皆さん今日は、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます。

 

初めての方は初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。

現在、第60回講談社児童文学新人賞及び第26回児童文学ファンタジー大賞の最終候補となった、「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」をAmazonkindle版で発売中です。

 

本日も、7世紀の大宰府を舞台とした、この作品の世界をご案内するエッセイの紹介と、後半はチェリまほについて語りたいと思います。

 

 

 

 

LTA出版事業部のブログ、本日公開しました。

 

今回は鈴についてのエッセイ、最終回です。

俳句や短歌をたしなまれる方なら、信濃(長野県)の枕詞が「みすずかる」であることはご存じかもしれません。

この「みすずかる」は、「御鈴刈る」。

鈴の形をした湖沼鉄を刈り、鉄を作るという、古い技術を伝えているのです。

一方、吉備(岡山県)の枕詞は「まがねふく」。これも製鉄にまつわる枕詞ですが、より新しい時代の製鉄技術を伝えていると考えられます。

古事記では、出雲地方の国津神たちは、高天原から下りてきた天津神に屈服させられ、一部の神々は諏訪地方に逃げてゆきます。

つまり、「まがねふく」鉄の神々が、「みすずかる」鉄の人々の住む地方に移動し……その後何が起こったのでしょうか?

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さて、本日はドラマのチェリまほについて。

ドラマの中では7話が出色の出来だと思うのですが、私は3話もかなり好きなのです。

 

原作1巻に忠実に作られているようで、ちょっとした違いを与えることで、社会派ドラマとしての奥行きを感じさせる作りになっている回だからです。

(これは7話についても言えますが、7話はまた次回)

 

初契約をゲットした新卒の六角のために、部長が開いた飲み会。

黒沢の惜しみない愛情に触れ、黒沢の真剣な気持ちに向き合おうと決心した安達が、黒沢を食事に誘った直後の出来事だったので、営業事務の安達も付き合わされる羽目になります。

 

上司に勧められるままに酒をあおり、ノリのいい若者を演じる六角。

安達は「こういうノリ、ちょっと苦手」と思いつつ、隅っこでチビチビとビールを飲んでいます。

ところが、その六角も、実は「(飲み会に使われている)あの個室、煙草の臭いきつい、戻りたくない。でも安達さんたちも付き合わさせちゃってるし、我慢しないと」と、昭和のノリで繰り広げられる飲み会に、辟易していることを、安達は魔法の力のおかげで知ることになります。

 

「胃薬買いたいから、コンビニまで案内して」と、こっそり六角を逃がしてあげようとする安達。六角は「自分が買ってきますよ!」と勢いよく出ていきます。

六角がいない間に、王様ゲームが始まります。

原作では、その場のノリでなんとなく始まったように描かれていますが、ドラマ版では40~50代の男女の社員が主導しており、20~30代の世代が逆らえない形で強引に始められたことがはっきりと分かります。

王様命令で安達と黒沢がキスをさせられることに。

ここで安達が怯えていることに気付き、黒沢は安達のおでこに優しくキスをして、「はい、終わり」とその場を収めます。

このキスシーンも「宗教画⁉」とネット上で騒がれたほど美しかったことは、皆さんご存じのことと思います。

 

その後の黒沢の対応の、漫画との違いにも注目です。

漫画では「ちょっと電話」と出ていくだけなのですが、ドラマ版では、男性上司が、「黒沢もしかして怒ってる?」と問いかけます。

それに対して黒沢は、「怒ってないですよ。でももう、こういうの終わりね」と、冗談半分にしろ上司に向かってセミため口で釘を刺します。

さらに黒沢が出て行った後、戻ってきた六角が妙な空気を感じて戸惑います。

王様ゲームをしていたことを知った六角は、「今時王様ゲームとか、時代錯誤過ぎて引くんですけど」とばっさり。

鼻白む上司に取り合わず、「六角くん、見直したよ」とそっと囁く安達の同期の藤崎さん。

最初に王様ゲームが始まった時の藤崎さんの表情からは、藤崎さんがこの状況を嫌がっていたことがはっきりとわかります。

けれどなかなか上司相手にそうは言いにくい。

 

この回では、40代~50代が下の世代に対して無意識にやってしまいがちなパワハラの問題点が、世代の対立を通じて浮き彫りにされているのです。

 

王様ゲーム、私は遭遇したことはありませんが、同世代(40代)の男性たちは合コンなどでよくやっていたと言いますね。

少々無茶な要求でも聞かなければならず、断ればその場の空気を壊すとして、いやいややっていた人も多いのではないでしょうか。

このドラマのシーンのように、上司からの提案で、しかも上司が王様だと、余計断りにくく、ほとんどパワハラと言ってもいい状況になります。

それに率直にノーを突き付ける新卒の六角。うまくごまかしつつ、相手に釘をさす黒沢。

嫌がりつつ、押し切られてしまう安達。なかなかノーを言えない藤崎さん。

 

原作では黒沢と安達の関係だけに焦点が当てられていましたが、登場人物それぞれにちょっとしたセリフや動きをプラスして、社会派ドラマとして深みを感じさせる場面になっている。

もちろん原作は原作でとても好きなんですよ。原作の方がよかった点も沢山あるので、私としては原作もドラマも甲乙つけがたいのです。

 

長々とお付き合い、ありがとうございました!