辞めておきながら、また総理になるというのはどうもね。 石破さんであって欲しかったですけど、一時離党している過去が気に入られなかったんでしょう、長老たちに。 まあ、どこまでやってくれるか、ですけどね。 民主の相撲部屋内閣よりは頼りになりそうだ」
「市長は民主党だよな。 あれだけ親友でもハンチョウは自民支持か」
「アイツとは政治的理念についてはどうこう言わないという約束があるんです。 ただし、この街のことに関しては協力を惜しまない。 政治家だとおもってませんから。 介護士が市長になった。 同じ医療・福祉の仲間です」
あのう、お話の途中申し訳ありませんが、 カメラの体験には
「ダミーを使え。 素人が操作するんだぞ。 志村は自分のレベルでしかわからないけど、素人にはとても扱えるものじゃない。 生身は危険だ」
やっぱりね
「今夜、書店に定期購読の本を取りに行くから、「海と毒薬」をプレゼントする。 本番までに読んでおいて。 生体を実験に使うことの愚かしさがわかる。遠藤さんとは同じプロテスタントだろ。 プロテスタントが生体実験なんかしていいわけがない」
はい・・・・・・
定期購読たって男性ファッション雑誌だよ。2ヶ月おきにAKBのメンバーが交代で表紙を飾るやつ。
AKBはおニャン子と同じように崩壊していく、とか、無意味だからスタッフを辞めるとかいうけど、結局はAKBファンじゃないかって。
ダミーなんて予定調和でおもしろくない。