サンデーモーニングで金子勝@masaru_kaneko氏が原子力委員会の利益相反(COI)問題について盛んに意見を述べていた.正論に聞こえるが,私は寡聞にして金子氏が原子力政策に精通しているということを知らない.著作歴をみても精通しているとは思えないが何か色々知っているのかもしれない.自信に満ち溢れているし.

経済学なのだからCOIについて敏感なのは当然で,経済政策の重要な問題はCOIなのだから経済学の識者が何かの問題についてCOIを盛んに叫ぶことについてずれていると言うつもりはないし,むしろ専門家といってもいいのだろう.ただ素人が当然感じる以上の所見はなかった.むしろ原子力委員会(原子力村?)がある意味COIの塊であるのはしかたのないことで,結局そういったCOIの塊をどう規制するかというのが問題の本質であるであるように私には思える.

一方,金子氏のブログだけをざっと眺めただけだが,彼に原子力委員会のようなCOIの問題がないのかと言われると正直疑問だ.氏は本邦メディアでトレンドとなるほとんどあらゆる問題に意見をし,その「率直な」物言いで現在の地位を築いているように「私には」見える.そういった「立場」から得らる利益が,それほど小さくないということも容易に想像される(もちろん確証はない).
金子氏はその「物言い」でメディアに採用され,自分の意見を遮られることなく数十~数百万人にむけて開陳できる立場にある.そして相手の立場が規制されているほど,言いたい放題言うことができる.一方,「原子力ムラ」はそうではない.それでフェアな議論ができるのか,全く疑問だ.

第三者的な立場でとよく言うが,たとえば原子力委員会にCOIのない「第三者」とやらがいて,それが何かの分野の権威であってその人が認めることなら納得するというのは,ただの権威主義でしかない.たとえば金子氏とか◯杉隆氏が原子力委員会にいて,「彼らはあれだけ『原子力ムラ』を批判していたのだから(COIが「マイナス」だから),その彼らが認めるなら納得しよう」というのは出来の悪いコントでしかない.安全はそのような生半可のものではない.

技術にできることは限界があって,その限界に対してどのような倫理で望むのかというのが政治による規制である.技術的素養のない人が大まじめに全電源喪失の心配はないのか?と聞いて,だれがどのように答えれば納得するのか,まったく想像がつかない.

説明を尽くせとよく言うが,はっきり言ってうまく騙してくれというようにしか聞こえない.正直なところ,核エネルギー技術の基礎的素養(せめて修士レベル)のない人間にいくら説明を尽くしたところで,納得が得られるとは思えない.6年講義すればなんとかなるのかもしらんが(笑).

原子力委員会等にCOIがあるのは「当然」で,であればその上部機関でそれをどのようにコントロールするのかというのが問題であるはずなのだが,金子勝氏のような方が跋扈している限りはそんな話しにならず,橋下氏がポリシーもクソもなく再稼働賛成したような末路になるだけだろう.残念ながら.

●追記
最初気づかず,気付いても誤植だと思っていたのだが,金子勝氏は野田総理のことを「野田め首相」と呼称しているようだ.意見の相違を超えて,品性に問題があると感じる.その程度の人なのだろう.真面目に意見して損した.Twitterって,著作買う前にこういうことがわかるから,便利だなあ.