病棟の医師と看護師は、頭を付き合わせて思案の真っ最中。
毎月1回、金曜の午後に、病棟の演芸会を開くことになって、今週金曜日が当日になる。
演芸会といっても、歌でもマジックでも漫才でもなんでもいい。
目的は治療だから。
彼が化学療法の度に成果を出すのは、クロノテラピーと呼ばれる、午後4時30分から投与を始める治療法と、ボケ。
患者さんを笑わせたり、ハッピーな気持ちにさせたりすると、なぜか腫瘍が縮小する。
どうしてなのかは世界的に研究が進んでいるが、細胞が活性化することにより、癌となった悪性細胞を退治するのではないかという論文を医学誌に、アメリカの医学博士が発表したが、根拠に欠けていて、いまだ結果が出ていない。
クロノテラピーもボケによる細胞活性化もすべて、彼はアメリカで学んできた。
それが、黄色人種の日本人にも成果を挙げている。
それなら、患者さんをひとまとめにして、ボケによる細胞活性化実験をやってみよう。 治療は毎月1回。
新築された体育館の第1回目だけに、失敗はできない。
「大喜利は。 アネさんが司会で、医師が回答者。 座布団は自分で運ぶ。 看護師は師長が司会で、同じような」
頭を悩ませていたみんなが一斉にガンバを見る。
「だめっすよね」
いいじゃない、それでいこうよ
その前に、マジックとか歌とかつけて
ウチは夫婦漫才でもやるから
「ウチはマジックで。 彼女にアシスタントをしてもらって。 人体切断とかはまずいでしょう。 帽子から何かが出るとかそんなやつで、しかも笑えて、患者さんとコミュニケーションが取れるものにします」
ガンバ。
「ウチは、夫婦漫才で、病棟武勇伝を」
チャラ。
オリラジか。 チャラいやつにはぴったりのネタだよ。
看護師たちはAKBを歌うというし、男性看護師2人組はコブクロ。
あとは適当に彼がボケまくる。
大喜利のお題はアネさんと、看護師長が用意するという。
つまり、わたしたちは本番までお題を知らないから、出されたら即考えて手を挙げて答える。
プロの噺家さんと同じタイミングでなければダメってことだ。
自信はない。
答えなければ座布団を取られることもないのか。
なるほど、その手があったね。
でも、担当している患者さんの手前、頑張らないと、患者さん落ち込むね。
これで決まった。
彼は午後、抜糸した。
きょうは洗髪できないけど、明日は指の腹で傷の上を撫でる感じでなら洗ってもいい。 いや、むしろ、雑菌を傷に入れないためには毎日洗ったほうがいい。
きのうの夜食のときに、前院長が戻ってきて、みんなに頭を下げた。
特に彼に対しては。
彼は言った。
「撤退を決断していただいてありがとうございました。 あのまま前進して遭難したらとんでもないことになってました。 前院長の勇気に感謝します」
そして、屋久島杉チャレンジの話で夜食。
この街にいる日本一の義肢製作者を連れて行ったのは、チャレンジャーの美穂ちゃんの義足があまりにも初歩的で稚拙だったから。 こっちでパラリンピック用に準備された義足の1本をプレゼントしたかった。 義足は、失った足の断面にジャストフィットさせないと、痛みが走って歩けない。 だから現場で最終工程のフィッティングをしてもらうために技師が必要だった。 それともう一本、陸上競技用の最新型の義足をプレゼントしたという。 美穂ちゃんは陸上が好きで、身障者の大会に出場しているが、義足が満足のいくものではないために、記録が伸びない。 そこで、今回のロンドン・パラリンピックの陸上選手と同じものをプレゼントした。 義肢製作者とは羽田で別れた。 彼は成田から、パラリンピック日本選手団に招聘されて、ロンドンに飛んだという。
彼の話をした。
整形外科医だから、抜糸した傷口を診てもらったり、きのうの脳ドックの結果を見てもらったり。
「おい。 これはこの病棟で縫合したのか」
わたしです
