ふう~っ。
やっと、病棟の入院患者さんをみんな送り出しましたよ。
普通の日なら、今の時間は消灯になってます。
う~ん。 どうなんでしょう。
外泊は2泊3日を限度にするという厚労省の方針。
患者さんのQOLを最も大切にする、というのは賛成なんですけど、この一週間みたいに週末の間に「お盆」という特殊な行事のための一時退院をはさんだケースはちょっと違うんじゃないのかな、なんて思ったりして。
患者さんはみんな、先週の金曜の夕方から、明後日の日曜日までべったり外泊というのがいい、という方がほぼ全員なんですよ。
ほぼ全員というのは、1名だけ、たとえ1日だけでも、病棟に戻ったりしたいと言う患者さんがいるだけなんですけどね。
わたしの担当する、24歳の女性。
デニムにとことんこだわっている彼女。
どうしてかと言えば、病棟に居れば、わたしとデニムの話ができるというんですね。
わたしも、彼女とデニムの話をするときは、医者を放ったらかして、単なるデニム・マニアになるので。
わたし以外に、彼女の周囲にデニムのディープな話ができる人がいないということで。
その気持ちはよくわかりますよ。
わたしも、看護師たちとデニムの話はするけど、突っ込んだ話をすると、途切れてしまうんですよ。
若い看護師たちの私服は全員デニムなんですが、わたしや24歳の彼女のレヴェルまでデニムのマニア度が深くないんですね。
スカートが嫌いだからデニム。
今の看護師の制服はスラックスだから、スカートで出勤すると、下着の上に直接制服のスラックスになるんです。
そうすると、制服が白だから、下着が透けるんですね。 それに制服が細身だから、ラインがくっきり出てしまう。 だから、私服のスラックスを、制服のスラックスの下に着けるんです。 わたしもそうしてます。
特に看護師はハードな動作を強いられますから、動きやすさが先決なんです。
動きやすさで言えば、スポーツウェアがいいんでしょうけど、腰から足にかけてゆるい作りになってますよね。
それだと、制服の下に着けることは無理なんです。 下半身にぴたっとフィットしたスラックスでないと、制服のスラックスが着けられないんです。
で、最後に残るのがデニムなんです。
デニムって、元はと言えば、炭鉱の坑内作業員のユニフォームですから、言ってみれば作業着なので、患者さんを抱いて車椅子に乗せたり、逆にベッドに降ろしたりが日常茶飯事ですから、看護師もまた作業員であるとも言えるんですね。 軽作業じゃなくて重労働ですから。
だから、みんな力は半端じゃないですよ。 わたしのチームの佐橋看護師は、患者さんをベッドごと持ち上げたりするんですよ。 ベッドの下に掃除機をかけるために、紺野看護師が掃除機をかけている間、ずっと持ち上げてるんです。 掃除機をかけ終えたら降ろして、すぐ、隣のベッドを持ち上げて。
ゴミの処理をしたり、浴場を洗ったり、掃除をするスタッフは、各病棟に2人ずつ配置されているんですが、仕事が多いために、手が回らないので、各医師と看護師のチームが持ち回りで掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりするんです。
佐橋看護師と同じことができるのは、ウチのツレだけですよ。 彼は高校生時代に、CoCo壱番屋のカレールーを下請けで作る工場で、夜中から明け方までバイトをしていて、60kg入りのカレーパウダーやスパイスを、一度に3袋、つまり180kg肩に乗せたり、ひじをL字に曲げて、フォークリフトの爪の形にして、倉庫から工場まで走って何十回も往復するようなことをやっていたから、力はあるんです。 体重は今でこそ40kg台ですが、以前は120kgでしたからね。 40kg台になっても力は落ちてなくて、患者さんの寝転がったベッドを難なく持ち上げるんです。
佐橋看護師と二人でオリンピックの重量上げの日本代表に入れたら、一番綺麗な色のメダルを獲得できるんじゃないかと、病棟スタッフで話してますよ。
24歳の患者さん、お迎えが来るのが午後8時過ぎだということで、夕食を終えたら私服に着替えて面会棟で、待ってたんで、わたしはそれまでに担当患者さんの診察を終えて、彼女とデニムの話をしてたんですが、彼女のデニムが素晴らしいというか、はっきり言ってわたしの理想のデニムだったんですよ。 ストーンウォッシュの入り方といい、全体的なシェイプといいタグといい。 わーっ言い値で買うから譲って、って言いたくてね。
どこで買ったの?
