いやー、遊びすぎました。
オペ明けは休日、という病院の規則を遵守して(守らないと、すべての責任は医長の管理不行き届きってことで、アネさんがペナルティーを受けるからね。アネさんにだけは迷惑かけたくないし、アネさんのいない病棟なんか存在する意義もない)、サコちゃんと外出してきました。
イオン・ショッピングセンターを隅から隅までくまなく見て回っただけなんだけど、時間って楽しいときに限って速く過ぎてしまうから、残酷だよね。
サコちゃんはライトブラウンのチノパンに、同色の襟付きポロ、その上に白地にネイビーのボーダーの入ったベスト。そしてネイビーのブレザー。チノパンはg.uなんだけど、ポロはラルフ・ローレンで、ベストがBEAMS、ブレザーはMen's BIGIとか言ってた。言われても、まだデニム以外のファッションについていまいちよくわからないんだよ、わたしは。
わたしは、EDWINのストーン・ウォッシュ・デニム(ストーン・ウォッシュの入り方が気に入ってるんだ。これが最高なの)に、GAPのダンガリー・シャツとGAPのネイビーのブレザー。
ネイビーって、どんな色と合わせても浮かない感じがして、無難かな、と思って。
ふたりの共通点は靴がリーガルだったってこと。
とにかく外は吹雪いて、道路は積雪状態。
彼は出かける前にタイヤを交換したほうがいいんじゃないかって窓を見ながら悩んでね。
難しいんだよね。
初雪で積雪だから、このまま残るかきれいに消えてなくなる雪なのかを見極めるのが。
積雪だ、交換しようって安易に交換した途端にきれいに消えて夏路面になって、また夏タイヤに戻す。
今はタイヤ交換も高くなって、3万円弱かかるんだよね。
冬タイヤに交換しました、雪が消えたから夏タイヤに戻します。
6万円でしょ。
悩むのはわかるよ。
確かに、6万円を払ったら生活ができなくなる、ってわけじゃないよ。
わたしたちは、明日のパンのことを心配しなくなっても、お金持ちなんかになったわけじゃない(サコちゃんの歌の歌詞を借りてしまいました。ごめんね)んだ。
雪が消えれば、交換費用は死に金になるわけでしょう。
それがね。
末期癌病棟にいるとね、死に金とか、死という言葉は避けたいんだよ。
悩んでるから、わたしはぽんっと言ってやった。
交換しなくていいって
どうせ、マツダオートも、オートバックスやタイヤ館も待ち時間3時間だ、4時間だの行列だよ
時間は有効に使おう
限りあるんだから
「うん。でも去年は10月25日の初雪がそのまま残ったんだよ、だから・・・・・・」
インターナショナルAクラスのライセンスを持ってるよね
F1パイロットと同じだよ
F1に乗れるってことだよ
鈴鹿のシケインも、デグナーもシフトチェンジなしで突っ込めるって、まえに言ってたでしょ
そんな男がこんな雪を怖がってどうするの
「1人なら迷わない。でも、隣に、ぼくにとって一番大切な女のコを乗せるとなるとね」
えっ、なんですか?。
ぼくにとって一番大切な女のコって言ったね。
言ったよね。
言った。
あー、わたし、とうとう篠田麻里子さんに勝ったんだ。
やったー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!。
深く悩ませてはいけない、という躁鬱病患者の家族のノウハウを行っただけなのに、ついに言わせたー!!!!!!!!!!!!!!!!。
紅白餅を病棟、いや病院全体にばら撒こうかな。
わたし、空を飛んでるよ。
スーパーガールだ。スーパーマンのいとこの。
結局、タイヤ交換なしでイオンを往復してきました。
わたしはずっと、ヴィンテージのデニムを探していて、何度か出会ってはいるんだけど、いまいち気に入らなくてパスしてきた。
きょうも見つけて、試着OKだったからはいてみた。
ぴたっとくるんだよね。
わたしを待ってたみたいに感じて。
普通は自分にぴたっとくるデニムを見つけるためには、100本近くはいてみないとならない。わたしのこだわり方が異常なのかもしれないけどね。
でも、病棟の看護師たちも、最低5~60本ははいてみないとぴたっとくるものに出会えないって言ってるから、そうでもないか。
いいことって続くものだよ。
ちなみに、占いによると新聞もTVもネットも、最悪。
彼が、占いを気にするのは世界中で日本人だけだ、悪い慣習だよね。その日をよい日にするか悪い日にするかは、本人の行動によって決まるんだ。占いを信じたために、よい日になるのに悪い日にしてしまう。人心を惑わす、っていうのは占いのことだよ。ちなみに、臨床心理学の研究結果、占いには何の根拠もないことがわかってる、っていつも言うけど、ほんとだね。
