第1回「いのちの学校」まで1週間をきった。
ネルケ無方の名前をもってしても、まだ席に余裕がある・・。
新年度で、人々は遊びや行事に忙しいのだろう。
「いのちの学校」を鎌倉でひらくことになったのは、
鎌倉がそういう場所だからだ。
日本中のだれもが「鎌倉」を知っている。
鎌倉に来たことがなくても「鎌倉時代」を聞いたことがない人はないだろう。
それまで京都の朝廷・貴族政治だけが日本を支配していた。
生まれ育ちだけで、人生が決まる世の中だった。
その流れを打ち破ったのが、源頼朝の鎌倉幕府だ。
源氏だって、もともと清和天皇の血筋だ、高貴な家柄だ、だって。
とんでもない。
源頼朝がどんな目に遭っていたのか、ご存知ですか。
平家に殺されそうになったから、やむを得ず少人数で挙兵したけど、
案の定惨敗で、数名で山中をうろつき、洞窟に隠れる始末。
頼朝の兄弟もそうやって、各地で滅ぼされた。
頼朝が生きのびられたのは、ほんの偶然。
この偶然が、日本の歴史の流れを大きく変えた。
はじめて、ひとりの人間が実力で政権をうばいとった。
それはウソ、むかし天武天皇がいたっけな。
でも、ゼロから政権をとったのは頼朝が初めてだ。
「源氏の御曹司」はゼロから将軍にのぼりつめた。
武力、つまり殺生で政治権力をにぎった頼朝は、
一方で信仰心が深かった。
この世の目に見えない「法則」や「ルール」に人一倍敏感だった。
大陸から禅僧を招いて鎌倉に禅寺を建立した。
鎌倉というところは、そういうところだ。
ひとりの人間が生まれ育ちなんかではなく、
自分の信念と信仰で頂点にのぼりつめた。
既存の宗教にたよらず、自分で宗教をえらんでつくりあげた。
いま、鎌倉に
さきに遊方之外がやってきて、あとからネルケ無方がやってくる。
遊方之外もネルケ無方も、政治権力なんて欲しくない。
そんな権力は自分の中にすでにつくりあげてしまっている。
世の中には政治権力なんてものより、はるかに強い力がある。
それを知っているから、政治権力なんていらない。
だって、政治なんてこの世で生きている間しか通じない。
「生きているだけがすべて、死ねばすべてなくなる」なんて
いばっていても、弱点だらけですぞ。ご用心、ご用心。
お金や、保険や、名医、名僧にも守れない恐怖や脅威があって、
それはいつかかならずあなたに訪れる。
そのリスクを管理しないで、安心していられますか。
若いうちは、何もかも捨てて、人生を捨てて、
だれもしない修行にうちこんだネルケ無方と遊方之外のふたり。
いまわかるのは、ふたりともとてつもない財産を手にしたということ。
これさえあれば、お金も健康も、幸福さえも、どうでもよいのです。