むかし森永の「ぬ~ぼ~」というお菓子があったのをご存じだろうか.





お菓子のこころ、「ぬ~ぼ~」生まれる! 
昭和60年代、とんねるずが出演した「クェッ!クェッ!」のCMで人気が爆発したキョロちゃんに続き、この頃、森永製菓のデザイン室から不思議なキャラクターが誕生しようとしていた。 昭和61年(1986)、森永はチョコレートの中に多量の空気を含ませて口当たりを軽くするという新技術を開発し、エアインチョコ「スプーナ」を新発売した。そして、その技術を応用し、スプーナよりさらに空気を多く含ませた軽~い食感のチョコを、パリッとしたもなかの皮で包んだスナック感覚の菓子を開発した。この新製品には「ぬ~ぼ~」とネーミングされ、このイメージに合ったキャラクター開発の要望がデザイン室に伝えられた。 「ぬ~ぼ~」キャラクターは開発当初から、製品、キャラクター、周辺グッズなどへのマルチな展開が意図され、平成2年春には「ぬ~ぼ~はお菓子のこころ」をコンセプトに、企業戦略のシンボルとして起用され、テレビCMのほか絵本やビデオソフト、またミュージカルの主人公としても活躍した。
ちょうど私が小学3年生くらいのころに大ヒットしたお菓子で,私は大好きだった.50円くらいだったと思う.86年といえば狂乱バブルの二歩くらい手前で,そろそろジュリアナ東京がでてきたり,国鉄が民営化されたり,NTTが公開企業になったり,銀座の畳一枚が1億円くらいになったり,ひまわりに80億円くらい値段が付いたりと,はっきり申し上げて子供心にもいやな時代だった.そのころにたぶん第1次ワインブームがあったんだと思う.

突然ワイドショーで「ぬ~ぼ~解禁!!」などというニュースが踊りはじめた.私にとって「ぬ~ぼ~」は禁断でもなんでもない日々の駄菓子である.なぜこれが「解禁」されねばならぬのか,あるいはもともと18禁(18歳以上は食べてはならぬ!!)という禁断のお菓子だったのか.などと注視していると,突然へんなおっちゃんがグラス片手に「今年のぬ~ぼ~の出来は最高です」などとのたまいながら画面に登場.なんのことはない,酒の話であった.

これが私と「ぼーじょれぬーぼー」の出会いである.

そして「ぼーじょれぬーぼー」はいつのまにか「ボジョレー・ヌーヴォー」と表記が変わり,まさに人口に膾炙する.日本語のおもしろいところは,まずはじめに正しい発音を受けいれ,それを間違ったカタカナ表記にもちこむところである(たとえば「メリケン→アメリカン」).ボジョレー・ヌーヴォーもその類である.もはや日本語となってしまった.

で,昨日は岩手県へ手伝いの仕事があったので,一晩泊まり,金曜の今日(というか昨日)に帰ってきて,仙台駅のワイン屋に山積みとなったヌーヴォを目の当たりにしたわけである.去年はネット広告にあおられて3000円くらいのヌーヴォを3本も買ってしまい,涙をのんだ.750円で目が覚めるような,そして1890円で涙がでるような旨いワインがある昨今,ガメイのワインに3000円払う理由はない.申し訳ないが,ない.

でもねえ,試飲テーブルの脇をとおって香りがとどくと,なんとなく立ち止まってしまうんだな.ああいうなつかしい酸っぱさというは,ほかにはあまりない.通学路の桑の実のようなものである.で,試飲する.やっぱりただのガメイ.そして値札をみる.3200円.

ふざけるなと.円高はどこへいったのか.

でも,買っちゃうんだな.

さすがに今回は一番安い2000円のものにした.でも,それがいちばん旨いと思うよ.