ハッピーって続くもので、タワーレコードのテナントに入ったら、わたしが何よりほしかった杉田二郎さんの2枚組ベストとYMOの2枚組ベストを見つけた。YMOはオリジナルアルバムもすべてCD化されていて、そろってたけど、まずベスト。
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杉田二郎さんって、小学校の音楽の授業で習った「戦争を知らない子供たち」の人だとしか知らなかったんだけど、映画『さよならジュピター』のDVDを観ていたら、挿入歌としてそのものズバリ「さよならジュピター」を歌っていて、声は素敵だし、曲が気に入って、なんとかCDをと思っていたら、アマゾンや7ネットでは入手不可能状態で、あきらめかけたんだけど、彼がタワーの”大人のポップス”コーナーを見てみたらって言うから、見た。杉田二郎コーナーで何気なく手にしたベストの裏表紙の曲目をみたら、あったの、さよならジュピターの文字が。
もう、わたし、占いは絶対に見ない。
YMOを知ったのはつい最近。
坂本龍一さんは知ってたよ。わたしもピアノを弾く人間だから。
彼がある日、映画音楽を書いている途中で煮詰まって、シンセサイザーで遊びだしたの。
そのとき弾いていたのが「ファイヤークラッカー」っていう曲で、とてもユニークな感じだったから訊いたら、イエロー・マジック・オーケストラというグループがあって、彼らの1stアルバムの最初の曲で、マーティン・デニーという人のカヴァーなんだ。坂本龍一さんがリード・キーボードで、うんぬん。それから「ライディーン」とか「ビハインド・ザ・マスク」「コズミック・サーフィン」「テクノポリス」なんていう曲を立て続けに弾いてくれたの。もちろん、リードキーボード以外はシンセサイザーにあらかじめプログラミングされてたものなんだけど。
どの曲もいい曲だなと思って、CDがほしいなと思ってた。
彼はアナログをすべてと、CDもすべて持ってる。でも、わたしオンリーがほしくて、買いました。
彼に坂本龍一さんの曲を弾いて、ってリクエストを次から次へ出して、弾いてもらいました。
高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』
リゲインというドリンク剤のCM。
8月に映画『戦場のメリークリスマス』の「メリークリスマス、Mrローレンス」
真夏にクリスマスだからね。
本当に弾いてくれると思わなかったんだけど、彼の一番得意な曲なんだって。
この曲と、ドラマ『ロングヴァケーション』でキムタクがコンクールで弾く曲。
どっちもピアノの難易度はF。
リストの超絶技巧曲とか、ヴェートーヴェンの「月光」と同じレヴェル。
相当厳しかったんだね、ピアノに対しては、彼のお母さん。
彼はデビュー盤からYMOを聴いているの。
YMOって最初はジャズにカテゴライズされていて、ジャケットが気に入って買ったら病み付き。
デビュー盤には国内盤と海外盤があって、海外盤は大胆にリミックスされたために、曲が1曲削られていて、彼は両方買った。アナログの国内盤ってプレスされた枚数が少ないために、今ではかなり貴重なんだって。
でも、彼のお母さんはクラシック以外は聴かせない人だから、シンセサイザーは冨田勲さんとワルター・カーロス(世界で最初にシンセサイザーのみでバッハとヴェーとーヴェンを演奏してレコードにした人。冨田さんはそれを聴いてシンセサイザーを海外まで行って、買ってきたんだけど、税関で引っかかったの。当時はヴェトナム戦争の時代で、税関の連中もシンセサイザーなんか見たこともないから、スパイの設備かなんかだろうって、二週間毎日冨田さんを呼んで取り調べをして、やっと楽器だと認めさせた。買ったはいいけど使い方がわからない。
今だと、電子ピアノと同じ形だけど、当時のシンセサイザーって高さが2m横幅5mみたいな巨大なもので、いくつかのモジュールの組み合わせでできていて、モジュールにたくさんの穴が開いていて、その穴と穴をケーブルで結んで回路を作って、初めて音が出る、って方式で、音を変えるには、ケーブルのつなぎ方を変えていく、という気の遠くなる作業が必要で、音楽を作り出すためには車を1人で組み立てるようなことが必要だった。
フジテレビが、きょうの放映が終了しました。というお知らせを流すのに、冨田さんに曲をお願いしたら3秒間の音に半年かかった、って冨田さんがアナログレコードのライナーに書いてた。
わたしも、彼のアナログレコードを、引越しのときに見かけて、冨田さんだ、と思ったら後ろに巨大な装置が写っていて、思わず、
なに、これは!