「志村くん。 オペの縫合はあれだけうまいのに、なんだ、これは。 ホッチキスの打ちすぎだぞ。 だから抜糸した穴がたくさん開きすぎてる。 雑菌にさあお入りくださいと言ってるようなものだ。 まあ、旦那がこんな状態になれば正気でいられないのもわかる。 でも、それを超えないと医師としては合格点じゃないね。 そうか、整形で縫合させたほうがよかったかもな。 整形でこんな縫合をしたら、一括してやろうと思ったが。 原因が低血圧か。 その上に抗うつ剤を服用するとなお下がる。 上が50で下が30か。 せめて100の80に持っていかないとな。 とはいっても生レバーが禁止じゃどうしようもない。 ぼくもなにか方法を探してみるよ。 それにしても脳ドックの結果がきれいでよかった。 血圧な、よし」
「きのうは脳ドックの往復140kmを徒歩だったんだぞ。 負けるよ、ったく、心配させやがって」
「このドクターの病院ならここからラーメン屋に向かって出て行って、青果市場の上の効果を通ればすぐだろう。 多分、30kmくらいで」
「あの道は5ヵ年計画の道路改良で、今2年目。全面通行止めだ」
アネさん。
「じゃ、ここから図書館の横を過ぎてロータリーを回って、市内に出て、4条通りを18丁目線へ出て、国道39号線を直進か。 誰か送迎してやれよ!」
彼が、拒否したんです
月曜回診をぼくが抜けるからその分よろしく頼むって
「熱中症の危険もあったのに」
「途中のスーパーや家電量販店で休憩を取ってましたし、2Lの機能性ドリンクを背負ってました」
「ふーん、やっぱり考え方が医者だな。 ぼくも医者だけどそんな無謀なことはしない」
「いや、自衛隊の駐屯地の前を歩いてる時に横断幕が見えたんですよ。 それで、寮の方から入っていこうかなと思ったりして」
「なんで、見えた?」
「自衛隊の駐屯地は施設を隠すために針葉樹林に覆われているでしょう。涼しいと思ったから、その下を歩いて、調剤薬局の前から病院側の歩道に渡ったんですよ」
「そういう利用法もあるのか、自衛隊の駐屯地は」
ガンバがつぶやいた。
「それだけ考えるとは、ハーバードの頭は回路が違うようだな。 その頭を生かすためにも傷を完全にきれいにしないと」
「すごいことをやってるんだ、この病棟は」
アネさん、話すのか。
「クロノテラピーって、午後4時30分から抗癌剤投与を始めると、副作用が全く出ない。 終わったら病院食だけで足りないから、病院食の大盛りや特盛を作れって言うんだよ、患者さんたちが。 まず、きょうは間に合わないから外出許可をくれ、大盛りのラーメンを食べに行かないと、腹が減って眠れない。 患者さんだけ出すのは投与当日は怖いから、担当医も一緒に出してる。 焼肉が食べたいっていうのもあった。 抗癌剤投与の当日に食欲が出るなんて考えられないんだよ。 病院食でさえ食べられないのが常識なんだ。 それと最もびっくりしたのは、クロノテラピーで投与すると、腫瘍が、一番成果の出なかったもので2/3ni
縮小するし、半分になった患者さんがほとんどなんだ。 ここはもはやターミナルケア病棟じゃない」
「抗癌剤で腫瘍が縮小するって。 おもしろいな。 それが本当なら、ぼくはスカイツリーを逆立ちで登るぞ」
「言ったな。 みんなも確かに聞いたな。 見せてやるよ」
アネさんは、ある患者さんのX線を、クロノテラピー以前と以後、並べてライトボックスに貼りだした。
「どうだ」
「CG処理だろう。抗癌剤で腫瘍が縮小なんかしないの。イレッサとアムルビシンには肥大化を食い止める作用が認められる、それも0・6%だ。あとは聞かない患者さんが大半で副作用ばかり危険なものが出る」
「X線写真にCG処理なんかできるか? X線に関しちゃ、整形の方が多用するだろうからわかってるだろう」
「それは・・・・・・」
「さあ、登れよ逆立ちで。 スカイツリーだったよな、うん?」
