今朝になって、オペ室に空きができたから使っていいと言われた。
 ちょうど、オペを急がないと大変なことになる患者さんがいたから、オペに踏み切ることになった。
 執刀医は彼しかいない。
 原発不明癌の患者さんでほとんどの臓器に腫瘍が広がっている。
 運がいいことにスペシャリストあいてくれた。
 きっと神がイエスを経由して、スペシャリストをこの病棟に降臨させてくれたのだろう。
  午後3時30分にはご家族が集まるから、彼はまずご家族に対してオペの説明をして、同意を得てからオペとなる。

 患者さんの奥さんだけは午前中から患者さんに付き添っている。
 担当医でもないわたしがよけいなことを、奥さんに訊いてしまった。
 オペ、心配じゃないですか?
 奥さんと患者さんは顔を見合わせて笑った。
 「この病室の患者さんたちに伺いました。何でも執刀してくれるのはウチの人のような癌のオペを得意とする先生なんだって。そんな先生がオペをしてくれるなら何の新派愛もありませんよ。術後も2週間くらいで退院になるから、そろそろ着替えやら、もう必要ない物を分別して少しずつ運び出したらいいって教えていただきましたよ」

 夫を褒められるって、なんか穴があれば入りたい気分だけど、新館で穴はない。
 他の患者さんの診察をそこそこに逃げた。

 今回もまた原発、つまり根源になる腫瘍がCTに写らない。
 でも前回は同じ状態で、開いたら膵臓というCTには絶対に写らない臓器に巨大な腫瘍があったから、今回もその可能性が高いと、彼は読んでいる。とにかく膵臓の周囲を重点的に探すことにした。

 スタッフはいつものメンバー。
 麻酔科長は朝からはりきってテンションMAX。
 また電話帳で殴り合いでもしたんだろうね。
 「ぼくの勉強のために彼のオペにつくんだ。得る物が毎回大きいから」
 部下の方たちの勉強はいいんですか?
 「あー奴らには十年早いよ。奴らの頭時や理解できないからね」

 力強いスタッフに恵まれて、サコちゃんは幸せだぞ、おい。

 あ、準備の時間だ。
 オペ室で再会しようね、サコちゃん!