母の覚悟
私の祖母は明治生まれ。母は大正の末の生まれ。母娘の年齢差は20歳だけど、ふたりの考え方は大きく違った。祖母は子が親の世話をするのは当たり前。親を施設に入れるなど論外。人の道に外れていると思っていた。母は子供に迷惑をかけたくないと言い、最後は施設に入ると明言していた。そして二人とも望んだとおりの形になった。祖母は最後まで家で過ごして、家で亡くなり、母は現在、施設にいる。母は自分で望んだのではあるけれど、施設=姥捨てと考えていたのは否めない。家に居れば呑気に過ごせる。好きなように好きなことをして、リラックスした日々をすごせる。施設では他人に気をつかって常に緊張をしいられる。だから本当は少しでも長く家に居たい。そう思っているのが透けて見えていたんです。だから私も母を最期まで看ようと思っ ていました。施設入居のきっかけは私の留守。母はかろうじて自力で歩けるものの、誰かがついてないと危ないので、私の留守中だけショートステイでお願いし、帰宅したら引き取るつもりでした。ところが母が、「ここがええ。家には帰らん。ここにおる」施設が楽しいからこのまま居続けると主張。それならと、継続したのでした。本当に施設を楽しいと思ったかどうかは不明。でも母の覚悟は届いてきました。だから母の覚悟を受けとめたんです。最初の施設には個室がなかったけど、今はひとりになれる個室があるので、ひとりの時間が確保できます。他人の目から解放されたひとりの時間がある。私としてもちょっとホッとしています。