「まあ、いいでしょう。前院長も口が滑っただけで。 クロノテラピーの成果を話すと、100人中100人が前院長と同じことを言いますから。 日本ではなぜかまだ取り入れられていないんですよね。 アメリカでは常識なんですけど」
「つまり、日本の癌医療は遅れてるってことか?」
アネさんは彼に訊きました。
「はっきり言わせてもらいます。20年以上遅れてます。 でも、この病棟に限り、クロノテラピーが実施されているうちはアメリカと同等ですから。 ぼくがオペを多用したのもアメリカでは終末期に至るまでオペを多用するからです。 厚労省ではⅡーⅠ期までのオペしか認めていませんが、アメリカのFDAはそんな縛りはありません。 ドクターと患者さんの話し合いでオペを自由に行える。 その代わり、インフォームド・コンセントは日本より綿密で、家族だけではなく、患者さん本人もも出席を求められます。抗癌剤投与という概念は薄いんですよ。 それよりもとにかくオペですから」
インフォームド・コンセントね。
この病棟では患者さんが立会いたいという希望がない限り、御家族だけで行う。
本来は、患者さん本人が必ず出席してくれると、御家族と同時に余命宣告を聴けるから、医師としても、言いにくいことを2度言わなくて済むんだけどね。
インフォームド・コンセントね。
コンセント。
コン・・・・・・わたしのホンダ・ビートの充電を忘れてた。
充電スタンドのあるホンダの営業所まで走れるだけ、この病院の電気を借ります。
計画停電で、外来は1週間のうちに3日しか診察していませんが、わたしのビートには関係ない。
深夜電力で充電して、朝、コンセントを抜くから。
深夜の職員駐車場って、女性1人では危険だよ。
わたしって、ものすごくかよわいから。
彼を連れて行きます。
彼は北斗晶さんとの電話で宣言したんだ。
「ウチもチャコを見習って、妻主導型の家庭にするって」
嫌だとは言わせないよ。
それともフライパンであの世へ行くか。
毎月1回、金曜の午後に、病棟の演芸会を開くことになって、今週金曜日が当日になる。
演芸会といっても、歌でもマジックでも漫才でもなんでもいい。
目的は治療だから。
彼が化学療法の度に成果を出すのは、クロノテラピーと呼ばれる、午後4時30分から投与を始める治療法と、ボケ。
患者さんを笑わせたり、ハッピーな気持ちにさせたりすると、なぜか腫瘍が縮小する。
どうしてなのかは世界的に研究が進んでいるが、細胞が活性化することにより、癌となった悪性細胞を退治するのではないかという論文を医学誌に、アメリカの医学博士が発表したが、根拠に欠けていて、いまだ結果が出ていない。
クロノテラピーもボケによる細胞活性化もすべて、彼はアメリカで学んできた。
それが、黄色人種の日本人にも成果を挙げている。
それなら、患者さんをひとまとめにして、ボケによる細胞活性化実験をやってみよう。 治療は毎月1回。
新築された体育館の第1回目だけに、失敗はできない。
「大喜利は。 アネさんが司会で、医師が回答者。 座布団は自分で運ぶ。 看護師は師長が司会で、同じような」
頭を悩ませていたみんなが一斉にガンバを見る。
「だめっすよね」
いいじゃない、それでいこうよ
その前に、マジックとか歌とかつけて
ウチは夫婦漫才でもやるから
「ウチはマジックで。 彼女にアシスタントをしてもらって。 人体切断とかはまずいでしょう。 帽子から何かが出るとかそんなやつで、しかも笑えて、患者さんとコミュニケーションが取れるものにします」
ガンバ。
「ウチは、夫婦漫才で、病棟武勇伝を」
チャラ。
オリラジか。 チャラいやつにはぴったりのネタだよ。
看護師たちはAKBを歌うというし、男性看護師2人組はコブクロ。
あとは適当に彼がボケまくる。
大喜利のお題はアネさんと、看護師長が用意するという。
つまり、わたしたちは本番までお題を知らないから、出されたら即考えて手を挙げて答える。
