もう,あけましておめでとうございますというには遅すぎたか.今年最初のエントリーになります.

またしばらく書かなくなると思う.本当はこんなこと書く必要もないことだが,それでも書いてみることにする.なぜなら今年が不況だから.

臆面もなく,どんな批判も罵声も覚悟していうと,私は不況が大好きだ.不況になると,いろいろなことがはっきりしてくる.冬の寒さで皮膚の輪郭が明瞭に意識されるかのように,自分の力量が試されているようで,ワクワクする.私の高校・大学時代はまさにそんな時期,すなわち10年不況・超就職氷河期のまっただ中で,日本人の意識が強制的に変えられていった時代だ.

ワクワクしていたのは確かだが,さりとて自分のスキルアップのために明確な手法を持っていたわけではなかった.手法は一つしかないのであるが,そのときはいろいろな方法があると思っていたのである.つまりいろんな人とあってみたり,自己啓発本を読んでみたり,他人に議論をふっかけてみたり,つまり武者修行のつもりみたいなことをやっていたわけである.そこで得られた収穫はただ一つ,

「そういうことは無意味」

すべてが無駄であった.そのようなことは二度としなくていいという教訓を除いて.ある意味貴重な経験ともいえる.

人は,その人の持つ力量・器量にあった人間にしか出会うことができない.正確に言うと,自分の力量のレベルまでしか,その人を理解することができない.したがって,交流によって何かを得ようとしたら,自分の力量を上げるしかない.それゆえ,ごく個人的で孤独な研鑽のみが物を言う.

ひょっとしたら迷っている人がいて,なんらかの偶然でこのエントリにたどりついた人で,もしアンテナがあるとしたら伝えたい.孤独な研鑽は,けっして井の蛙ではない.一人の鍛錬は,面倒で,ゴールが見えず,だれに励まされるわけでもなく,結果が保証されているわけでもない.しかし孤独と友にならないかぎり技は磨かれず,技なくば徳は得られず,徳なくば心の安寧はもたらされない.

それゆえ,暗闇で一人剣を振るうあなたは,そんなに間違っていない.