無事に終了いたしました。


 滞りなくっていうんですかね。


 何から何まで二人で書いたシナリオどおりにうまくいった。


 完璧すぎて怖いぐらい


 


 わたしたち夫婦の漫才の間に歌をはさんでいく形式でした。





 漫才が奇跡的にうまくいったの。


 彼、噛まずにきちんとしゃべった。


 けっこうナイスボケ。


 でもシナリオにない下ネタをやらかしたけど、何とかそらしてストップをかけた。


 で、この記事は音楽について書きます。


 漫才については次回更新で。





 まず、新郎と新婦の入場。


 オーケストラの奏でる結婚行進曲に乗って





 着席。


 わたしたちの時は自ら希望して他の列席者から1段高い場所に新郎・新婦席を作ることを拒んだの。


 アレクサンダーズ・テクニックっていう心理学の方法の応用。


 アレクサンダー大王がどうしていとも簡単にヨーロッパ統一を成し遂げたか。


 それは、彼の一番下の位の兵隊と同じものを食べ、同じ場所で眠った。つまり目線を同じくすることで最前線を常に見ることができたから。


 わたしたちも他の参列者たちとめせんをおなじにしようってことで、そうしてもらった。


 参列者の中で一番多いのは患者さんだからね。


 患者さんを見下ろす医師にはなりたくないし、なっちゃいけない。


 臨床心理士って、常にクライアント(かんじゃ)さんと同じかそれより下からの目線で接するの。それで何でも話しやすくする。彼らのテクニックの第一歩。医師ってどうしても上から目線になりがちだから、うまくいかないのかもね。


 とにかく、そうしてみたら患者さんがどこで喜ぶのか、とかどんなことを考えているのかがよくわかった。


 でも、今回は特別そうしてほしいという申し出はなかったから、きちんと段違いにした。





 さあ、わたしたちの漫才の始まり。


 まずは新郎の生まれた年である1978(昭和53年)年についてうんちくを語った。


 そして、まずは病棟看護師たちの一部による少女時代のこの曲。



 


 続いて違う組による、同じく少女時代のこの曲。





 また、漫才。今年上半期の話題について。あえて地震のことや原発については避けた。そういうニュースは患者さんはうんざりするほど聞いているしテレビで目にしている。こんなおめでたい席でそれを取り上げたくはない





 中島”監督”医師の歌で、ミュージカル「レ・ミゼラブル」からこの曲。



 素人だったスーザン・ボイルは素人オーディション番組で、この曲を歌い、一夜にして世界的な有名人となった。


 


 続いて看護副師長も同じミュージカルからこの曲を。



 緩和ケア専門看護師が最後に決める。『ミス・サイゴン』から。

 指揮をしながら彼は目にこぼれそうな涙をためていた。親友を思い出したのだろう。お互いに極限状態の中、ケンカをしながら相手を奮い立たせてきた。それも今はかなわない。


 それからはしばしのお食事タイム。


 今回はこれまでのコープでお惣菜を買い集めるのは止めた。


 仕出しに頼った。


 彼と彼の指導するオーケストラの陰の支援者で、重要な裏方でもある、古びたアーケード商店街の店舗から食材を持ち寄り寿司屋、定食屋、軽食喫茶店などの店主を中心に調理する。食材はすべて今回の被災地産の生鮮。ホタテは道産物も簡単に手に入るし安い。でも青森産にこだわった。


 見えない部分で勝負したかった。


 彼と彼のオーケストラはみんなが食事を摂る間も演奏を続けている。食事の間の生BGM。今までの病棟内披露宴の反省点はここだった。


 食事タイムになると音が消える。


 みんな好きなことをしゃべって飲んで食べて、だからBGMはいらないか、といえばそうじゃない。ないとさびしいし話の盛り上がりにも欠ける。


 だから、思い切り豪華に、生のオーケストラを入れて生演奏。


 これが受けた。でも大変なのは食事を摂らずに演奏と続けるオーケストラと彼。


 このオーケストラの演奏が終わると、また漫才。


 彼は食事を摂ることができない。


 でも、それを自ら望んだ。


 犠牲心ってこんなにたやすいものなのか。


 ちがう。彼だからできた。


 彼のオーケストラが演奏した曲の1部を掲載しておく。






 彼がヴォーカルをとっていた。留学していただけあって、決まるんだよね、英語が。 




 彼のトランペットも、特にサックスは甘い言葉を語りかけるかのようで、楽器の音じゃない。人間の発する言葉、歌だ。 


 始まりは終わりの合図。 



 なぜか、また「恋はみずいろ/オリーブの首飾り」メドレー。よっぽど自信があるのだろう。「オリーブの首飾り」になると、彼は指揮をやめオーケストラの端から端へと行ったりきたりし始めた。