プロの噺家さんと同じタイミングでなければダメってことだ。
自信はない。
答えなければ座布団を取られることもないのか。
なるほど、その手があったね。
でも、担当している患者さんの手前、頑張らないと、患者さん落ち込むね。
これで決まった。
彼は午後、抜糸した。
きょうは洗髪できないけど、明日は指の腹で傷の上を撫でる感じでなら洗ってもいい。 いや、むしろ、雑菌を傷に入れないためには毎日洗ったほうがいい。
きのうの夜食のときに、前院長が戻ってきて、みんなに頭を下げた。
特に彼に対しては。
彼は言った。
「撤退を決断していただいてありがとうございました。 あのまま前進して遭難したらとんでもないことになってました。 前院長の勇気に感謝します」
そして、屋久島杉チャレンジの話で夜食。
この街にいる日本一の義肢製作者を連れて行ったのは、チャレンジャーの美穂ちゃんの義足があまりにも初歩的で稚拙だったから。 こっちでパラリンピック用に準備された義足の1本をプレゼントしたかった。 義足は、失った足の断面にジャストフィットさせないと、痛みが走って歩けない。 だから現場で最終工程のフィッティングをしてもらうために技師が必要だった。 それともう一本、陸上競技用の最新型の義足をプレゼントしたという。 美穂ちゃんは陸上が好きで、身障者の大会に出場しているが、義足が満足のいくものではないために、記録が伸びない。 そこで、今回のロンドン・パラリンピックの陸上選手と同じものをプレゼントした。 義肢製作者とは羽田で別れた。 彼は成田から、パラリンピック日本選手団に招聘されて、ロンドンに飛んだという。
彼の話をした。
整形外科医だから、抜糸した傷口を診てもらったり、きのうの脳ドックの結果を見てもらったり。
「おい。 これはこの病棟で縫合したのか」
わたしです
「志村くん。 オペの縫合はあれだけうまいのに、なんだ、これは。 ホッチキスの打ちすぎだぞ。 だから抜糸した穴がたくさん開きすぎてる。 雑菌にさあお入りくださいと言ってるようなものだ。 まあ、旦那がこんな状態になれば正気でいられないのもわかる。 でも、それを超えないと医師としては合格点じゃないね。 そうか、整形で縫合させたほうがよかったかもな。 整形でこんな縫合をしたら、一括してやろうと思ったが。 原因が低血圧か。 その上に抗うつ剤を服用するとなお下がる。 上が50で下が30か。 せめて100の80に持っていかないとな。 とはいっても生レバーが禁止じゃどうしようもない。 ぼくもなにか方法を探してみるよ。 それにしても脳ドックの結果がきれいでよかった。 血圧な、よし」
「きのうは脳ドックの往復140kmを徒歩だったんだぞ。 負けるよ、ったく、心配させやがって」
「このドクターの病院ならここからラーメン屋に向かって出て行って、青果市場の上の効果を通ればすぐだろう。 多分、30kmくらいで」
「あの道は5ヵ年計画の道路改良で、今2年目。全面通行止めだ」
アネさん。
「じゃ、ここから図書館の横を過ぎてロータリーを回って、市内に出て、4条通りを18丁目線へ出て、国道39号線を直進か。 誰か送迎してやれよ!」
彼が、拒否したんです
月曜回診をぼくが抜けるからその分よろしく頼むって
「熱中症の危険もあったのに」
「途中のスーパーや家電量販店で休憩を取ってましたし、2Lの機能性ドリンクを背負ってました」
「ふーん、やっぱり考え方が医者だな。 ぼくも医者だけどそんな無謀なことはしない」
「いや、自衛隊の駐屯地の前を歩いてる時に横断幕が見えたんですよ。 それで、寮の方から入っていこうかなと思ったりして」
「なんで、見えた?」
「自衛隊の駐屯地は施設を隠すために針葉樹林に覆われているでしょう。涼しいと思ったから、その下を歩いて、調剤薬局の前から病院側の歩道に渡ったんですよ」
