GW1日目は、午前中のプラスティックモデル作りから始まった。
イギリスが誇る超豪華客船「クイーンエリザベスⅡ世号」。
作り始めてからもうどのくらい経つのか憶えていないほど、以前から手がけて、いまだ完成していない。
完成すると1mを超えるだけにパーツが細かく精密に仕上がるように多い。
完成したら素晴らしいだろうね。
本物を寸分違わずぎゅっと縮めた感じかな。
完成したら、スタッフ・ステーションに飾ってもらおうと思ってる。
癒しになるんじゃないかと思ってね。
乗ってる自分を想像したら、別世界へトリップすることができるし、乗れるように頑張るという力をくれるんじゃないかなと思ったから。
世界一周でいくらくらいの費用がかかるのかはわからないけど、世界一高いということはわかる。
ものすごく細かいんだよね、パーツの一つ一つが。
だから長時間は集中力を欠くために、作業が出来ない。
ピンセットでつまんだパーツをうっかり落としたら二度と見つからない。
現在販売されているものであればメーカーに発注してパーツを買うことができるけど、これは彼が三十数年前に買って、作らずにおいてあったものだから、メーカーにもパーツは既にない。
でも、よくこれだけ細かいパーツをきちんと整形したよね。ちょっと力を加えたら粉々になるようなものばかり。
プラスティックモデルって、パーツを作るには金型が必要で、金型の上下だったり、左右だったりを正確に合わせて、熱して溶けたプラスティックを注入して冷やして取り出すんだけど、この金型技術が完製品を左右する。この金型はメーカーから設計図を託された下町の零細企業、いわゆる町工場が制作するんだけど、日本のものが世界一なんだよね。
こんなプラスティックモデルの金型から、パソコンや携帯電話などの情報家電に至るまで、精密技術分野では日本に叶う国はない。
そんな技術の産物を悪戯に使ってしまうアホもいるけどね。
JAXA職員時代、対外協力室で地蜂、つまりヒメスズメバチという最悪のハチを放した。
それで対外協力室は大騒ぎ。
刺されたら30分以内に毒を完全に体から抜くしか治療法はない。
10分以内に毒は体中に回るから、全身の血液と骨髄液を交換する必要があるんだけど、そんなことは絶対に出来ない。
刺されたら死ぬ。毒とショックで。
だから大騒ぎになったんだけど、タイミング良く叩き潰したら、中はメカだった。
彼のお得意のマイクロマシーン。
イオンエンジン・オペレーターという仕事はモニターを常に睨みつけているだけだからストレスがたまる。だから発散するためにやった。
普通ならきつく叱られるけど、科学者の集まりだからね。
対外協力室長というのはマスコミ相手の広報部長だけど、東大の宇宙工学博士だから、みんなで寄り集まって、潰したハチの研究。
彼の技術を賞賛したっていうんだから・・・・・・。
午後からはDVDを観た。
気になっていたけど観ると言えないタイトルがあって、思い切って彼に訊いた。
この『恐怖劇場アンバランス』って相当怖い?
「1話ずつが独立している形式のオムニバスだから、いろんな怖さがあるよ。貞子的な直接視覚からくる怖さ。心理的な怖さ、狂気的な怖さ。
その作品は曰くがあって、昭和43年に円谷プロとフジテレビが制作したんだけど、フジテレビの上層部が試写で、視聴者からのクレームやパニックを恐れて、放映を見送らせた。昭和48年になって、ほとんどの家庭がテレビを消してしまう真夜中、午後11時過ぎに13本だけそっと放映した。
「アンバランス」って『ウルトラQ』の製作時のタイトルだから、名誉のある名前なんだけどね。
比較的怖くないエピソードを選ぼうか?」
うーん、そのうちにね
それと『緯度0大作戦』って意味がわからないんだけど
緯度0というのは地図上の点であって場所じゃないよね
点がどうだというの?
