皆さんこんにちは、珠下なぎです。今日も来て下さってありがとうございます!

 

初めての方は初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。

 

現在はAmazonkindle版での出版を中心に活動しております。

 

現在発売中の電子書籍は2冊です。二冊とも、kindleunlimited対象作品。サービス加入者の方は無料で読めます。

 

1冊目は、第60回講談社児童文学新人賞及び第26回児童文学ファンタジー大賞の最終候補となった、「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」。

 

7世紀の大宰府を舞台にした、歴史ファンタジーです。

大陸に近く、文化の最先端でもあり、国際都市だった大宰府。

新羅使の訪問後に蔓延し始めた疫病を収めるべく戦う、少年少女と渡来人の僧。

「時間的にも空間的にも奥行きの深い」(第26回児童文学ファンタジー大賞選評より)物語です。

Amazonでも☆4.2と高評価です。

熱心なご感想を沢山いただき、続編を待ってくださる読者様の声も届いております。(続編は来年発表の予定)

 

2冊目は、ライトホラーミステリー「ウラヤマ」。

心霊スポット探検をきっかけに、近代の闇を覗いてしまった少年たちの、成長物語。

単なるホラーだけではなく、社会的なテーマを含んだ作品ですが、☆4.7と大変高い評価を頂いています。

 

LTA出版事業部のブログ、本日公開しました!

本日は、イギリス諸島で祝われていたハロウィンについて。

当時の祝い方は現在とかなり異なり、恋占いやゲームが盛んに行われていました。

楽しくて簡単に真似できそうな占いもありますので、イベントなどにいかがでしょう?

(良い子は絶対真似しちゃダメな占いも……?)

詳しくはこちらをご覧下さい!

 

 

 

 

さて、いよいよ始まりましたね、Super Rich!

チェリまほ安達くん役の赤楚衛二さんと黒沢さん役の町田啓太さんが共演されるというだけでも、なぎは浮かれすぎて空でも飛べちゃいそうな気分なのですが、ストーリーもなかなか面白いんです!(極力ネタバレはなしで書きますがネタバレしてたらごめんなさい)

 

主人公は江口のりこさん演じる氷河衛(36歳)。

超お金持ちのお嬢様。けれど子どもの時、自分のわがままのせいで両親の予定を狂わせ、そのために両親が飛行機事故で亡くなってしまったというトラウマの持ち主。

大学卒業後、巨額の遺産を元に会社を立ち上げます。

公式には「電子書籍の会社」。とありますが、電子書籍はどちらかというと趣味で不採算部門。利益は主に投資分野に頼っているのですが、お金に苦労したことがないせいもあって、「やり手女社長」というよりもわがままなお嬢様が気分で運用しているという感じです。

この女優さん、初めて知りましたが、独特のオーラがあり、とても存在感のある方ですね!

社長に忠実な社員、宮村空(31歳)。町田啓太さん、真面目そうな忠犬キャラがはまっています。相変わらずイケメンですね。

衛さんに忠誠を尽くすが、媚びを得るのではなく衛さんのためなら時には苦言も呈す、それでも最終的には「衛さんについていきます」。

しかも、「ぼくがまっとうに生きていけているのは衛さんのおかげです」って、過去に何があったんだ!

 

そこに登場するのが赤楚さん演じる専門学校生・春野優(25歳)。

実家は経済的に恵まれず、2年間働いて学費をため、バイトしながらプログラミングを学ぶ苦学生。

貧しい生まれですが家族は仲が良さそうで、本人もとても純粋で優しい心の持ち主です。

 

「お金」はこのブログでも長きにわたって追求してきたテーマですが、このドラマで私が一番印象に残ったのは、このやりとり。(以下多少ネタバレあり)

妊婦さんを助けていたせいで衛さんの会社のインターン試験に遅刻してしまった優くんですが、必死で自分の窮状を訴え、インターン試験を受けさせてもらおうと頼み込みます。

「他の学生だって事情があって、それでも必死に何とかして間に合った人もいるかもしれない。だから特別扱いするのはフェアじゃない」

と言い切る衛さんに、優くんは

「世の中はずっとフェアじゃない」

と訴えます。けれど衛さんは、

「時間は誰にだって平等にある。小学生だって5年間で600万稼ぐことだってできる。それはあなたの問題」

とばっさり切り捨てます。

 

衛さんの言い分はは、格差社会を問題にすると、確実に言い出す人が出る「自己責任論」。

完全な平等などありえないのだから、自分の与えられたものを使って努力するしかない。時間は誰にだって平等にあるんだ。

 

一見正論らしく聞こえますが、これは社会の問題を個人に帰してしまう、大変危険な考え方です

 

「5年間で600万円稼いだ」というのはおそらく自分のことでしょう。けれどもそれはおそらく運用による所得であって、労働所得ではない。

そもそも小学生が労働で600万稼ぐなんて、芸能人とか特許を取るとか、非常にまれな状況でしかありえません。

運用によって利益を得ることができるのは、運用できる元手があってのことであり、それは本人ではなく親の力です。

大学だって学費に不自由することなく、勉強に打ち込めたでしょう。

 

けれど、実家が貧しかった優くんは、学費を稼ぐために2年間という時間を犠牲にしなければならなかった。

時間は誰にだって平等なんて真っ赤な嘘であり、恵まれた者が言う強者の論理にすぎません。

 

日本ではバブル崩壊以降、格差が拡大し続けています。

非正規社員が増加し、彼らが「雇用の調整弁」として使われるようになり、賃金格差は拡大し、しかも失業のリスクも拡大。

高齢者やひとり親世帯の貧困化も進み、今や子どもの相対的貧困は7人に1人と言われています。

 

最近、「親ガチャ」という言葉が流行りましたね。

虐待家庭や育児放棄家庭など、明らかな外れは別として、若者がこの言葉を使うのは、

これからの人生が運によって決まるのではなく、生まれついた属性によって既に規定されていると感じている

と、社会学者の土井隆義さんは指摘されています(2021年10月14日、朝日新聞、オピニオン)。

同欄では、日本経済が成長していた1990年代に若者時代を過ごし、自分の努力以上にリターンを得ることができた中高年世代と、経済成長のない時代を過ごしてきた若者世代の間にギャップがあることを指摘したうえで、

格差は私たちが作る社会制度によって解消されるべきのものだからです。社会の問題を、個々の家庭の問題にすり替えてはいけません」と主張しています。

 

これが本当の正論です。

 

若者が「親ガチャ」などという言葉を使用し、生まれついた属性によって、人生が規定されてしまっていると感じるのは、もはや個人の努力でどうにもならないところまで格差が拡大していることを自覚していることの証左ではないでしょうか。

 

「Super Rich」の話に戻りますが、こうやって恵まれた者の論理を振りかざして優くんをコケにしていた衛さんは、物語後半で大変な危機に陥ります!

 

そこで優くんと再会。

一杯のラーメンを分け合いながら、「お金」の意味について語り合う二人。

ここでの優くんのお金についてのセリフから、彼の聡明さがうかがえます。

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この場面では、優くんが、単に自分の逆境を悲観しているだけの無気力な若者ではなく、とてもしっかりした考え方を持った、芯の強い男の子であることが分かりますよ。ああ、なんて可愛い(←こら)。

 

ここから衛さんがどう変わっていくのか、このドラマが「格差」と「お金」をどう描くのか。続きが楽しみです!

見逃してしまった方は、スマホの無料アプリ「ティーバー」を入れれば、次回放送時(10月21日22時)までなら無料で見られます!

1話から見るチャンスですよ!

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!