「そういう利用法もあるのか、自衛隊の駐屯地は」
ガンバがつぶやいた。
「それだけ考えるとは、ハーバードの頭は回路が違うようだな。 その頭を生かすためにも傷を完全にきれいにしないと」
「すごいことをやってるんだ、この病棟は」
アネさん、話すのか。
「クロノテラピーって、午後4時30分から抗癌剤投与を始めると、副作用が全く出ない。 終わったら病院食だけで足りないから、病院食の大盛りや特盛を作れって言うんだよ、患者さんたちが。 まず、きょうは間に合わないから外出許可をくれ、大盛りのラーメンを食べに行かないと、腹が減って眠れない。 患者さんだけ出すのは投与当日は怖いから、担当医も一緒に出してる。 焼肉が食べたいっていうのもあった。 抗癌剤投与の当日に食欲が出るなんて考えられないんだよ。 病院食でさえ食べられないのが常識なんだ。 それと最もびっくりしたのは、クロノテラピーで投与すると、腫瘍が、一番成果の出なかったもので2/3ni
縮小するし、半分になった患者さんがほとんどなんだ。 ここはもはやターミナルケア病棟じゃない」
「抗癌剤で腫瘍が縮小するって。 おもしろいな。 それが本当なら、ぼくはスカイツリーを逆立ちで登るぞ」
「言ったな。 みんなも確かに聞いたな。 見せてやるよ」
アネさんは、ある患者さんのX線を、クロノテラピー以前と以後、並べてライトボックスに貼りだした。
「どうだ」
「CG処理だろう。抗癌剤で腫瘍が縮小なんかしないの。イレッサとアムルビシンには肥大化を食い止める作用が認められる、それも0・6%だ。あとは聞かない患者さんが大半で副作用ばかり危険なものが出る」
「X線写真にCG処理なんかできるか? X線に関しちゃ、整形の方が多用するだろうからわかってるだろう」
「それは・・・・・・」
「さあ、登れよ逆立ちで。 スカイツリーだったよな、うん?」
「まあ、いいでしょう。前院長も口が滑っただけで。 クロノテラピーの成果を話すと、100人中100人が前院長と同じことを言いますから。 日本ではなぜかまだ取り入れられていないんですよね。 アメリカでは常識なんですけど」
「つまり、日本の癌医療は遅れてるってことか?」
アネさんは彼に訊きました。
「はっきり言わせてもらいます。20年以上遅れてます。 でも、この病棟に限り、クロノテラピーが実施されているうちはアメリカと同等ですから。 ぼくがオペを多用したのもアメリカでは終末期に至るまでオペを多用するからです。 厚労省ではⅡーⅠ期までのオペしか認めていませんが、アメリカのFDAはそんな縛りはありません。 ドクターと患者さんの話し合いでオペを自由に行える。 その代わり、インフォームド・コンセントは日本より綿密で、家族だけではなく、患者さん本人もも出席を求められます。抗癌剤投与という概念は薄いんですよ。 それよりもとにかくオペですから」
インフォームド・コンセントね。
この病棟では患者さんが立会いたいという希望がない限り、御家族だけで行う。
本来は、患者さん本人が必ず出席してくれると、御家族と同時に余命宣告を聴けるから、医師としても、言いにくいことを2度言わなくて済むんだけどね。
インフォームド・コンセントね。
コンセント。
コン・・・・・・わたしのホンダ・ビートの充電を忘れてた。
充電スタンドのあるホンダの営業所まで走れるだけ、この病院の電気を借ります。
計画停電で、外来は1週間のうちに3日しか診察していませんが、わたしのビートには関係ない。
深夜電力で充電して、朝、コンセントを抜くから。
深夜の職員駐車場って、女性1人では危険だよ。
わたしって、ものすごくかよわいから。
彼を連れて行きます。
彼は北斗晶さんとの電話で宣言したんだ。
「ウチもチャコを見習って、妻主導型の家庭にするって」
嫌だとは言わせないよ。
それともフライパンであの世へ行くか。