皆さんこんにちは、珠下なぎです。

 

初めての方は初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。

現在、第60回講談社児童文学新人賞及び第26回児童文学ファンタジー大賞の最終候補となった、「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」をAmazonkindle版で発売中です。

 

本日も、7世紀の大宰府を舞台とした、この作品の世界をご案内するエッセイの紹介と、後半はチェリまほについて語りたいと思います。

 

 

 

 

LTA出版事業部のブログ、本日公開しました!

 

今回は、物語の舞台となる古代大宰府についてのお話の続きです。

前回の記事では、古代大宰府が風水思想に基づいて設計されているというお話をしました。

ところが、日本で陰陽師が力を持ち始めるのは奈良時代以降、陰陽寮が整備されるのは平安時代になってからです。

古代大宰府は、それよりずっと以前の飛鳥時代に建てられたもの。

この時、大宰府政庁を建てる場所を、風水思想に基づいて選定したのは誰だったのでしょう?

また、風水思想において、周囲の地形のどれが四神に当たるかは、諸説あるそうです。

今回の記事では、最新の研究結果に基づいて、風水都市・大宰府の秘密に迫ります。

 

詳しくはどうぞこちらをご覧下さい!

大宰府 風水,太宰府 風水,大宰府 (ltap.website)

 

さて、後半は社会派ドラマとしてのチェリまほその③。

 

前回、7話のセクハラエピソードを取り上げ、社会派ドラマとしてのチェリまほの側面について感想を書かせていただきました。

 

セクハラということで、チェリまほに関連して思い出したのが、2018年に大ヒットしたBLドラマ「おっさんずラブ」。

社会現象とまで言われ、映画化もされました。

おっさんずラブは上司と部下の恋愛が描かれているため、それ自体についてもセクハラ的な側面がないか、様々な意見があるのですが、私が思い出したのは、主人公・春田と幼馴染・ちずの第1話における会話です。

チェリまほ見てる方は大体おっさんずラブも見ていらっしゃる、かな? と思いますが、そうでない方もおられるかもしれないので念のためご説明します。

 

お母さんがだらしない息子に呆れて出て行ったしまったため、主人公の春田は、幼馴染の荒井兄妹が経営する居酒屋に食事を摂りに行きます(春田は家事が何もできない)。

ここで春田の幼馴染、荒井ちずが初登場。内田理央さん演じるちずは、美人できっぱりとした性格の、気持ちのいい女性。女性から見ても憧れてしまうような素敵な方です。

 

ちずが転職活動中であることがここで明かされます。

ちずは、「飲み会の席で、触ってきたおっさん殴ったら、それが取引先の偉い人でさぁ」と会社を辞める羽目になってしまった事情を説明します。

「それでクビか」と尋ねる春田に、ちずは「あたしからやめてやったの。上司に謝ってこいって言われたんだんだけど、なんであたしが謝んなきゃいけないのって話じゃん」。

それに対して春田は、「こんな妹で鉄平兄も大変っすね」とちずの兄に話を振ります。それに対して兄の鉄平は、「本当だよ。誰でもいいから早く嫁にもらってくんねえかな」。

 

どう見てもちずに非はなく、悪いのは取引先のセクハラおやじとちずの上司。

けれど、春田も鉄平も、ちずに否定的な意見を述べます。その裏にある、「セクハラくらい社会人なら我慢しないと」もしくは「うまくかわせる女性の方が魅力的」という価値観が透けて見えます。

セクハラに対して正面からノーをつきつける気の強い女性はかわいくない、面倒くさいという気持ちが表れています。

「嫁にもらって……」というセリフもいかにも古い。

 

多分、このエピソードは、現代女性らしいちずの性格を表すのと同時に、春田がこの時点ではいかにも昭和的な、古い価値観に染まっている人間だということを強調するために作られたとは思うんですよ。

ロリで巨乳でかわいい女性が好き、男同士の恋愛なんて考えられない、という春田が、牧というゲイの男性に出会い、男性上司の黒澤部長(ちぇりまほの黒沢ではない!)から告白され、次々に既存の価値観を塗り替えられていく、そういう過程をより印象的に描くために、ことさらこのようなセリフを春田に言わせたんだとは思います。

 

でもそれなら、男性の牧に惹かれた後の、春田のちずに対しての見方の変化も描いて欲しかったし、鉄平兄が春田に同調する必要もなかったのでは?

牧と付き合うようになった後の5話でも、なお春田は「ちずの作る卵焼きって半分くらい殻入ってるんだぜ」とちずをダメ女呼ばわりします。

自分だって卵焼きなんて作れないくせに(笑)。

 

別におっさんずラブをくさすつもりはないんですよ。当時はおっさんずラブもめちゃくちゃはまったんです。

ドラマも繰り返し見ましたし、映画も3回見に行きました。公式本も買いましたしシナリオブックもコミカライズ版も買いました。

牧からあげ・牧カレーも定番メニューになりました(笑)。
今でもシーズン1は素晴らしいドラマだったと思ってます。

 

けれどチェリまほを見た後になると、それさえ色あせて見えてしまうんです……。

チェリまほは、セクハラの描き方一つにしても非常に細部に気を配っており、社会派ドラマとしての奥行きを持たせている。

セクハラはだめ、という現代らしいメッセージがはっきり視聴者に伝わってくるところもいい。

黒沢優一と安達清が同期で上下関係がない、というところもポイントだと思います。

まあ何が言いたいかというとそれだけチェリまほが素晴らしいドラマだということなんですが(笑)。

 

蛇足ですが、おっさんずラブの黒澤武蔵とチェリまほの黒沢優一、同じ「くろさわ」で乙女属性なんですよね。

全然似てないのにそこは同じで面白い。

 

チェリまほというよりおっさんずラブの話になってしまいました、すみません。

チェリまほ関連の記事、多分まだまだ続きます。

これからもよろしくお願い致します。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!