とうとう、きょうの午前の巡回で、わたしの担当患者さん全員がいろんな話を、自分からわたしにしてくれるようになりました。
他愛もない世間話だと斬って捨てればそれまでだけどね。
そうじゃないんだよ。
医師としての最高の喜びなんだよ。
入院患者さんと医師との関係は、外来よりも長い。
特にこの病院は、”長期療養型病床”といって、長い期間入院が認められるタイプに属するから。
今は、普通の入院ならば1ヶ月間が限度なの。
もし、その間に治療が終って、病気が完治していなくとも一旦は退院して、一週間程度の間を空けてから再入院という形をとらなければならない。
病床の回転率をあげるために、厚生労働省が決めたことなんだよ。
きのうからハッピー続きで、夢でも見てるようにしか思えないんだけど、ツレはきょうもボケてるし、アネさんは、わたしたちがニューヨークでもらってきたDVD-BOXに夢中で、ぶつぶつ言いながら虜になってる。
夢中さが半端じゃない。
オペの映像には、
「おいおい、そうかー。こんなところから切開すれば、患者さんのダメージは少ないんだよなー」
とか、見慣れない抗癌剤が出てくると、日本で厚生新薬の認可が降りているかどうかを、病棟の薬剤師に調べさせたり。
無認可だとものすごく苦やしがったり、この薬の特徴とか副作用、使える患者さんの全身状態まで、ツレに質問して、ノートに書き取る。
ティファニー本店で、アネさんにもおみやげを買ったんだよ。
若い看護師たちより、アネさんと看護師長と副師長にはランクが上のバッグをね。
でも、アネさんにはこのDVD-BOXが最高のお土産だったみたい。
とにかく、アメリカの最新の肺癌対処療法なんかが完全に網羅されてるから、アネさんみたいに常に先を考える医師にとっては宝物なんだろうね。
そんなアネさんが、DVDを停止して、TVに切り替えた。
参院本会議、東日本大震災集中審議の生中継。
ツレも巡回を済ませて戻ってきて、夢中になってた。
きょうは終始、大震災、特に東京電力の社長を招致して、福島原発事故についての質疑応答。
きのうみたいに山岡消費者担当大臣のスキャンダルや蓮肪さんのスキャンダルに話をそらしたりはしなかった。
でも、歯がゆいんだよね。
今の内閣のやり方って。
質問をはぐらかしてみたり、あやふやな答弁に終始したり。
同じ質問を二度繰り返すと、答えが違う。
どっちが本当なのか、はっきり教えて、って思わず声を上げてしまう。
ツレとアネさんは、政治が好きだから、次第にヒートアップして野次をとばしだすし。
中でも、震災経済計画担当大臣?とかいう肩書きがついた、元官房長官。あの、私服はユニクロです、ってわたしからユニクロを奪った、メタボ男。
わたしは、せっかくのユニクロを焼却炉に全部入れたんだよ。
あんな男と同じものを着てるなんて気持ち悪くて。
わたしは、あいつが嫌い。
どうしてって、生理的に受け付けないの。
きょうだって、壊れたipodみたいに「だから」を繰り返すだけ。
放射線を浴びた量を計測するための本格的装置の導入を行っているんだけど、まずは東京電力の関係者だけを優先して、一般の被災者にはなんの音沙汰もなし。
ふざけた話でしょう。
被災者は死んでしまえ、ってこと?。
おまえたちが歳費(給与)の二重取りを平気でおこなっていられるのも、被災者の納めた税金があるからだろうって話だよ。
そもそも歳費の二重取り自体が犯罪。
でも、議員には不逮捕特権があって、どんな犯罪を行っても逮捕されることはない。
サラリーマンが給与を二重取りなんかしたら、会社はクビになって、告訴され、即刻刑務所行きでしょ。
詐欺には執行猶予がないから。
地検特捜部もストレスが溜まりきってるね、ってツレが笑ってたけど、ストレスを過剰に貯めると、身体状態になって癌の発生率が高くなるよ。
ツレは、山岡消費者担当大臣が顧問を勤める、ネット・ビジネスという名目のマルチ商法が、ツレの管轄にまで広がってくるのを待ってる。
警視庁の特殊捜査二課第四班と連携して、一気にそのマルチの会社を叩き潰す。もちろん公安調査庁とタッグを組んでね。
きのうも、帰り道で犯罪を見かけた。