「お盆に家族でイオンモール旭川西へ買い物に行って、デニムを買うのは予定に入ってなくて、タワーレコードで東方神起のCDと、平原綾香さんの「マイ・クラシックス3」を買って、2Fのデザート王国で、クレープと季節のソフトクリームを食べようと思って、奥のエスカレーターに乗ろうとして、後ろにいた家族を振り向きざまに、このデニムが光って見えて、そのままクレープを食べたんですけど、クレープの後の季節のソフトクリームを舐めてたら、わたしを呼ぶ声が聞こえるんですよ。 でも、誰も喋らないで、ソフトクリームに夢中で。 でも頭の中で次第に声が大きくなって、目の前に、光っていたデニムがはっきりと見えて、ぼくが呼んだんだ、って。 ああ、そうか、相思相愛だったんだ、と思って、3Fに戻って、さっそく試着したんです。 デニムって、フィットする1本に出会うためには、70も80も試着しないとならないじゃないですか。 このデニムは、試着したら1本目で、これまでにないほどジャスト・フィットしたんですよ。 わたしのためにあるんじゃないか、って思って、衝動買いしちゃいました」
それ1本きりだった?
「他にも、けっこういいなーと思うのがありましたよ。 あのショップって不思議で、毎回、5本以内の試着でフィットするんですよね」
ショップは、ツレの高校時代のテニスのミックス・ダブルスの相方が店長をしている、わたしがクレジット・カードを作ったショップだった。
イオンは23:00閉店だ。
明日じゃ遅い、病棟のすべての病室が空になったら、ツレにソフトクリームをおごるから、とでも言って、今夜のうちに手に入れよう。
絶対にわたしを待ってるデニムがあるはずだ。
行ってきました。
3本ジャスト・フィットしたので、全部お買い上げです。
「同じデニムを3本も買って、どうするの。 デニムってそういうものなの?」
そういうものなの
サコちゃんも、チノパンを2本も3本も買ってるじゃない
同じことだよ
「なるほど」
チノパン派には、デニムの持つ繊細さは、いくら説明してもわからないだろう。
アネさんや看護師長は、患者さんを送り出して、一息ついて酒宴と行くだろうから、イカの炙りを6ケースと、熊本の地酒と、ツレが選んだワインをお土産にした。
わたしたちは宴席には出られないので、ケーキやエクレアなどの洋菓子と、イオン・トップバリュブランドの、ゼロカロリー・ノンカフェイン・サイダーと2Lのスポーツドリンクを6本入り2箱買って、病棟に戻る道を走り出した。
きょうのツレはトヨタ86だ。
AZ-1より気に入った?
「いや、AZ-1がいい。 だから、時には休ませてやらないとね。 それに86を覚えないとならないし」
と、話している横を、猛スピードで飛ばしていくスカイラインとバイクの連中がいた。
「族の方々か。時代遅れのクラクションに、フラッグ。 相手をしてあげますか」
ツレはbluetoothのヘッドセットをつけ、無線のスイッチを入れて、中央司令室に、交通指導課の出動を要請した。
「本家さんが来るまで、遊んでやる」
ハンドルの中央のボタンを押した。
ダッシュボードの真ん中に、パトランプがせり上がってくる。
今度はボディーの横じゃないの
それに1つなんだ
「アメリカの市警察を真似たみたいだよ。 市警察は自動的にダッシュボードの中からせり上がったりしないけどね。ダッシュボードの物入れの中に入っていて、必要に応じて助手席の警官が取り出して、スイッチを入れてダッシュボードのど真ん中に置くんだ。 『リーサル・ウェポン』って映画シリーズには必ずそういうシーンがある。 メル・ギブソンがハンドルを握って、相方のダニエル・グローバーがパトランプをセットするんだ。 自動で出てくるというと、『ヤッターマン』を思い出す。 おだてブタ。 ”ブタもおだてりゃ木に登る、ブー”。 あとはお決まりの楽隊。 ”やるー、やるー、やるー。 やられるぞ、きっと”。 最後はおろカブ。 ”あっ、おろカブっ” ってなったら、ドロンボー一味のメカが爆発する。 にしても、小うるさいケツ持ちだな、くそっ」
86の前をフラフラと2台のバイクがわざとスピードを落として走行する。 本隊にパトカーを近づけないようにする役目なのだという。
本隊はどんどん先へ進む。
そこにルーフにパトランプをつけた覆面パトカーが6台突っ込んできた。
「おー、お早いお出ましで。 おやおや、暴走族特捜班だ。 この道を行けば、ぼくらまでが連射カメラに写ってしまう。 道を変更するよ」
連射カメラ?
