こんにちは!

 

 

私は整形外科の医師として、病院に勤務しています。

患者さんは、0歳の赤ちゃんもまれにですがお母さんに抱いてこられますし

103歳の患者さんもおられます。

 

 

今日は

80歳の女性の患者さんとのお話をしますね。

 

 

 

その女性、Oさんは

腰を痛め、圧迫骨折の診断で入院となりました。

腰が痛くて寝返りも打てない中、彼女な何度もこう聞いてきました。

「いつ、起き上がれますか。」

「いつ、退院できますか。」

圧迫骨折の保存治療にも

すぐに離床をはかれるものと、安静が必要なものとあり、

彼女の場合は後者でした。

 

 

 

 

「焦ってはいけないです。」

病状と理由を説明するとわかってくださっているようでしたが、何度も聞いてきました。

実はそれには、理由がありました。

ある日、彼女は話してくれました。

 

 

 

実は、私の夫は

ガンで、余命半年と診断されているんです。

 

 

夫はいま、一人で家事をし、通院もしています。

しっかり治してから帰っておいで、と言ってくれていますが

時折、寂しいようなメールがきます。

 

 

余命半年のうち、私がこうして入院していて

一緒にいてあげられる時間がどんどん減っていくのがどうにも悔しくて。

 

 

 

そう、Oさんはおっしゃりました。

 

 

 

そう話してくれたのは、まだ入院してから1週間のころのこと。

全く動けない状態だったから、

しっかり治してから帰ろう、と

ベッド上でのできる筋トレを彼女は

リハビリのメニュー以上に頑張りました。

絶対寝たきりにはなりたくない、と。 

 

 

 

そうして今3週間。

理学療法士の介助があれば、

ゆっくりとつかまりながら歩けるほどまで回復しました。

 

 

 

ある日彼女の部屋に入ると、最初はとても浮かない顔をしており

そのうちマシンガンのように話し始めました。

 

 

 

義理の兄嫁がこういうんです。

「いつまで入院しているの?甘えてるんじゃないの?

早く帰って、夫の近くにいてあげればいいのに。

何もしないでじっとしてればいいんじゃないの?」

  

 

 

私だって早く帰りたいですよ、先生。

でも無理して早く帰ると、きっと主人は

私に気を使って、家事は任せないようにしてくれると思うんです。

でも、その姿を見たら私は、いてもたってもいられず

動いてしまって、

また悪化してしまうかもしれない。

 

 

 

気丈な夫は、しっかり治してから帰っておいでというけれど

本当は夫が寂しがっているのは

メールを見ればわかります。 

 

 

・・・」

 

 

 

彼女は、自分の病状も、動き具合も、夫のことも

そして自分の病状の今後も不安も全部、しっかりと理解されています。

だからこその葛藤。。。

 

 

私は主治医であり、

リスクを最小限にして、患者さんを元の生活に戻すことが仕事です。

必要な情報を、簡潔に的確に伝えることも求められます。

だから、こう答えました。

 

 

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