自転車車線にはみだして信号待ちをする車。
信号が変わったら、そのまま車線にタイヤを入れたまま走ってた。
ツレに、あれは違反だから逮捕しなさいよ、って言ったけど、無線で交通課自ら隊が追いつくのを待って、ただ後ろに張り付いていただけ。
ツレの車は警察用特殊車両で、ボディーの後部タイヤ上に、パトランプが内蔵されていて、普段は見えないんだけど、シフトレバー後方に蓋がついていて、それを開くと、マーカー(コンビニ強盗に投げつけるカラーボールみたいなもの)発射装置とか、ナンバープレート転換とか、タイヤをパンクさせるための針の射出装備とともに、パトランプのスイッチがあって、トグル・スイッチって言うみたいだけどバットみたいなのが突き出ていて、それを指ではじくと、ボディー後部の一部が回転して、パトランプが出てくる仕掛けがある。
だから、それらの特殊装備を使え、って。
「最近は、ウチの課の出番がなくて、まいったよー」なんてこぼすのに、今がそのときだろうって。
これはダメ、ってパトランプさえ出さない。
「もし、追跡してる車のドライバーがパトランプの電子音にビビって車を路肩に寄せて停車したら、ぼくが職質をかけて、道交法違反を説明するでしょ。それで、相手が素直に非を認めたら免許の点数を差し引く手続きを取らなければならない。そうすると、交通課が怒鳴り込んでくるから。”おう、兄ちゃん、ええ度胸しとるやんけ。人のシマ荒らしてくれてご苦労なこっちゃ。さあ、わかってるのう。誠意をみせいや。それともやるっちゅうんなら相手になったるどー、ワレ”って、短(たん)ドスとまな板持って。
交通課は人数が半端じゃないから、全員で押しかけられたら、SATもどうすることもできないんだよ。だから通報だけして、おとなしく交通課に引き渡すの」
河内弁で殴りこんでくるんだ
「そうだよ」
なんか、やくざ屋さんだよね
組織暴力対策班だったらやりそうだけど、交通課もなんだ
わたし、交通課って、ミニパトのかわいいお姉ちゃん、ってイメージがあるけど
「それはドラマの妄想。合コンを申し込んで一蹴されたことも数え切れないよ」
交通課も警察官だよね
なんかやくざ屋さんみたいだけど
「どっちがやくざ屋さんかわかんないよ、現実は」
それで、おとなしく自ら隊のパンダパトカーに獲物を渡した。
無線で、日を改めてお礼にうかがいます、って言われてんの。
情けないったら、あーりゃしない。
いきなり、アネさんとツレが総理に向かってわたしには言えないような言葉で野次り始めた。
あの総理、ツレには相撲部屋の親方に見えるらしいけど、言われて見れば見える。
だったら、答弁に立つときに塩をまくとか、行事さんが質問者と回答者を仕切って名前を読み上げて、見事な答えだったら回答者に、回答者がはぐらかしたときには質問者に軍配をあげたりしたら、もっとNHKも視聴率が取れると思うけどね。
相撲界も政治も、同じくらい汚れきってるでしょ。
国会中継が終ったら相撲の時間なんだから、国会から前哨戦を始めたら面白いと思うよ。
アネさんが言った、
「あのバカ内閣には野党も歯が立たないのか・・・・・・月よりの使者しかいないんじゃないのか、な、ハンチョウ」
「月よりの使者は憎むな・殺すな・赦しましょう、ですからね。憎みたいし絶対に赦せないでしょう」
「当たり前だ。国民の血税を吸い上げてるんだ。このバカどもを赦せるか。徹底的に叩きのめせ」
「ナショナル・キッドはパナソニック・キッドですから、語呂がいまいちだし・・・・・・」
「いっそ、ゴジラをたたき起こして議事堂ごとグシャっといくか。気持ちがいいぞ」
「議事堂は歴史的建物ですからね。それにゴジラに破壊させたら、もう怪獣映画が作れなくなる。スカイツリーを倒しても受けないけど、議事堂を潰せば観客から拍手喝さいが沸きます」
「打つ手なし、か」
「ここはどうでしょう、ささりんどうに斬り倒してもらって」
「おお、豹(ジャガー)の眼日本編の、あのささりんどうか。それは心強い」
なんかすっかりヲタク的会話なんですけど、ささりんどうって何?
豆はさやえんどうだよね。
何なの?。
ヒーローだってことはなんとなくわかる。
でも、何者?
どこよりの使者?