「それは言えないな。でも、日米合作映画で、日本側は東宝特撮。ストーリーがアメリカのラジオドラマをベースにして書かれたものなんだ。ビデオ化DVD化の声が高かったんだけど、アメリカ側のプロダクションが倒産していて、版権がどこに移ったのかわからないから映像使用ができなくて、数年前にやっと、プロダクションの社長を見つけて、版権のあるところがわかって、東宝が買い取って、DVD発売になった。国内版と海外版の二種類があって、海外版のほうが上映時間が長いんだ。国内版にも初公開版と、1時間に短縮された再公開版がある」
『ノストラダムスの大予言』って、あのノストラダムスだよね
なんの根拠もない1999年地球滅亡説の
今になったら、実は1999年じゃなかったんだ、とかいう人たちが出てきて、未だに本が出版されて、それを盲目的に信じている人々がいるという
それを教義にした偽の新興宗教もたくさんあるよね
宗教法人って審査が甘いのか
「ないんだよ。所定の書類に記入して提出すれば法人格をくれるからね」
お役所仕事ね
これは、あの1999大予言を視覚化したんでしょ
「そう。でも、内容がどぎついために制作の東宝が自主規制をしてDVD化をしていない。それは、東宝映画会長で特撮映画と黒澤映画のプロデューサーだった田中友幸さんが特別にスタッフに配るのに作った非売品のDVDをぼくにもくれたんだ。ネット・オークションで、1度だけテレビ放送されたものを家庭用のビデオで録画してあったんだろうけど、パソコンに取り込んで、DVD化して出品するのが流行ってね。ひどく荒れた画像のものにものすごい高値がつくんだ。でも、それは著作権侵害で犯罪だから、主催者もとりしまりを厳しくして、現在は出品できなくなった」
ネットってけっこうアブナいのが出てるからね
きょうはこの『緯度0大作戦』がいいな
まず国内初公開版
次に海外版
「イオンは?」
明日か、夕方遅くから出かけよう
明日は弦楽カルテットのミニコンサートがあるから、聴きたいんだよね、イベント・スペースで
「じゃあ明日もきょうもでもいいし、明日にしてもいい。早くカードの申し込みがしたいんじゃないかと思ってね」
わたし、そんなに子供じゃないから
「はいはい」
レコーダーに入れます。
地図上の緯度0という点の深海にはなぜか地上があって、地上よりもはるかに進んだ科学力を平和利用したユートピアになっていた。
世界の頭脳と言われる科学者たちが、自分の研究を、為政者たちに利用されることなくどこまでも追求できる環境に惹かれて集まっていた。
そこへ深海探査艇の事故でやってきた日・仏の科学者と米のジャーナリストがいろいろな体験をし、緯度0を崩壊させようとする、別の深海の地上に住む悪の科学者の万能戦艦黒鮫号と、緯度0の誇るマッケンジー艦長のスーパー万能戦艦α号の戦いに巻き込まれていく。
戦いを終え、科学者二人は緯度0に残ることを希望し、ジャーナリストは記事にしたいから地上へ戻るという。
お土産に、鉢植えの土の代わりにされていたダイヤモンドを袋に詰まるだけ詰めて持っていき証拠にしたいと願い出たジャーナリストに、マッケンジー艦長は「お好きなだけどうぞ」と笑う。
α号で海面まで送ってもらい、救命ボートで漂流していたジャーナリストはアメリカの軍艦に拾われ、何度も緯度0の話をするが信じてもらえない。
艦長が面会に来た。
なんとマッケンジー艦長(のそっくりさん)ではないか。
混乱するジャーナリスト。
艦長に連絡にやってきた副長の顔を見てまたびっくり。
悪の科学者マリク(のそっくりさん)。
副長は言った。
「ただいま緯度0を通過。計器を調整しました」
緯度0の存在を証明するものとしてダイヤの袋をぶちまけると、すべて砂になっていた。
最後の手段で、自分で公表するために撮影した緯度0のフィルムを現像してくれと差し出すが、何も写ってはいなかった。
探査艇の事故で記憶がおかしくなったのか。
いや体験は現実だった。
ジャーナリストの混乱と、軍艦の艦長と副長の顔を写して「終」。
日米合作というと、どうしても超大作のイメージがあるんだけど、全然ちがって、イギリスのB級映画会社の作品みたいな感じで、構えなくても観ることのできる作品。
わたしは超大作のような鳴り物入りの大資本作品よりも、こういうのが好きだな。
夢が詰まっていて、観てる間だけ自分も別世界にいける。
