おやっさんの四肢には牡丹、桜、蟹などの刺青が入っていたが、蟹は蟹が好きな女の人を忘れないため、自分で彫って入れたという。おやっさんのち◯こには真珠が入っていた。
 またひとり、おばあちゃんが入ってきた。主婦たちに冷たい目でみられ、喫煙所でタバコを吸ってるので、どこぞのものぞ?と僕が聞くと、関東よ!というので、今は横浜ですか?と聞くと、よく分かるわね。と言った。入院の最初の方の外泊でkm君の結婚パーティーがあったのだが、ys先輩から、裏社会の情報をその時、聞いていたので、◯◯会の偉い人だな。とにらんだ。タバコは一日、5本しか吸わない。起きたとき、食後、入浴後。
 このあたりから、ここの病棟もしまりがなくなってきて、パチプロ志望の男の若い子、発達障害の詩人など。
 コバが退院したあと、コバの席に女の人が座っていた。元女ヤンキーの80年代リクルートから、フリーライターになり、ヒッピーの真似事をしてた人だった。
 もうひとり女の人が入院してきた。お水の人だった。
 おばあちゃんは薬疹で入院してきただけで病気じゃないのよ!と言っていた。
 フリーライターの人とお水の女の人が入院してきてから、場に秩序がもたらされた。夕飯後、60週、病棟をウォーキングし、おやっさんもいれて、トランプしたりで、場が華やいだ。おばあちゃんはすぐに退院になり、おやっさんは別の病棟へ移った。
 その後、歴史オタクの郵便局員が入院してきて、ウォーキングやトランプを続けているうちに僕も別の病棟へ移ることとなった。
 僕が不安がっていると、ケースワーカーが大丈夫、知ってる人もいるし、二週間くらいで退院できますよと言っていた。