そんなこんなで、平和な一日でした。
今、YMOをipod4で聴きながら記事を書いています。
なかなかユニークな曲もあるし、ヘビーなテーマもあってますます惹かれそう。
オリジナルアルバムのCDも集めてみようかな。
これから杉田二郎さんの曲も流れてくるでしょう。
「さよならジュピター」の他に、いい曲があったよ。
「ANK(息子よ)」
フィリピンの大ヒット曲の日本語カヴァーって、ライナーにあるけど、感動した。
怪我に耐え、よくがんばった。おめでとう!って、違う、って。
でも息子さんの進二郎さん、ツレの後輩なんだよ。
コロンビア大学の。
今は自民党を代表する若手に成長したけどね。
「ANK」の詞が泣かせるね。
息子よ おまえが生まれたとき、父さん母さんたちは、どんなに喜んだことだろう、って。
わたしも、生まれたときには変なおじさんが喜んでくれたのかな、って考えるとね。
で、その息子は親に反目するようになって、でも、親はおまえを見捨てたりしない、って。
わたしも、大学時代までは言いなりで、それから反目を始めたけどね。
ツレが原因で。
ツレもものすごく厳しく躾けられて育ったけど、自分の力で呪縛から逃げて、お母さんはそれを引き戻さなかった。
お母さんが入院していたときに言ってたの、
「もう、子供じゃないんだから、好きに生きて、社会に殺されるなり、うまく立ち回って生きながらえるなりすればいい。わたしの教えることはもう、何もない。あとは自分の身体で覚えなさいって、思ってるの。身体で覚えたことは絶対に死ぬまで忘れないでしょう」
それを聴いたら、なんか恥ずかしくなってね。
わたしは親という呪縛の中でらくらくと生きている。妹はそれを断ち切って自由を手にしたけど、見たこともない世界では生きていけないのに、なんてバカなんだろう、ってそれまでは考えてた。
でも、ツレを見てると、お母さんが亡くなる日付けまで予想していて、それでも一人で生きてる。
いざ、亡くなっても涙も見せなければ、泣いてる看護師を怒鳴りつけて、わたしにも蘇生はやめてほしい。はやく次の患者さんにベッドが空いたことを連絡して、って涼しい顔で言うんだよね。
完全に独立してる感じがして、神戸で惹かれて、その倍以上惹きつけられた。
彼がうらやましかった。
だから、わたしも親から独立しようとして、冷たく当たったりした。
でも、本当の独立って、反目することじゃないんだ。
わたしは今でも、「ありがとう」「ごめんね」なんて親に言えない。
でも彼は歌にしてお母さんに歌いかけている、「・・・ありがとう・・・」って。
「ささりんどう」、わかったよ。
ツレに聴いた。
月光仮面が、67・8%の視聴率を取って、お茶の間に定着した頃、ごっこ遊びで高いところから飛び降りたりした子供が複雑骨折をしたり、死亡したりする事件が起きて、「週刊新潮」がリードして、各新聞社まで巻き込んで、「反、月光仮面キャンペーン」を展開して、とうとう番組を打ち切りにまで持っていった。
その後番組として製作されたのが『月光』のスタッフによる『豹(ジャガー)の眼』。
原作は昭和2年から少年向け雑誌に連載された小説で、ジンギスカンの末裔の黒田杜夫(モリー)の持つフビライの矢と悪の秘密結社ジャガーの持つダッタンの矢を合わせるとジンギスカンの秘宝のありかがわかるということで、矢の争奪戦が繰り広げられる。
最初は海外からスタートして、第二部が日本を舞台にして、悪のジャガーのボス(豹の仮面をつけた男)と、黒田杜夫が変身、というか白覆面に白い着物の時代劇風ヒーローとなって闘う。
高垣眸さんという人が原作で、その人の大ヒットには、鞍馬天狗をモチーフにした怪傑黒頭巾という、黒い頭巾で目元だけを出し、着物も黒という全身黒づくめのヒーロー物で、幕末の世を斬るヒーローとして、映画化されたりTVドラマになったり、ラジオドラマになったり、とにかく日本人で、知らない人はいない人気者で、その黒頭巾を白に変えたのがささりんどう。
彼に言わせると、
「舞台は現代で、脇差で馬に乗って現れて刀を振り回しても、ちょっと浮いてるな、って正直感じた」
高垣眸さん原作で日本中を恐怖に陥れたドラマがある。
彼がそのDVD-BOXを泣く泣く、洗礼を受ける前日にリサイクルショップに売った480本のホラーの中の1つ『恐怖のミイラ』。
エジプトで発掘されたラムセス三世のミイラが日本に持ち込まれ、ある化学者が発明した薬品を浴びて蘇生し、夜な夜な街をさまよい、人々を襲う。
当時、観ていた人は、恐ろしくて一人でトイレにも行けなかったって。
彼はDVDで初めて全話観て、恐ろしかったけど、最後が笑えた、って。
追い詰められたミイラは、銭湯の煙突を上り始め、上りきったところで、警察隊の一斉射撃で、足を滑らせ落下して、息絶える。
それが最終回。
ということです。
ささりんどうが解決してよかった。
わたしは、一旦気になると解決するまで追いかけないと気がすまないからね。
ツレと一緒。
似たもの夫婦だから上手くいくんだ。
でも、
わたしはボケたりしない!