彼は涼しい顔で一言、
「初期のシンセサイザーだよ。モーグ55ってやつ」
モーグ?モーニング娘。じゃなくて?。
シンセサイザーが進化したおかげでYMOが生まれて、今ではPOPSにはなくてはならない存在になってるし、映画音楽も、日本の場合、シンセサイザーで作られる。
生のオーケストラを雇う予算がないから。
日本映画の音楽の予算って10万円から、大作で50万円だからね。
制作費50億円!とか、派手な宣伝をする割に、音楽はつつましい。
彼は、スーザン・ボイルを生んだ素人歌手オーディション番組のアメリカ版で最高得点をたたき出した11歳の少女オペラ歌手、ジャッキー・エヴァンコのクリスマス・アルバムと、全盲でありながら日本人というか東洋人で初めてヴァン・クライヴァーン・ピアノ・コンクールで優勝したピアニスト辻井伸行さんの2枚組の「自作集」というアルバムを買った。
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『神様のカルテ』っていう、現在の医学界の実情を風情たっぷりに描いた映画の音楽をサコちゃんが依頼されて書いた。
でも、テーマは辻井伸行さんにお願いしたので劇中だけでいいですから。
普通だったら、激怒して降板すると思うんだけど、不思議ちゃんは、それでいいです、って。
でもエンドロールはテーマをオーケストラアレンジにして、辻井さんのピアノと彼がアレンジとオーケストラの指揮を担当した。
すばらしい才能とコラボできてよかった、なんて言ってた。
わたしは、彼が辻井さんのアルバムを手にしたから、からかって、
あなたから仕事を奪った人間を徹底的に研究してリベンジするんだ、って言ったけど、くすっと笑っただけだったよ、不思議ちゃんは。
ちなみに、その映画での彼のペンネームは、大ヒット番組と同じものだった。
『大改造 劇的ビフォーアフター』
食事は全国ラーメン大賞で大賞受賞を連覇し続ける、”行列のできるラーメン店”。
夏場はものすごく混んでね。3時間待ちなんてこともあったところ。中国や韓国からの観光客で混んでたから、雪の降る頃ならそれはないと思った。
ここは占いが当たった。
吹雪の中で1時間40分じっと立ってたね。
「車の中でヒーターを入れて待っていていいよ。順番が来たら携帯で呼ぶから」
ありがたい言葉だよ。
ぼくの一番大切な女のコ、とか、ほんとにきょうはいいコだね。
ボケないし。
わたしも頷いたんだよ。
でもね、よくよく考えたら、車は立体駐車場の中。
車をリフトに載せて、降りたら、上にあげられるってやつ。
一般車、いわゆる横開きドアなら駐車場の係員がリフトへ運転して載せてくれるけど、サコちゃんみたいに上にはねあげるガルウィングは、本人がリフトに載せるの。
まあそれはいいとして、わたしが車に乗り込むためには、リフトを降ろしてもらう、つまり、1回駐車場から出してしまうこと。順番が来たって携帯で知らせてくれたら、もう1度駐車場に入れなおす。当然駐車料金が新たに派生するわけ。
無駄なお金。わたしたちの禁句である死に金だよ。
1つ、ボケたね、やっぱり。
天然の、だけど。
きょうほど一杯のラーメンがありがたいと思ったことはなかった。
食べるのに熱いという感覚が麻痺してるから、ちゃっちゃっと口に入る。
でも、身体の心まであったかくなって。
吹雪の中の1時間40分があったからこそ、あの最高の温かさがあったんだ。
占いは当たってない。
あの時間は最高の時間へいざなうプレリュード(序曲)だったんだな。
いいことだけで過ぎた1日でした。
明日、いや、もうきょうだね。
きょうからまた末期癌病棟での日常を過ごすことになるんだ。
サコちゃんは新たな獲物を探し始める。
記事のアップが遅すぎてしまってごめんなさい。
病棟に戻ってから、夜食の支度を手伝い、後片付けを終らせてからなものですから。
これからも、不定期な時間にアップすることが多くなると思います。
本当に申し訳ございません。