円谷英二特技監督の劇場用作品最後の仕事だけど、クオリティーは全く落ちてない。
素晴らしい。
昭和45年1月25日 円谷英二特技監督の他界によって、日本映画の世界的評価は急落し、黒澤明監督の他界によって地に落ちた。
異能のクリエイターは現在の邦画界には、たった一人しかいない。
北野武監督。
あれだけの評価を受けながら、コメディアンとしての自分を捨てようとしない。
両立できる才能があるからだよね。
彼はもっとたくさんの顔を持っているけど、すべてをきちんとこなす。
この二人がわたしの知っている異能の存在。
きょうもボケまくりだよ。
イギリスが誇る超豪華客船「クイーンエリザベスⅡ世号」。
作り始めてからもうどのくらい経つのか憶えていないほど、以前から手がけて、いまだ完成していない。
完成すると1mを超えるだけにパーツが細かく精密に仕上がるように多い。
完成したら素晴らしいだろうね。
本物を寸分違わずぎゅっと縮めた感じかな。
完成したら、スタッフ・ステーションに飾ってもらおうと思ってる。
癒しになるんじゃないかと思ってね。
乗ってる自分を想像したら、別世界へトリップすることができるし、乗れるように頑張るという力をくれるんじゃないかなと思ったから。
世界一周でいくらくらいの費用がかかるのかはわからないけど、世界一高いということはわかる。
ものすごく細かいんだよね、パーツの一つ一つが。
だから長時間は集中力を欠くために、作業が出来ない。
ピンセットでつまんだパーツをうっかり落としたら二度と見つからない。
現在販売されているものであればメーカーに発注してパーツを買うことができるけど、これは彼が三十数年前に買って、作らずにおいてあったものだから、メーカーにもパーツは既にない。
でも、よくこれだけ細かいパーツをきちんと整形したよね。ちょっと力を加えたら粉々になるようなものばかり。
プラスティックモデルって、パーツを作るには金型が必要で、金型の上下だったり、左右だったりを正確に合わせて、熱して溶けたプラスティックを注入して冷やして取り出すんだけど、この金型技術が完製品を左右する。この金型はメーカーから設計図を託された下町の零細企業、いわゆる町工場が制作するんだけど、日本のものが世界一なんだよね。
こんなプラスティックモデルの金型から、パソコンや携帯電話などの情報家電に至るまで、精密技術分野では日本に叶う国はない。
そんな技術の産物を悪戯に使ってしまうアホもいるけどね。
JAXA職員時代、対外協力室で地蜂、つまりヒメスズメバチという最悪のハチを放した。
それで対外協力室は大騒ぎ。
刺されたら30分以内に毒を完全に体から抜くしか治療法はない。
10分以内に毒は体中に回るから、全身の血液と骨髄液を交換する必要があるんだけど、そんなことは絶対に出来ない。
刺されたら死ぬ。毒とショックで。
だから大騒ぎになったんだけど、タイミング良く叩き潰したら、中はメカだった。
彼のお得意のマイクロマシーン。
イオンエンジン・オペレーターという仕事はモニターを常に睨みつけているだけだからストレスがたまる。だから発散するためにやった。
普通ならきつく叱られるけど、科学者の集まりだからね。
対外協力室長というのはマスコミ相手の広報部長だけど、東大の宇宙工学博士だから、みんなで寄り集まって、潰したハチの研究。
彼の技術を賞賛したっていうんだから・・・・・・。
午後からはDVDを観た。
気になっていたけど観ると言えないタイトルがあって、思い切って彼に訊いた。
この『恐怖劇場アンバランス』って相当怖い?
「1話ずつが独立している形式のオムニバスだから、いろんな怖さがあるよ。貞子的な直接視覚からくる怖さ。心理的な怖さ、狂気的な怖さ。
その作品は曰くがあって、昭和43年に円谷プロとフジテレビが制作したんだけど、フジテレビの上層部が試写で、視聴者からのクレームやパニックを恐れて、放映を見送らせた。昭和48年になって、ほとんどの家庭がテレビを消してしまう真夜中、午後11時過ぎに13本だけそっと放映した。
「アンバランス」って『ウルトラQ』の製作時のタイトルだから、名誉のある名前なんだけどね。
比較的怖くないエピソードを選ぼうか?」
うーん、そのうちにね
それと『緯度0大作戦』って意味がわからないんだけど
緯度0というのは地図上の点であって場所じゃないよね
点がどうだというの?