「暴走族の連中の顔写真を撮って、後日逮捕するのに、電柱の陰に隠れて、ものすごい大きな特注ストロボをつけたカメラで狙ってる役目の班員がいるんだ。 一眼レフのデジカメで、撮影が済むとデカ部屋のパソコンにつないで、拡大したり、ナンバープレートを折り曲げたものの写真を加工して、ナンバーを読んだり。 今は現行犯逮捕はしない。 下手に手を出すと、暴走族に怪我人や死者を出す場合があるから、警察も慎重なんだ。 2、3日後に連中の自宅を張り込んで逮捕するのが決まりなんだよ」
世間に対して、訴えたいことがあるのなら、別の方法があると思うけど
「奴らはただ、面白がってやってるだけだよ。 子供におもちゃを与えたら、夢中になって遊ぶのと一緒」
なるほどね。 知能指数が猿並みってことか。
子供のまま、成長しない、って言ったほうがいいのかな。
差し出したお土産を、アネさんも看護師長も狂喜乱舞。
「今夜は、ぶっ倒れるまでいくよ!」
うそ。
アネさんが酒の席でブッ倒れたことはない。
ベロンベロンになっても、2時間で醒める。
本当に強い酒飲みってこの人たちだよ。
宴席が終わったらWiiのフィットネスゲームで汗を流して、浴場のシャワーで、酒の混じった汗を流したら、完全に素面。
それにしても、デニムが買えてよかったー。
やっと、病棟の入院患者さんをみんな送り出しましたよ。
普通の日なら、今の時間は消灯になってます。
う~ん。 どうなんでしょう。
外泊は2泊3日を限度にするという厚労省の方針。
患者さんのQOLを最も大切にする、というのは賛成なんですけど、この一週間みたいに週末の間に「お盆」という特殊な行事のための一時退院をはさんだケースはちょっと違うんじゃないのかな、なんて思ったりして。
患者さんはみんな、先週の金曜の夕方から、明後日の日曜日までべったり外泊というのがいい、という方がほぼ全員なんですよ。
ほぼ全員というのは、1名だけ、たとえ1日だけでも、病棟に戻ったりしたいと言う患者さんがいるだけなんですけどね。
わたしの担当する、24歳の女性。
デニムにとことんこだわっている彼女。
どうしてかと言えば、病棟に居れば、わたしとデニムの話ができるというんですね。
わたしも、彼女とデニムの話をするときは、医者を放ったらかして、単なるデニム・マニアになるので。
わたし以外に、彼女の周囲にデニムのディープな話ができる人がいないということで。
その気持ちはよくわかりますよ。
わたしも、看護師たちとデニムの話はするけど、突っ込んだ話をすると、途切れてしまうんですよ。
若い看護師たちの私服は全員デニムなんですが、わたしや24歳の彼女のレヴェルまでデニムのマニア度が深くないんですね。
スカートが嫌いだからデニム。
今の看護師の制服はスラックスだから、スカートで出勤すると、下着の上に直接制服のスラックスになるんです。
そうすると、制服が白だから、下着が透けるんですね。 それに制服が細身だから、ラインがくっきり出てしまう。 だから、私服のスラックスを、制服のスラックスの下に着けるんです。 わたしもそうしてます。
特に看護師はハードな動作を強いられますから、動きやすさが先決なんです。
動きやすさで言えば、スポーツウェアがいいんでしょうけど、腰から足にかけてゆるい作りになってますよね。
それだと、制服の下に着けることは無理なんです。 下半身にぴたっとフィットしたスラックスでないと、制服のスラックスが着けられないんです。