 コンサートだったら、花束やプレゼントが来るから重要な動きだけど、きょうはちがうって。


 でも新婦が駆け寄って、何かを話してる。


 まとまったみたい。


 よし、わたしもまた始めますか、漫才を。





 そもそも司会をする予定だったんだけど、型にはまったものにはしたくなかった。


 どこにでもある披露宴じゃ意味がない。


 温かみがあってサプライズで満たされていて、一生忘れられない記憶のひとつにしたかった。


 4F病棟らしさを出したかった。





 そう、まず漫才の前に歌がある。


 病棟看護師できょうの新婦の同期5人によるKARA。しかもハングルで歌う。


 ハングルを彼女たちに指導したのは彼。


 そんなふうには見えないけれど、実は彼、十数ヶ国語を操る。ハングルは初歩の初歩で、もっと難しい言語もある。


 でも絶対にひけらかさない。


 それで、いい加減な金庫開けとかばかりやろうとする。


 まあ、それがいいところなんだけど。


 曲はKARAで、今、心からいえるありがとう。





 さて、漫才。これが最後のラウンド。


 彼が何かと野球の話をしたがるので、思いっきりさせてやった。


 モテたいというから、野球の話をするからだ、って言って、女の子は野球に興味がない、そもそもはから話を完全に野球にシフトする。





 そして、漫才後の歌。


 病棟新人看護士(男性なら士、女性なら師と書く決まりがある)2人プラス彼と同郷で町内会も一緒だった宇野看護師が、コブクロ+絢香を続けて。





 新郎と新婦の退場で披露宴には幕。会場を後にする患者さんたちを、会場の出口のずっと先で二人は待っていて、1人1人に挨拶をして終わり。


 ここまででわたしたちもお役御免。


 ほっとしたら倒れそうになった。


 彼もガッツポーズを繰り返している。


 アネさん四人衆(医長、看護師長、看護副師長、緩和ケア(痛みをとる薬品の選定、方法などを専門に研究、実践して、患者さんに最も合うやり方や薬剤のデータを駆使して痛み専門治療を行う)専門看護師)が通路を、会場から出てきた。


 「志村、やってくれたな。今まで出最高の披露宴だった。ほんとに息の合う漫才だな。夫婦以上だよ。すごい。デビューするか?M-1もすぐそこだぞ。パンクブーブーよりもいい。楽しかった。普段あんなことを言い合ってるのか。なるほどな」


 なんともいえない。


 ただ、普段も彼はボケだよ。無意識でボケるから。





 勘の鋭い患者さんたちからは、新郎と新婦に違和感がある、なんて話も聞いたけど、まさかね。


 ずっと、ゆっくり愛を暖めあってきたんだよ。


 ただ、彼も同じことを言っている。


 これだけは当たって欲しくない。


 大丈夫。簡単にあけるって言った金庫も結局は開けられなかった。





 夜半を過ぎてから、妹を彼が、今まで秘密にしていたラーメン店に連れて行ってくれた。もちろんわたしも。


 そして、本来なら、きょうのメイクを担当してくれたのだから、わたしと折半でラーメンをおごってやらなければいけないのだが、全部彼が払ってしまった。


 豚トロチャーシュー麺醤油大盛り。


 豚肉のトロと呼ばれる部位をチャーシューにしてある。口に入れたら解けそうなほどやわらかい最高の肉だった。


 食べながら、妹も違和感を感じたといった。


 新婦におびえのようなものがあった。


 きっとマリッジブルーなのだろう。


 新婚生活が始まればうまくいくって。


 わたしだって、彼とは正直不安だらけだった。


 でも漫才ができるほどになってるよ。


 ただ、ひとつだけ止めて欲しいことがある。


 日本庭園の写真を観ながらアヒル口になって「和むわ~最高~」


 じじいじゃないんだからさ。