「それは言えないな。でも、日米合作映画で、日本側は東宝特撮。ストーリーがアメリカのラジオドラマをベースにして書かれたものなんだ。ビデオ化DVD化の声が高かったんだけど、アメリカ側のプロダクションが倒産していて、版権がどこに移ったのかわからないから映像使用ができなくて、数年前にやっと、プロダクションの社長を見つけて、版権のあるところがわかって、東宝が買い取って、DVD発売になった。国内版と海外版の二種類があって、海外版のほうが上映時間が長いんだ。国内版にも初公開版と、1時間に短縮された再公開版がある」
『ノストラダムスの大予言』って、あのノストラダムスだよね
なんの根拠もない1999年地球滅亡説の
今になったら、実は1999年じゃなかったんだ、とかいう人たちが出てきて、未だに本が出版されて、それを盲目的に信じている人々がいるという
それを教義にした偽の新興宗教もたくさんあるよね
宗教法人って審査が甘いのか
「ないんだよ。所定の書類に記入して提出すれば法人格をくれるからね」
お役所仕事ね
これは、あの1999大予言を視覚化したんでしょ
「そう。でも、内容がどぎついために制作の東宝が自主規制をしてDVD化をしていない。それは、東宝映画会長で特撮映画と黒澤映画のプロデューサーだった田中友幸さんが特別にスタッフに配るのに作った非売品のDVDをぼくにもくれたんだ。ネット・オークションで、1度だけテレビ放送されたものを家庭用のビデオで録画してあったんだろうけど、パソコンに取り込んで、DVD化して出品するのが流行ってね。ひどく荒れた画像のものにものすごい高値がつくんだ。でも、それは著作権侵害で犯罪だから、主催者もとりしまりを厳しくして、現在は出品できなくなった」
ネットってけっこうアブナいのが出てるからね
きょうはこの『緯度0大作戦』がいいな
まず国内初公開版
次に海外版
「イオンは?」
明日か、夕方遅くから出かけよう
明日は弦楽カルテットのミニコンサートがあるから、聴きたいんだよね、イベント・スペースで
「じゃあ明日もきょうもでもいいし、明日にしてもいい。早くカードの申し込みがしたいんじゃないかと思ってね」
わたし、そんなに子供じゃないから
「はいはい」
レコーダーに入れます。
地図上の緯度0という点の深海にはなぜか地上があって、地上よりもはるかに進んだ科学力を平和利用したユートピアになっていた。
世界の頭脳と言われる科学者たちが、自分の研究を、為政者たちに利用されることなくどこまでも追求できる環境に惹かれて集まっていた。
そこへ深海探査艇の事故でやってきた日・仏の科学者と米のジャーナリストがいろいろな体験をし、緯度0を崩壊させようとする、別の深海の地上に住む悪の科学者の万能戦艦黒鮫号と、緯度0の誇るマッケンジー艦長のスーパー万能戦艦α号の戦いに巻き込まれていく。
戦いを終え、科学者二人は緯度0に残ることを希望し、ジャーナリストは記事にしたいから地上へ戻るという。
お土産に、鉢植えの土の代わりにされていたダイヤモンドを袋に詰まるだけ詰めて持っていき証拠にしたいと願い出たジャーナリストに、マッケンジー艦長は「お好きなだけどうぞ」と笑う。
α号で海面まで送ってもらい、救命ボートで漂流していたジャーナリストはアメリカの軍艦に拾われ、何度も緯度0の話をするが信じてもらえない。
艦長が面会に来た。
なんとマッケンジー艦長(のそっくりさん)ではないか。
混乱するジャーナリスト。
艦長に連絡にやってきた副長の顔を見てまたびっくり。
悪の科学者マリク(のそっくりさん)。
副長は言った。
「ただいま緯度0を通過。計器を調整しました」
緯度0の存在を証明するものとしてダイヤの袋をぶちまけると、すべて砂になっていた。
最後の手段で、自分で公表するために撮影した緯度0のフィルムを現像してくれと差し出すが、何も写ってはいなかった。
探査艇の事故で記憶がおかしくなったのか。
いや体験は現実だった。
ジャーナリストの混乱と、軍艦の艦長と副長の顔を写して「終」。
日米合作というと、どうしても超大作のイメージがあるんだけど、全然ちがって、イギリスのB級映画会社の作品みたいな感じで、構えなくても観ることのできる作品。
わたしは超大作のような鳴り物入りの大資本作品よりも、こういうのが好きだな。
夢が詰まっていて、観てる間だけ自分も別世界にいける。
円谷英二特技監督の劇場用作品最後の仕事だけど、クオリティーは全く落ちてない。
素晴らしい。
昭和45年1月25日 円谷英二特技監督の他界によって、日本映画の世界的評価は急落し、黒澤明監督の他界によって地に落ちた。
異能のクリエイターは現在の邦画界には、たった一人しかいない。
北野武監督。
あれだけの評価を受けながら、コメディアンとしての自分を捨てようとしない。
両立できる才能があるからだよね。
彼はもっとたくさんの顔を持っているけど、すべてをきちんとこなす。
この二人がわたしの知っている異能の存在。
きょうもボケまくりだよ。