で、最後に残るのがデニムなんです。
デニムって、元はと言えば、炭鉱の坑内作業員のユニフォームですから、言ってみれば作業着なので、患者さんを抱いて車椅子に乗せたり、逆にベッドに降ろしたりが日常茶飯事ですから、看護師もまた作業員であるとも言えるんですね。 軽作業じゃなくて重労働ですから。
だから、みんな力は半端じゃないですよ。 わたしのチームの佐橋看護師は、患者さんをベッドごと持ち上げたりするんですよ。 ベッドの下に掃除機をかけるために、紺野看護師が掃除機をかけている間、ずっと持ち上げてるんです。 掃除機をかけ終えたら降ろして、すぐ、隣のベッドを持ち上げて。
ゴミの処理をしたり、浴場を洗ったり、掃除をするスタッフは、各病棟に2人ずつ配置されているんですが、仕事が多いために、手が回らないので、各医師と看護師のチームが持ち回りで掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりするんです。
佐橋看護師と同じことができるのは、ウチのツレだけですよ。 彼は高校生時代に、CoCo壱番屋のカレールーを下請けで作る工場で、夜中から明け方までバイトをしていて、60kg入りのカレーパウダーやスパイスを、一度に3袋、つまり180kg肩に乗せたり、ひじをL字に曲げて、フォークリフトの爪の形にして、倉庫から工場まで走って何十回も往復するようなことをやっていたから、力はあるんです。 体重は今でこそ40kg台ですが、以前は120kgでしたからね。 40kg台になっても力は落ちてなくて、患者さんの寝転がったベッドを難なく持ち上げるんです。
佐橋看護師と二人でオリンピックの重量上げの日本代表に入れたら、一番綺麗な色のメダルを獲得できるんじゃないかと、病棟スタッフで話してますよ。
24歳の患者さん、お迎えが来るのが午後8時過ぎだということで、夕食を終えたら私服に着替えて面会棟で、待ってたんで、わたしはそれまでに担当患者さんの診察を終えて、彼女とデニムの話をしてたんですが、彼女のデニムが素晴らしいというか、はっきり言ってわたしの理想のデニムだったんですよ。 ストーンウォッシュの入り方といい、全体的なシェイプといいタグといい。 わーっ言い値で買うから譲って、って言いたくてね。
どこで買ったの?
「お盆に家族でイオンモール旭川西へ買い物に行って、デニムを買うのは予定に入ってなくて、タワーレコードで東方神起のCDと、平原綾香さんの「マイ・クラシックス3」を買って、2Fのデザート王国で、クレープと季節のソフトクリームを食べようと思って、奥のエスカレーターに乗ろうとして、後ろにいた家族を振り向きざまに、このデニムが光って見えて、そのままクレープを食べたんですけど、クレープの後の季節のソフトクリームを舐めてたら、わたしを呼ぶ声が聞こえるんですよ。 でも、誰も喋らないで、ソフトクリームに夢中で。 でも頭の中で次第に声が大きくなって、目の前に、光っていたデニムがはっきりと見えて、ぼくが呼んだんだ、って。 ああ、そうか、相思相愛だったんだ、と思って、3Fに戻って、さっそく試着したんです。 デニムって、フィットする1本に出会うためには、70も80も試着しないとならないじゃないですか。 このデニムは、試着したら1本目で、これまでにないほどジャスト・フィットしたんですよ。 わたしのためにあるんじゃないか、って思って、衝動買いしちゃいました」
それ1本きりだった?
