最近の東京都をめぐる新型コロナウイルス感染症の報道では、「新規感染者数が何百人越え」など、PCR検査などのウイルス検査で陽性になった人があたかも新規の感染者のように報道されていますが、大いに違和感を感ぜざるを得ません。正しくは「新規感染者数」ではなくて「検査陽性者数」と呼ぶべきです。そもそも検査で陽性になっただけの人を「感染者」と言い切るのも間違いですが、「新規」とか「新たに」などと感染時期を断定するのも間違っています。
    加えて、直近の実効再生産数は1未満ですので、8月を迎えて感染状況は徐々に収まりつつあると言えます。検査陽性者数を毎日報道することは、再流行に転じる局面でもない限り止めるべきかと思います。
    そもそもPCR検査は、過去に感染した人(既感染者)でもウイルス断片(死骸)を感知して陽性になることが日常茶飯事でありますし、毎日の生活の中でたまたまウイルスに暴露した(体内に入った)だけの人も陽性に判定してしまう可能性が多々あります。感染したと言えるのは、ウイルスが細胞に侵入して増殖した状態を指します。つまりウイルスが体内に入っても細胞に侵入していなければ感染が成立したとは呼べません。
    このように、「新規の感染」かどうか分からず、「本当に感染している」かどうかも分からない人まで陽性と判定してしまうPCR検査は、よくよく適応を考えて実施しないと、結果の解釈を見誤る可能性があります。本来は誰も彼にも行う検査ではなく、入院加療が必要な中等症以上の人や、クラスターが発生した場所での濃厚接触者などに限るべきではないかと考えます。
    また「夏休みは外出を控えて自粛しましょう」というようなスローガンも、同様にデメリットを生んでしまう危険があります。それは夏場に感染を抑え込み過ぎると、新たな感染のピークが秋冬にずれて出現しかねないということに他なりません。
    急峻な感染の山が秋冬に訪れることを避け、年間を通してなだらかな山にするには、ある程度までは「夏場に感染が広がることもあり得る」ことを許容した上で、各自が防御策を取りつつも、日常に近い生活を送るという考え方が健全ではないかと思います。