「他にも、けっこういいなーと思うのがありましたよ。 あのショップって不思議で、毎回、5本以内の試着でフィットするんですよね」
ショップは、ツレの高校時代のテニスのミックス・ダブルスの相方が店長をしている、わたしがクレジット・カードを作ったショップだった。
イオンは23:00閉店だ。
明日じゃ遅い、病棟のすべての病室が空になったら、ツレにソフトクリームをおごるから、とでも言って、今夜のうちに手に入れよう。
絶対にわたしを待ってるデニムがあるはずだ。
行ってきました。
3本ジャスト・フィットしたので、全部お買い上げです。
「同じデニムを3本も買って、どうするの。 デニムってそういうものなの?」
そういうものなの
サコちゃんも、チノパンを2本も3本も買ってるじゃない
同じことだよ
「なるほど」
チノパン派には、デニムの持つ繊細さは、いくら説明してもわからないだろう。
アネさんや看護師長は、患者さんを送り出して、一息ついて酒宴と行くだろうから、イカの炙りを6ケースと、熊本の地酒と、ツレが選んだワインをお土産にした。
わたしたちは宴席には出られないので、ケーキやエクレアなどの洋菓子と、イオン・トップバリュブランドの、ゼロカロリー・ノンカフェイン・サイダーと2Lのスポーツドリンクを6本入り2箱買って、病棟に戻る道を走り出した。
きょうのツレはトヨタ86だ。
AZ-1より気に入った?
「いや、AZ-1がいい。 だから、時には休ませてやらないとね。 それに86を覚えないとならないし」
と、話している横を、猛スピードで飛ばしていくスカイラインとバイクの連中がいた。
「族の方々か。時代遅れのクラクションに、フラッグ。 相手をしてあげますか」
ツレはbluetoothのヘッドセットをつけ、無線のスイッチを入れて、中央司令室に、交通指導課の出動を要請した。
「本家さんが来るまで、遊んでやる」
ハンドルの中央のボタンを押した。
ダッシュボードの真ん中に、パトランプがせり上がってくる。
今度はボディーの横じゃないの
それに1つなんだ
「アメリカの市警察を真似たみたいだよ。 市警察は自動的にダッシュボードの中からせり上がったりしないけどね。ダッシュボードの物入れの中に入っていて、必要に応じて助手席の警官が取り出して、スイッチを入れてダッシュボードのど真ん中に置くんだ。 『リーサル・ウェポン』って映画シリーズには必ずそういうシーンがある。 メル・ギブソンがハンドルを握って、相方のダニエル・グローバーがパトランプをセットするんだ。 自動で出てくるというと、『ヤッターマン』を思い出す。 おだてブタ。 ”ブタもおだてりゃ木に登る、ブー”。 あとはお決まりの楽隊。 ”やるー、やるー、やるー。 やられるぞ、きっと”。 最後はおろカブ。 ”あっ、おろカブっ” ってなったら、ドロンボー一味のメカが爆発する。 にしても、小うるさいケツ持ちだな、くそっ」
86の前をフラフラと2台のバイクがわざとスピードを落として走行する。 本隊にパトカーを近づけないようにする役目なのだという。
本隊はどんどん先へ進む。
そこにルーフにパトランプをつけた覆面パトカーが6台突っ込んできた。
「おー、お早いお出ましで。 おやおや、暴走族特捜班だ。 この道を行けば、ぼくらまでが連射カメラに写ってしまう。 道を変更するよ」
連射カメラ?
「暴走族の連中の顔写真を撮って、後日逮捕するのに、電柱の陰に隠れて、ものすごい大きな特注ストロボをつけたカメラで狙ってる役目の班員がいるんだ。 一眼レフのデジカメで、撮影が済むとデカ部屋のパソコンにつないで、拡大したり、ナンバープレートを折り曲げたものの写真を加工して、ナンバーを読んだり。 今は現行犯逮捕はしない。 下手に手を出すと、暴走族に怪我人や死者を出す場合があるから、警察も慎重なんだ。 2、3日後に連中の自宅を張り込んで逮捕するのが決まりなんだよ」
世間に対して、訴えたいことがあるのなら、別の方法があると思うけど
「奴らはただ、面白がってやってるだけだよ。 子供におもちゃを与えたら、夢中になって遊ぶのと一緒」
なるほどね。 知能指数が猿並みってことか。
子供のまま、成長しない、って言ったほうがいいのかな。
差し出したお土産を、アネさんも看護師長も狂喜乱舞。
「今夜は、ぶっ倒れるまでいくよ!」
うそ。
アネさんが酒の席でブッ倒れたことはない。
ベロンベロンになっても、2時間で醒める。
本当に強い酒飲みってこの人たちだよ。
宴席が終わったらWiiのフィットネスゲームで汗を流して、浴場のシャワーで、酒の混じった汗を流したら、完全に素面。
それにしても、デニムが買えてよかったー。